デビッド・L・バーンセン『配当成長株投資のすすめ』を読む。

読書

米国の独立系ファイナンシャルアドバイザーの方の本です。

配当に着目した投資をテーマにしながら、「高利回り投資」と「配当成長株投資」をはっきり区別していて、後者に焦点を定めた点に興味を持ちました。

「配当成長株投資」では配当の健全性に関するファンダメンタルズの分析(配当性向、フリーキャッシュフロー、利益の安定性、バランスシート)を重視しており、私が行っている安定成長株への投資と相通ずる点がかなりあって、今の延長線上で取り組めると思ったからです。

「重要なのは現在の魅力的な利回りではなく、その持続可能性に対する自分たちの信念である。」

「企業、そしてそのビジネスモデルの質が重要なのだ。」

配当を支払うことで将来の成長に必要な資金が枯渇してしまう企業を買うのではなく、配当の支払い状況が将来の目覚ましい成長を示唆している企業を買うことがポイントになります。

こうした企業群への投資が、ポートフォリオ全体のクオリティー向上、ボラティリティの低減、そしてインフレによって増大する生活コストに対するヘッジにもつながります。


配当成長株は2つの魅力的な側面があると言います。

・株主と手を携え、安定的に利益を増大させるために損益計算書を管理する経営陣。

・資産形成をする者には増幅する複利の効果を与え、引き出しを行う者には負の複利を回避させる数学的構造。


「引き出しを行う者」にとって、配当成長株投資がいかにリーズナブルであるかを語っている点が斬新であり、本書の最大の魅力かと思います。

市場が変動する中、増大するキャッシュフローから直接引き出すことができるのがこの方法の大きな利点です。


「株価が線形に上昇することに頼るのは、資産の引き出し戦略としては不適切である」

言われてみればその通りだと思います。

よくありがちな「年〇%のリターンをもたらすポートフォリオから、年△%の引き出しを行う」みたいな、線形的な上昇を暗黙の前提にした資産運用ついては、いったん立ち止まって考え直してみる方がいいかもしれません。

市場が継続して下落する局面においては、資金を引き出すことで「負の複利」が働き、恐怖の中で蓄えを尽きさせることになりかねないと、本書では指摘しています。


その点、良質なファンダメンタルズを伴った配当成長株の配当は、市場の変動と切り離して考えることができますし、線形に増えていくことが期待でき、資金の当てにすることが可能な点で優れています。

そして引き出す額も、配当の範囲内で自由に決めることができます。


「投資家が資本を投下するのは、現金という形で回収したいからである。」

資産形成の途上ではお金を増やすことにばかりに意識が行きがちですが、充実した人生を送るためにこの言葉は忘れてはならないと思います。

配当金生活者の新米として、得るものの多い本でした。
オススメです。


ただし翻訳は。。
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