今年の3月決算先のトリを務めるのは、万年割安株として一部で有名なヤマダコーポレーションです。
ある意味、印象に残る株主総会となりました。
株主総会
100名弱の会議室で、出席者は30名弱でした。
仕事上でお付き合いのありそうな、町工場のオヤジ的な方々が多く参加されていた印象です。
事業報告はスライドを使用しつつ、「読み上げ」系。
議案は剰余金処分の件、監査役選任の件、補欠監査役選任の件。
淡々と進んでいきましたが、意外と質問の方は参加人数の割には出ていたと思います。
株価に対するフラストレーションが相当溜まっていたということでしょう(笑)
質疑応答
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
社長が全ての質問に答えていました。
Q
株価がとにかく上がらない。
NTTや東京ガスは自社株買いを行っている。
特に東京ガスは純利益の6割を配当と自社株買いに充てる方針を掲げている。
配当だけじゃ通用しない時代だ。自社株買いをやって欲しい。
売れないから持ち続けている面もあり、売買を活発にする施策が欲しい。
(この方はこの質問に限らず、複数回延々と不満を述べられていました。まあ気持ちは分かります。)
A
自社株買いも方策ではあるかと思うが、流通量が少ないこともあり、配当で還元したい。
株価対策は、業績をきちっと上げること、配当を上げることと考えている。
Q
企業価値向上のための取り組みを推進するとしている中で、ほぼ毎期、減収減益の業績予想を出されている。
公表されている業績予想と社内目標とに乖離はあるのか、公表する際の考え方についても教えていただきたい。
また2025年(グループビジョンJUMP !!2025)に向けて、達成したい具体的な目標があれば教えていただきたい。
A
業績予想に関しては、毎年この場でご指摘をいただいている(苦笑)
予想は3月頃に決めているが、次の3月までの予想を出すのは難しい面がある。
海外売上が半分以上で、代理店販売に任せているので。
社内目標は公表している予想とは別に設定している。
経営は高めの数字を求めているが、営業は保守的に目標を出そうとしがちで、そのせめぎ合いで苦労している。
(知らんがな… 笑。社内をしっかりまとめてください。)
2025年に向けての目標については、公表していないのでこの場ではお示しできない。
Q
近年営業利益率が上昇しているが、その理由を教えていただきたい。
A
工場のコストダウン、営業における値引き抑制に尽きる。
Q
アメリカのサービス体制を教えていただきたい。
A
代理店にサービス教育をしながらメンテナンス対応をしている。
Q
中期経営計画では人材力強化として「社内風土改革・人材力強化戦略」を推し進めるとしている。
具体的にどのようなものか。
A
従前は社内教育に力を入れていなかった。
最近は企業研修をきちっとやり、会社全体のレベルアップを図っている。
新卒採用も積極的に行っている。
また、ITを扱える人間・電気系エンジニア・コンサル経験ある人間等、外部からのキャリア採用にも力を入れており、彼らがいい風になって成長の方向に動かしてくれている。
Q
外部からの登用を行うようになったとのお話だが、既存の社員が納得できるような処遇をしているのか。
A
処遇には差をつけていない。
昇格をしている人間は、実績を残した人間だ。
Q
業績だけでは株価は上がらない。
対外的な企業PRにどれくらい力を入れているのか。
個人的には不足していると感じるが、どのような活動をしているのか。
A
広告費は媒体が変わってきていることもあり、削減している。
費用を削減しながらも効果を上げるよう努めている。
企業価値、株価を上げるのは、業績と配当を上げていくことからだと考えている。
Q
配当性向についての考えはあるか。
A
開示はしていないが、考えはある。
ただ単年度の決算に対して決めてしまうのはどうなのかという思いがある。
安定的な配当、できれば増配を望んでいる個人株主が多いと認識している。
所感
ここまで社長が実質的に何も語っていないに等しい質疑応答も、なかなか珍しい。
「糠に釘」感が半端なかったです。
毎年これを繰り返しているのだとしたら、実は強いメンタルの持ち主なのかもしれません(苦笑)
一つの仮説として、山田一族の相続対策としての上場の意味合いが強く、配当で還元しつつも株価上昇はむしろ抑制したいのでは?と勘繰りたくもなります。
私としては、2025年に向けての夢を語っていただきたいところだったのですが。
「もう同じ船には乗れないな」と思えたという意味では、有意義な総会であったとも言えますね。
評価は ★☆☆☆☆ (★2に近い★1)とします。
お土産
相模原工場近くの洋菓子店「k-poche」さんの焼菓子でした。
株主総会はほろ苦いものでしたが、お菓子は甘くて美味しかったです(笑)
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