本書は、インデックス投資でアーリーリタイアを迎えた投資ブロガーNightWalkerさんによる、初心者のためのインデックス投資の教科書です。
普段個別株をやっている人間が読んでも、新たな知識を得られるような類の本ではないですが、私にとってはそれ以外の部分で非常に参考になりました。
最近、未経験の方に投資について一歩踏み出してもらうにはどうすべきか、よく考えることがあります。
その意味で、「投資はしたいけど知識と時間とお金がない、でも興味だけはある」 という、将来のお金が不安なすべての人を対象としたこの本は、狙いが成功しているように思えます。
「インデックス投資」「つみたて」によって、市場全体の利益増大を願いながら複利の力を利用してお金を育て、「リバランスによるシンプルなリスク管理」で暴落を利益に変える。
手法を要約してしまうと、たったこれだけのことなのですが、初心者の一つ一つの疑問を解きほぐすように、順を追って丁寧に書かれています。
投資本にありがちな煽りも全く無く、どこか清々しさも感じられる文章。
こんな感じで、いい意味で力の抜けた文章を書けるようになりたいですね。
私にとって最も価値があったのは、第6章「アーリーリタイアする時チェックしたこと」です。
個人のアーリーリタイアを決断した理由や、実現した後の心境などは、なかなかうかがい知ることのできない貴重な記録でした。
(普通、周りにはいないですからね)
またこの章の中にある、
「インデックス投資という選択は、空いた時間の使い方こそが、本当の投資の部分なのです。」
という言葉も、ライフワークを考える中でとても心に響きました。
私の「長期投資」もこうでありたいですね。
そして出口戦略、すなわち資産の取り崩し方(定率で取り崩す)も他の投資本には無い切り口で、非常に参考になりました。
一生モノである投資に真摯に向き合う上で、まさに至れり尽くせりといった感じの本です。
多くの方に読んでいただきたいと思います。
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