中神康議『三位一体の経営』を読む。

読書

みさき投資の中神さんの2冊目の著書です。

『投資される経営 売買(うりかい)される経営』も大変良かったですが、さらに上を行くものを世に出していただいたという感想です。

経営者と従業員がコミットし、二人三脚的に作り上げてきたこれまでの日本的経営に、厳選投資家を加えた新たな経営モデルを構想し、実践する。これが私なりの経営構想『三位一体の経営』です。

厳選投資家とは、経営を徹底的に調べ上げ、鑑定し、限られた数の会社だけを厳選して長期投資する投資家であり、私が目指していきたい姿でもあります。

この厳選投資家の思考と技術を活用し、「みなで豊かになる経営」を目指していく経営構想についてロードマップが示されています。
私なりにざっくりまとめると、以下の通りです。

  1. 「みなで豊かになる」には、「超過利潤」を上げつつ「複利の経営」をする必要がある。

  2. その「利回り」を作り長きにわたって守り抜く、「利回り創出マシーン」となるために必要なのが「障壁」。

  3. 障壁づくりは恐怖心との戦いであり、「呆れるほどのコスト」「腰が抜けるほどのリスク」によって実現できる。
    そのために圧倒的な「投下資本」が必要。

  4. それが顧客に本当に価値として認められ、高い「利回り」を出し続けてくれるかどうかは、経営者ならではの未来を切り拓くような特異なビジョン、「事業仮説」にかかっている。

  5. 一方で、会社には図抜けた個人から集団意思決定に移るタイミングが必ず生じる。

  6. 運命共同体性を強く帯びる日本企業においては、役員・従業員の保有株式数を引き上げるとともに、経営を客観視できる厳選投資家を大いに活用すべき。

  7. そうすることで、「日本企業に関わってきた人は、みなで貧しくなってきた」現状を変えていけるのではないか。


素晴らしい論理の流れですね。
これまで学んできたバラバラのパーツを、収まるべきところにしっかりはめて統合していただいた感覚があります。

「2」では、長期投資を志すならば知っておくべき、バリュー投資の権威・グリーンウォルド教授の理論や、パット・ドーシーの「堀」について分かりやすく解説しています。

「4」は、楠木建教授の『ストーリーとしての競争戦略』と非常に近いです(解説を書かれているだけのことはあります)。

そして何より、中神さんのコンサルタント・投資家としての経験からくる「3」は説得力があり、特に素晴らしいです。
今後、各社の経営者が思い描く「事業仮説」を理解するのに、大いに助けとなりそうです。

自分の投資家としての在り方にも、大きな指針を与えてくれそうな一冊でした。

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前著に続き、投資と経営とをつなぐ、私のバイブルとなりそうです。
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