世の中FIREブームはまだまだ続いているようで、「会社員生活を早く辞めたい」という理由で投資に取り組まれている方も多いかと思います。
そんな方にぜひ読んでいただきたいのが、2019年に65歳で亡くなられた石川臨太郎さんのこの本。
タイトルの通り、「資産を作る」だけでなく、闘病生活の中で家族に「資産を遺す」ことまでを書き切った、現役投資家に残した「遺書」とも言える本となっています。
「専業投資家」という言葉もまだ無かった時代から16年間、それを最後まで貫き通した石川さんの言葉の数々は、”FIRE”を達成したその直後までのバラ色の世界しか描かれていない方々のそれとは、明らかに重みが違います。
サラリーマンの方がいらっしゃるのであれば、(中略)できることなら定年まで勤め上げて欲しいと思います。
株式投資だけで食べていくストレスと年金の面からこう仰っているのですが、他の方からは決して語られることのないこうした意見にこそ耳を傾ける必要があると思うのです。
石川さんの投資手法は、中長期目線の資産バリュー投資に、「勝ち逃げ」先としての高配当株・優待株・賃貸不動産等を組み合わせた極めて慎重なもので、そのことだけを以て「読んでも参考にはならなそう」と感じられる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、以下のメッセージは読者の採る投資手法に関係なく響く内容でしょう。
・必要な生活費を確保しながら、投資総額を減らさない状態を”勝ち”と評価する。
・大勝ちはしなくても致命的な負けはしないこと。つまり、ポートフォリオ全体での勝ち(=資産の増加)を目指す投資を行う方がよい。
・(投資家として持つべき資質は)早く大きく資金を増やしたいという自分の欲望を抑えつけて従わせることができる強い精神力。
・圧倒的な才能に恵まれなくても、「超二流」の投資力で結果は出せる。
自らの経験をもとに、欲と恐怖をコントロールすることの必要性を繰り返し説きつつ、「丁半バクチ」から脱し、特別な才能を必要としない「時間を味方につける中長期投資」に取り組むことを推奨するこの本は、とても誠実に感じられます。
「凄腕」の投資本に食傷気味の方でも、少なくとも一読の価値はあると思います。
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