書店に並ぶのは明日5/28となったようですが、奥野さんよりご恵贈いただいたこの新刊、多くの方にすぐ読んでいただきたいと思いましたので、フライング気味ではありますが紹介させていただきます。
投資を始めれば ー もちろんここで言う投資とは、短期で売買で繰り返すギャンブルのような投機ではなく、企業の力を見極めて長期で育てていく投資です - 世界の見方が変わってきます。そうして得た知見は、あなたを必ずビジネスパーソンとして何段階も上の世界へと導いてくれるでしょう。
奥野さんのよく仰るフレーズの一つに、「投資は知の総合格闘技」というものがあります。
投資で成功するには、ビジネスに必要な知識を総合的に高めていく必要があります。
それは同時に、投資を行うことによってビジネスで成功するための知見を蓄積することができるということでもあります。
世の中では、「身の回りの生活や仕事からヒントを得て、投資に活かす」ということが書かれている本はよく見かけます。
一方、「ビジネス→投資」ではなく、「投資→ビジネス」の流れで投資の効用を説いた本は、なかなか目にする機会はありません。
その点、とてもユニークです。
「他人に働かされている」「単に自分の時間を売る」存在である「労働者1.0」から、
「自分で働いている」「自分の才能を売る」存在である「労働者2.0」へ。
このようなマインドセットの変革に向けて、投資を通じて「投資家の思想」を身に付けることをこの本では勧めています。
まさに「ビジネスエリートになるための教養としての投資」です。
他人の才能と時間を利用でき、物事を構想し課題を変革する力を持つ「資本家」に一足飛びになることは難しくても、投資に取り組むことを通じて、世の中の見方が変わり、働き方そのものも変わっていくということです。
これは私の実体験からも頷けるものがあります。
投資先の企業について手探りで分析をしていく中で、いつしか普段の仕事の場でも経営者のような目線でモノを考えるようになり、またMBAの触りの部分で扱うような経営学のエッセンスに対する学習意欲も向上していったことを覚えています。
まあオカネに直結する話ですので、そりゃ必死にもなります(笑)
「企業のリソースをいかに上手に使うか」
「どうやったら顧客に独自の価値を提供でき、その見返りとしての利益を獲得できるか」
株式投資においては、経営者がこのように常日頃考えていることに対し、投資家がその評価を下していくことになるわけですから、目線が近づいていくのは当然と言えば当然かもしれません。
投資を通じてこういったことを考え、曲がりなりにも仮説を立てる習慣が付いたことで、実際のビジネスにおいても顧客の「経営者に刺さる」提案ができる確率が高まった気がします。
投資⇔ビジネスの相互作用は、なにもバフェットの専売特許じゃありません。
ところで、この本では「仕事」ではなく「ビジネス」という言葉が一貫して使われていることに気付きました。
そこには、日々の生活を支えるために目の前に与えられた「仕事」に振り回されるのではなく、自社全体、顧客、業界、そして社会といった方向へ思いを巡らせ、広い世界に目を向けて欲しいという、奥野さんの熱いメッセージが込められているような気がしてなりません。
投資を通じて”知の総合格闘家”としての実力を高めていけるのだとすれば、これをビジネスに活かさない手は無いですね!
それにしてもこの本、まるで奥野さんのライブを聴いているような臨場感(時々熱がこもるあまりに脱線する辺りも含めて)があり、ぐいぐいと引き込まれるものがありました。
「競争優位」「付加価値」「長期潮流」の3軸による、投資仮説の立て方に関する実例に基づく記述も、非常に参考になります。
脳みそに心地よい汗のかける好著です。
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