元楽天IR部長で「楽天IR戦記」でも有名な市川祐子さんの新刊。
なぜESG投資なのか、株式会社の経営とはどんなものか(やはり「航海」からステークホルダーとの協働関係を説明するのが分かりやすいですね)という「そもそも論」から始まり、いつの間にか日本の会社員の働き方、さらには個人としての生き方へと話は展開していきます。
読者の間口を広く取っているのでとても読みやすいのですが、本質を突いていて深いです。
企業価値に効くESGとして、DCF法を参照しつつ、「成長率を加速させるESG」と「リスクを減少させるESG」があるとする説明のくだりは、特に分かりやすかったです。
ESGに対応しなければサステナブルでなくなり、長く稼ぎ続けることはできないし、投資対象として評価もされなくなってしまう。
だからこそ企業にとってESGはもはや欠かせないものになっているということが、ようやく腹落ちした気がします。
この本で特に強調されているのが、「なぜこの事業をしているのか」という、「船長(起業家・経営者)」の目的である「パーパス(存在意義)」の重要性です。
・「Why」は起業家のエネルギーそのものであるし、「船長」の見ている景色は「船主(株主)」としても見えていなければならない。
・それは働く人にとっても同様。
・日本に不足している「熱意のある社員」になるためには、船の行先を理解し、自分の立ち位置も知ること。
・会社のパーパスと個人のパーパスが一致すれば、大きな力になる。
この話の展開の仕方が秀逸でした。
思えば私が会社を辞めたのも、会社が進んでいる方向と自分がやりたいことの方向のズレが、年々大きくなっていったのが主因だった気がします。
10年後を生き抜くための考え方が学べるだけでなく、自分の「北極星」を見つけてチャレンジしていこうという勇気が、自然と湧いてくるような本でした。
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