アダム・オルター『僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた』を読む。

読書

スマホ、インスタ、ネットフリックス、ウェアラブル端末、ゲーム、メールチェック…

「新時代の依存症」として、薬物やアルコール、ニコチンのような物質の摂取を伴わない、「行動嗜癖(behavioral addiction)」というものがメジャーになってきています。

「わかっちゃいるけどやめられない」行動嗜癖。

2008年の集計では、成人が携帯電話を使う時間はわずか1日18分だった。
それがいまや依存症の引き金となってしまっている。

承認欲求を満たす「いいね!」は、依存症の要件の一つとなる「予測不能なフィードバック」そのもの。
確実性のないフィードバックほど、欲しくてたまらない気持ちになる。

依存症をもたらす仕掛けがいかに巧妙にデザインされたものであるか、そしてそれをどう予防し対抗していくか。

ベトナム戦争におけるヘロイン中毒、ゲーム依存症等を例に、依存症が発生するメカニズムや実社会に復帰できた人たちの対処法の記述が大変興味深く、ぐいぐい引き込まれるものがありました。

薬物常習者は、その体験が好きではない。それなのになお薬物が欲しくてたまらないのである。

何らかの物質や行動自体が人を依存させるのではなく、自分の心理的な苦痛をやわらげる手段としてそれを利用することを学んでしまったときに、人はそれに依存するのだ。たとえば不安や心配があったり、気分が落ち込んだりしているときに、ヘロインを摂取したり、過食したり、ギャンブルをしたりすればつらさがやわらぐことを学習する。寂しいときは、友達を作りやすい没入型のビデオゲームにのめりこめばいいと悟ってしまう。



最近この手の本を私がよく読むようになったのは、自分の問題意識の一つに「トレードにハマることの危険性」があるからです。

人生を達成すべき小さなマイルストーンと考えるならば、あなたは「慢性的な敗北状態」でこの世に存在していることになる。ほぼつねに、目指す偉業や成功にまだ達成していない自分として生きていることになるからだ。そして目標にたどりついてしまえば、生きる意味をくれるものを失った自分になるだけ。だから新しい目標を作って、また1からそれを追いかけていく。

これがトレードで日々数字を追うことの怖さですよね。


・依存症となって膨大な時間を失う可能性の高い経験には、先を見越してNOと言う。

・自分の環境を、自分の意志で賢くデザインする。

・他人との比較や際限のない目標追求をあおる数字のフィードバックを避けられるようにする。


自分の時間と精神を守るために投資とどう向き合うべきかについて、さまざまなヒントを得られた本でもありました。

東証の取引時間30分延長について、「依存症」の文脈でとらえてみると少し思うところがありますね。
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コメント

  1. deds より:

    向上心の高いまじめな人ほど自分は何か足りない感のなかで過ごすことになるので危ないってことか

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