ドーン株主総会2023(1)(★★★★★)

株主総会・説明会

昨年に続き2回目となります。

だいぶ企業に対する理解が深まって参りましたが、「エッセンシャルカンパニー」を目指す中期経営計画に関して宮崎社長に直接伺ってみたい事項がいくつかありましたので、今年も足を運ぶことにしました。

昨年は質問が3つ(うち2つは私 笑)と寂しかったのですが、株主の顔ぶれの変化を感じ取れるかどうかにも着目しておりました。

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株主総会

日時・場所・お土産

2023年8月29日(火)午前10時

神戸市中央区磯上通二丁目2番21号
三宮グランドビル 2階会議室

お土産 無し


会場は昨年と同じく、本社のあるビル内の会議室です。
お土産の図書カードは無くなりました(在庫が捌けたのでしょう)。

昨年も感じたのですが、受付の皆さんには笑顔で迎えていただき、アットホームな印象で和みます。

64席用意され、出席者20名程。
昨年よりわずかに増えたと思います。

議長は宮崎社長。

報告事項については、スライドを使いながら宮崎社長が説明、「招集通知に記載の通り」で省略する部分が多く、キビキビと進められて好印象です。

「対処すべき課題」のところのみ、招集通知の内容をかいつまんで丁寧に説明されていました。

決議事項は以下の4つです。

  1. 剰余金の処分の件
  2. 取締役(監査等委員である取締役を除く。)3名選任の件
  3. 監査等委員である取締役1名選任の件
  4. 会計監査人選任の件

(10:08)

質疑応答(1)

(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)

「1人3問まで」との要望がありました。
これは昨年は無かったと思います。

宮崎社長が受け、内容によって岩田取締役兼管理部長や品川取締役兼営業統括部長に振るスタイルでした。

【質問1】
1.クラウド利用料、受託開発、ライセンス販売・商品売上について、売上高だけでなく営業利益も開示いただけないか?

2.決算説明会要旨を拝見させていただいたが、IT人材の確保にご苦労されている中でどのような施策を打っているのか?

女性の活躍、管理職への登用、外国人の採用、再雇用といった多様化についても進めているかどうか教えていただきたい。


2⇒
(宮崎社長)
まず2番目のご質問から。
非常に人材確保には苦労している。
入ってきていただいている人に関しては、公共関連のアプリが認められてきたこともあって知名度が上がり、意識の高い学生さん方の応募は非常に増えている
一方、離職者については去年、想定外の人数が出た
出た理由は、私共の反省点の一つでもあるが、賃上げの流れがある中で、転職したらいきなり1百万円上がるケースも出てきて、(待遇面について)不勉強だったところがある
今年についてはこの春の給与改定で対応済で、同じような離反は無いと思う。

今後人を増やしていくにあたり、募集の掲載媒体を増やしていく。
また過去から継続してやってきていることだが、中国や東南アジアといった外国人の登用も行い、日本人には限定せず採用していく。
女性に関しては我々は遅れていた部分があるが、管理職を育てるべく頑張っている。
急に職位を上げても戸惑ってしまうので、活用ならびに活躍の場を前広に提供することを行っている。

→ マイナス面について、正直に仰って下さいました。

1⇒
(岩田取締役)
各サービスごとの利益の数字については、把握はしているものの競合相手があり、値決めの関係で公表はしていない。
クラウド利用料の伸びはご承知のことと思うが、そこが利幅が一番取れているのは間違いない。
ただそれが何%かということに関しては、ご容赦いただきたい。

営業利益率がクラウド利用料が伸びているほどには上がらなかったという点をご心配いただいていると思う。
これは両備さんからのあるサービス(NET119)の契約の移行をする取引があったが、「業者都合」の契約の移行になり初期の設定にかかるコストは私共が負担したため、若干工数がかかった
ほとんどの取引は4月以降に継続的なクラウド利用料の売上計上がなされているので、進行期から売上・利益に貢献してくる

→ 前期の営業利益率がわずかながらも低下したことに違和感があったのですが、一時的な要因であることが良く分かりました。これからは逆に期待できますね。

【質問2】
1.中期経営計画は開示されているが、長期計画について一言お願いしたい。

2.広義のM&Aについて実績が出ていないが、四季報の最新版では「M&A探る」という言葉が書かれている。これに関して具体的な説明をお願いしたい。

3.着実に成長しているのはありがたいし、IT企業として安定的に成長して雇用を守るのは立派だと感じるが、私がドーンさんに投資しているのは、いずれ社名のごとくドーンと行ってくれるだろうと思っているからだ。
今日の社長のお言葉次第では、追加の投資も考えている。
逆に「なんだ、この程度か」というご回答であれば、もっと期待できる所に投資したいとも考えている。
社長の心意気を最後にお聞かせ願いたい。

