「戦略」という言葉を、私たちは普段その定義付けをすることもなく何気なく使っていますが、いったいその良し悪しはどこで決まるのか。
そんな疑問に答えてくれる本です。
悪い戦略の特徴としては、以下の四つが挙げられています。
- 空疎である(戦略構想を語っているようで内容がない)
- 重大な問題に取り組まない(見ないふり、軽度・一時的との見誤り)
- 目標を戦略ととりちがえている(道筋を示さない、希望的観測)
- まちがった戦略目標を掲げている(重大な問題とは無関係、単純に実行不能)
一方の良い戦略は、十分な根拠に立脚したしっかりとした基本構造(「カーネル(核)」)を持っており、一貫した行動に直結するとしています。
次の一文が奮っています。
カーネルを組み立てるときに、ビジョンやミッションや目標や戦術をあれこれ考える必要はなく、先行者利得や競争優位を追求する必要もない。経営戦略、事業戦略、製品戦略等々に分けることも無用だ。ずばり単刀直入なのが良い戦略である。
昨今のやたら複雑にしたがる風潮とは真逆に、本質的。
ちょっとシビれるものがありませんか?
カーネルは、次の三つの要素から構成されています。
- 診断(取り組むべき課題を見極める)
- 基本方針(大きな方向性と総合的な方針を示す)
- 行動(一貫性のある一連の行動)
これが戦略の屋台骨ということですね。
そこにはビジョンも、目標も、期限すらない。
おそらく組織のリーダー向けの本なのですが、企業を診る際にも(例えば中期経営計画の検証)この「良い戦略」「悪い戦略」の視点は役立つと感じました。
本質的課題にリソースを集中投下していく姿勢が見られるか。
言い換えれば、「突破力」があるか。
このあたりを意識してチェックすることで、良い戦略を遂行している企業の見極めができそうです。
逆に良い戦略の見本だけでなく、悪い戦略の見本も豊富なのがこの本の良い所。
投資先の悪い兆候を察するのにも役に立つかと思います。
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