私たちの脳は情けないほどに投資には適しておらず、生きる上では役に立っている適応力が逆に仇となります。
そして、本当は自分が隣にいる人と同じように、深刻な行動上の各種バイアスの影響を受けやすい平凡な人に過ぎないことにまず気付く必要もあります。
フィデリティのチームによれば、並外れた投資結果を残している個人口座の動きを調べてみたところ、トップクラスに共通していたのは、忘れ去られていた口座か、もしくはすでに死亡していた人の口座とのことです。
つまり、副題にある通り「その努力がパフォーマンスを下げる」のですね。
投資で成功を収めるために行動科学の見地から人間としての性質全般を伝え、投資家が抱える致命的な欠陥を避ける ための解決策を提示してくれる、大変ユニークな本です。
この本では、行動科学的リスク管理の四つの柱を掲げています。
- エゴ
自信過剰で、明敏な判断よりも自分の能力を信じた行動をとる傾向 - 保守主義
利益よりも損失、変化よりも現状維持を不当に優先 - 注意
意思決定において、確率よりも顕著な特徴を優先 - 感情
リスクと安全性に対する見方が、一時的な感情と個人的な情報安定性に影響されること
うーん、今年イヤというほど思い知らされることばかりですね(苦笑)
また、バブルや暴落に敬意を表し、注意はしても、その知識によって麻痺してしまい、市場が提供するあらゆる利益を見逃してはならないとも説いています。
そして、歴史上、理論上、行動特性上のいずれからも有効性が認められるバリュー投資とモメンタム投資について触れた上で、解決策が最後にまとめられています。
このようなバランスを維持するためには、ルールに基づき、低頻度で、ストーリーによる短期的な熱狂と長期的に市場がファンダメンタルズを回復する傾向の両方を考慮した保守的なシステムが必要である。
行動科学的投資家は、どこかの学派の言いなりになるのではなく、バリュー投資とモメンタム投資をその時期に合わせて用いることを学ぶ必要がある。
再帰性の過程を旅行に見立てると、バリューは目的地までの距離 で、モメンタムは目的地まで行くスピード と考えることができる。バリューとモメンタムを組み合わせる手法は、投資の世界で長距離を最短時間で行く新幹線 のようなものなのである。
自分が鉄道旅行好きだからというわけではないのですが、最後はメチャメチャ刺さりましたね。
これ自分のために書いてくれているのかと(笑)
相場から受ける心理的な揺さぶりが非常に大きくなっているまさに今、読んでおくべき本かと思います。
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