データサイエンティストである著者による、お金に関するさまざまな根本的な疑問への回答・解決案を示す、「お金の原則」の解説本です。
類書は多いですが、豊富なデータが示す説得力がこの本の真骨頂と言えるかと思います。
何を重視すべきかはその時点の経済状況次第ということで、資産がまだ少ないであろう若者向けとなる前半の「貯金力アップ篇」と、投資収益が大きな割合を占めるようになった人に向けての後半の「投資力アップ篇」から成ります。
自分が気になるところから読んでいいですよということで、結構厚い本ですが自分にとって必要な部分だけを読めばよい構成となっていて親切に感じました。
すでに投資経験が相応にある方は、後半を中心に読めばいいと思いますが、前半にも「罪悪感を覚えずに買い物が楽しめる2つの方法」なんて節もあったりして、なかなか随所で唸らされるものがあります。
投資力アップ篇ではまず、今すぐ投資すべき以下の3つの理由について説明しています。
①老後に備えるため
②インフレから資産を守るため
③「人的資本」を「金融資本」に置き換えるため
①②は説明不要かと思いますが、③の「人的資本」を将来の収入の「現在価値」ととらえ、それは歳をとるごとに目減りしていくため、「金融資本」に交換していくべきだとする説明は傾聴に値すると感じました。
その他、
・底値を待って現金を貯めるのは意味がなく、タイトル通り「ジャスト・キープ・バイイング」のほうがはるかに優れた投資法である
・暴落時の買いは簡単(すぐ戻るから)
・ほとんどの市場は、ほとんどの期間、上昇している
といった長期投資の支えとなる考え方も、データを反映した図表をふんだんに使い、丁寧に説明してくれています。
個別株投資に否定的なところは引っ掛かりましたが、お金との向き合い方について網羅的に押さえている好著という印象です。
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