(真面目そうなお爺様から突然のダジャレで経営陣も苦笑。関西は面白いです。でもやはり社名の由来は周知させた方が良いですね…)

1⇒
(宮崎社長)
長期計画は発表していない。
中期経営計画をようやく作ったところ。
ITは日々進化していて、進んだものを我々はリーズナブルに、なおかつ「安心安全」でやっていることもあり、市民・県民の方々がいかに使いやすくするかということを考えている。
既存であるものを集めてきて我々がサービスとして提供しているのが、売上のメインとなっているクラウドサービス。

実は大手さんはこの分野はされない。
悪く言うと、あまり儲からないからだ。
昔からやっている人達は、サーバーの中でモノを作って、それを閉じられた世界の中で運用するということでやっていたが、レガシーの古い技術やモノを持っていらっしゃる所は、新しい方に行くと共食いになってしまうし、過去のものは保守等で引きずらざるを得ない部分がある。
こういったことにより、クラウドのような新しい分野は、日本を代表するような大手のベンダーさんでは進められない事情がある。
我々としてはレガシーの部分が無いことを活かし、いかに機動的に、早く新しいものをやっていくかがポイントになる。

その中で我々が注力しているのが、安全安心分野で社会課題を解決していくこと。
長期計画は公表していないが、中期経営計画でも触れているような社会課題を解決していく方向性は変わらない。
「本来こうあればいいのに」ということについて、実はどの技術者・エンジニアでも思っていることがあるが、それを実現するには古い部分からやっている会社さんはなかなか踏み出せない面がある。
我々はそこをITの力を使ってクリアしていこう、それを以って社会に貢献していこうということを、「中長期」というスパンで掲げさせていただいている。
中期経営計画の3年以上の時間軸で進めていくと考えていただければ良いが、こういった方向性は変わらない。

2⇒
(岩田取締役)
M&Aについてだが、中期経営計画での重要な施策として「M&A・事業提携」を入れさせていただいている。
大きく2点ニーズがあり、一つは事業規模・収益性の拡大、もう一つは我々が苦心している人材の確保
我々が必要としている人材がたくさん所属されている会社と協業、もしくはM&Aで承継できないかということで進めさせていただいている。

昨年より取引させていただいている証券会社・銀行・M&A仲介会社・その他、あらゆるツールを使って情報提供をいただき、昨年は40件ほど検討させていただいた。
その中で実際に交渉・面談させていただいたのが6件程度で、今現在で発表できるような成果は出ていない。
なぜかと申し上げれば、相手の規模や収益性であったり、こちらが用意する資金との兼ね合いから、なかなかジャストサイズのものが無いというのが正直なところで、中には「これは行きたいな」というものもあったが、資金的な問題・信用の問題で成約にならなかった。

また上場企業の中で昨今PBR1倍未満で対応を迫られている会社がある一方、我々は小規模ながら60億円の時価総額がある。
この株価を以って、上場企業で我々の技術なりノウハウを必要としている会社、我々としても先方の人材・売上の規模・全国の拠点に魅力を感じている会社さんとコラボできないかということで、実際この1年で上場企業さんとの交渉もさせていただいたが、そこに関しても色々な条件が合わずに流れている。
ただこの方向性は加速させ、M&Aに関しては1日も早く何らかの成果を出し、数字ないし内部管理体制のプラスになるように努めて参りたい。

→ 後日触れさせていただきますが、案件の持ち込み件数は以前と比べて飛躍的に増えています。良い出会いがあるといいですね。

3⇒
(宮崎社長)
先程お話させていただいたように、社会課題をターゲットに掲げている。
現在は「安心安全」、警察や消防で皆様の安全を守る分野に特化しているが、プラス社会課題になっていることを取り組んでやっていこうとしている。
我々はクラウド・ITのサービスだけでやってきたが、これからは色々なハード、ドローンのような機械と融合したサービスは確実に社会課題の解決に資するものとなっていく。
皆様に直接関係する色々な分野で、人手不足は避けて通れない課題となっている。
我々はハード自体を作れる会社ではないが、大きな会社さんといくつか取り組んでいるものがある。
我々のクラウドの知見を活かしながら、サービスを併せる形で注力していき、会社を伸ばしていきたい。

利益を出し、社会課題も併せて解決していく。
それは確実に皆様の安心安全を守ることを含んでおり、売上・利益だけを優先してどんどん伸ばしていくという会社のスタンスではない
皆様からすれば、年50百万円ずつ利益を積んでいくような形では少し物足りなく思われるかもしれないが、人を増やすことによって規模は確実に大きくなっていく
その手段として人材の獲得をし、M&Aでエンジニアやサービスを受け入れながら、ハードをやっている会社と提携していくといった長期ビジョンは描いている。
そのような形で会社自体を伸ばしていこうという意気込みは持っている。
中期経営計画を始めたこともあり、毎年毎年、来期はどうなるという形を出していくので、その中で皆様にご判断いただき、ご支援いただければと思う。

→ 大風呂敷を広げはしないものの、着実に伸ばしていく方向性とその手段については見えてくるものがありました。

【質問3】
1.IT企業の中でもユニークな事業を行っていると感じる。御社の強みを、技術的な面も含めて教えていただきたい。

2.技術系の取締役がおられないが、それが人員の定着率にも関係しているのでは?


