副題は「コロンビア大学ビジネス・スクール特別講義」。
これは「個人投資家が読むべき経営本」ベスト3に入ると感じました。
一言で伝えるとするならば、「ポーターとバフェットの間を橋渡しする本」です。
著者の2人は名著『バリュー投資入門』(注:入門書と思って読むと痛い目に遭います。原題 Value Investing)を記したということもあり、(そうは書かれていませんが)バリュー投資家が身に付けておくべき競争戦略の核心部分を学ぶことができます。
著者によれば、ポーターの分析モデルは複雑で、多数の外部要因を特定し、それらが互いにどのように影響し合うかを理解するのは、ストレスがたまるほど困難な作業だと言います。
その上で「5つの競争要因」のうち、他と比べて圧倒的に重要な「新規参入の脅威」のみに焦点を当てて、抜本的に単純化すべきだとしています。
市場に参入障壁があるということは、潜在的な新規参入者には不可能なことが、業界内の既存企業には可能であるということであり、他社にできないことができるというのは、まさに競争優位の定義そのものです。
参入障壁と競争優位の存在は、安定的な市場シェアと高い利益率によって示されます。
ここがバフェットの言う堀(Moat)に通ずるわけですね。
この本がスゴいのは、「真の競争優位といえるのは次の三つのタイプしか存在しない」と言い切っているところです。
- 供給面の競争優位 … コスト優位
- 需要面の競争優位 … 顧客の習慣、スイッチング・コスト、代替先を見つける難しさ(サーチ・コスト)等
- 規模の経済 … 「ローカルに考える」ことが成功の秘訣(ここが特に面白い!日本の地味株でも適用可能!)
投資に必要なモノの考え方としては、これくらいの割り切りでいいのかもしれません。
本当はもっと早く紹介したかったのですが、自分の投資先に照らし合わせながら考えさせられる箇所が多くてなかなか前に進めず、思いのほか時間がかかってしまいました(苦笑)
「投資」でいきたい人には非常に勉強になる箇所が多いと思います。
(参考図書) 事例はやや古臭いのですが、逆にそれが本書の主張の普遍性を際立たせています。
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