よく「財務分析でオススメの本はありますか?」と聞かれることがあったのですが、ほとんどの世に出ている「決算書が読めるようになる本」の類は、投資に活用する上では大変物足りないものがあり、この本に出会うまでは、これといった本をご紹介できずにいました。
なぜか。
それらの多くは、過去を分析しているに過ぎないからです。
その点、この本は違います。
「過去を分析しているだけでは不十分で、未来をどう考えていくのか」という視点で、結果に至る原因や課程を見ていくことに重きを置いています。
財務諸表に表れているのは全体の一部だけ。氷山の一角。
財務諸表に表れていない原因の部分(顧客資産、人的資産、組織資産等の「見えない資産」、さらには基礎となる戦略や文化)を探っていくことで、未来も見えてくる。
そんなアプローチが、ちょうど自分が無意識のうちにやってきたことにマッチしており、これなら文句なくオススメできると思った次第です。
分析に入る前に、その企業に対するイメージを書き出し、「自分の仮説を持つ」ことを勧めているのもいいですね。
「仮説」を持ちながら決算書を見ていくことで、そことのギャップから「素朴な疑問」が沸いてきます。
疑問がわくと、解答を導き出したくなるのが人間の常。
そうなればしめたもので、その企業への関心が高まり、その営みを深いところで理解することが可能となっていきます。
タイトルにある「目的別」とは、以下の3つを指しています。
- 社員として ー 質の高いマネジメントを可能にする
- 個人投資家として ー よりよい投資先を見つける
- 学生として ー いい就職先に出会う
1,3は長期で企業と関わる前提です。
2も長期投資のスタイルであれば、もちろんそうなります。
若いうちに財務分析ができるようになると、長い人生で間違いなくプラスに働くということは、私自身が実感しています。
これまでの財務分析に関する本に物足りなさを感じている方には、ぜひ読んでいただきたいです。
↓「見えない資産」について詳しく知りたい方は、こちらの本を。
古いですが、隠れた名著だと思っています。↑ ポチっとお願いします。
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