1⇒
神戸で起業し震災を経験したが、需要に対応していく中で防災や復興に対する知見が増え、消防分野と防災分野の業務知識が非常に多く入ってきた。
安心安全分野のとっかかりとなるものを吸収できたのが大きい。
数名の時からやってきて今もそうなのだが、消防や警察の方と現場レベルで話している中で、「大手さんがやってくれない分野」「こうあったらいいのにな」といったものを聞くようになった。
実はそれがNET119やLive119等の発想に繋がっている。

現場は意見を我々に対してだけでなく各所に言っているものの、なかなか拾ってもらえないという事情が現状あるようだ。
先程申し上げた通り、大手さんには大手さんなりの事情がある一方、我々にはレガシーが無いのが強みになっている。
現場の要望が分かり、(安心安全分野の)業務知識も相応にある。
Live119のように、映像やスマホに対応できる技術もある。
パソコンと同等の性能を持つスマホを一人一台持つ時代となってきており、若い世代には当たり前のものとして生活の中に入ってきている。
一人一台持っている中で何ができるかという部分については、大手さんはサポートしきれていない。
それにはいくつか理由がある。
技術者が足らないのもあるが、要望を実現する技術力、会社が取り組むスピードの面も大きい。
我々は大手のメーカーさんに比べて、非常に判断が早いというのがあると思う。

それを可能にしているのが「実証実験」で、これが我々の強みにもなっている。
色々なフェーズで行っているが、それをすることによってダメな部分、ここを変えた方がいいという部分が出てくるが、それを何回か繰り返すことによって、ある程度これ以上触らなくていいとなったものを世の中に出している。
これを行うことによるいい面がいくつかある。
我々は人数が少なく、人を割けれないので、カスタマイズは避けている。
カスタマイズを避けることによって、利益率が良くなる。
サービスを作り上げ、A・B・Cそれぞれのカスタマイズをするようなことは行わず、同じものを一律で使っていただく。
そうすることによって、保守面であったりカスタマイズの工数といった面で、人手をかけなくても展開でき、利益率を上げられるような手法を持っている

要望を受けて実証実験をやり、それを強くして世に出す。
そうしてNET119やLive119、それ以外にもメール関係等色々なものを出してきた。
こうした利益率を上げていく仕組みが、愚直なやり方ではあるものの我々の最大の強みだと認識している。

→ 経営資源の限られた小兵なりに戦う場所を見定め、戦い方に工夫を凝らしているような印象です。「小よく大を制す」のイメージを持ちながら応援したくなりました。

2⇒
技術系の取締役は昔はいて、不在になってから5,6年以上経つ。
昔は技術を持った役員が引っ張っていたが、その時はかなり下の者が年齢的にも技術的にも離れていた。
今はその下にいた人達が、NET119やLive119を作り、育ってきている。
技術系役員がいないことが良いと思っているわけではないので、遠くない時期に置きたいと思っている。
それが社内をより強く引っ張っていく力になるだろうし、ご指摘いただいたように定着率の面でもプラスになるだろう。
ここは必ず私の任期中に実現したいと思っている。

(続く)

「1人3問まで」とアナウンスされると、やはり複数の質問をしたくなるものです。この後もどんどん出てきます。
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コメント

  1. なりさん より:

    総会レポート参考になります。

    参加者が20名で、質問される人が多いのはなかなかですね。
    それも一人で複数問されるのも凄いと思います。

    会社側は「1人3問まで」で「1人1回3問まで」ではなかったんですね。
    会社で一番重要な会議に、徒な発言数の制限はどうかと思うものです。
    制限を設けず、質問が出尽くすまでしっかりやろうとしている会社はいいなぁと思います。

    「1人3問まで」と言われると逆に複数問したくなるという心理は会社側は考えてなかったのではないでしょうか?今日は質問するぞ!という株主さんはそういう気持ちなんですね。

    • 6_suke より:

      何となくですけど、2巡目の質問も受け付けてくれそうな雰囲気ではありました。

      「1人1回3問まで」の意味だったのかなぁという気はしております。

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