泉田良輔『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資法』を読む。

読書

過去の実績がしっかりしている会社が将来もよい結果を残す可能性は、過去に実績のない企業や、過去に冴えない業績しか上げていない企業に比べると高い


「予想のいらない株式投資」としていますが、不確かな将来の「予想」よりも過去の「分析」の方に力を入れ、その延長線上で考えられるような投資をしなさいというのが、この本の主張です。

著者はフィデリティ投信に所属していたアナリストなのですが、ティリングハスト氏など偉大な投資家たちが間近にいる環境の中で、以下の3つの成功のヒントを得たようです。

  • 会社の事業を理解しなさい

  • 会社の歴史を知りなさい

  • ROEを意識しなさい

パッと見、至極当たり前の内容なのですが、歴戦のベテランであっても、結局ここに行きつくというのが興味深いところです。


そしてこの「過去を学ぶ」スタイルを、普段は仕事が忙しい現役世代に勧めております。

個人投資家は自ら業績予想を精緻に行えるわけではなく、そこは機関投資家に比べて優位性がないという前提がいいですね。

個人投資家は過去の分析に力を入れた上で「株主資本複利投資」を行うべきだという主張、スクリーニングにおいてバリュエーション指標(PER・PBRなど)を基準から外す(良質な企業を除外しない)アドバイスなどは、とても親切に感じます。

そしてプロの見識がその背景にありつつも、株式投資の初心者にとってもなじみのあるPER・PBRを使って、心理的安全性を確保する方法や、わかりやすい出口戦略を示していただいているのもありがたいです。

個別株長期投資のまずは入り口として、オススメしたい本です。

とはいえ、次のステップでは「予想」も取り入れていくべきだと考えます。その分析こそがより大きな価値を生む部分ですから。
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ろくすけの長期投資の旅

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