ドーン株主総会2023(2)(★★★★★)

株主総会・説明会

質疑応答の続きです。

私の受付番号が1番というあたりに意気込みが表れておりますが、意外と挙手される方が多く、質問は4番目となりました。

質疑応答(2)

【質問4】
1.ミドルウェアとしてのGeoBaseの強みは何か?

2.1年前に出された中期経営計画は久しぶりに作られたものと伺っているが、そもそもどういったステークホルダーに対して、何を訴えたくて策定したものなのか?

3.拡大ステージに向け、経営資源が限られる中では、自社単独でニッチなサービスを開発していくだけでは飛躍的な成長がイメージしづらい。
M&Aで買収するにしても、比較的小規模な企業になってしまうと思う。
どこか大手と組むことによって、より大きなエコシステムを形成し、その中で専門性を活かせる領域で稼いでいくことは考えているか?

(私からの質問です)


1⇒
ミドルウェアであるGeoBaseは、上場して10年くらいはライセンス収入として会社を支えていた。
今も消防分野での司令台で、緊急通報において地図に落とす部分で一番入っている。
その他の分野では、GeoBaseは実は売れなくなっている。
強みが無くなったわけではなく、世の中がオンプレ型からクラウドへと移行してきたのが理由。
我々はGeoBaseで培ったノウハウをクラウドに持ち込み、地図に情報を落とし込んでいく技術を防災系のDMaCS等に使っている。
「より速く表示する」のがGeoBaseの強みであり、いわばDNAの部分は受け継がれている。
残念ながらGeoBase自体は使う環境の方が変わってきたので、使う分野は一定量はあるものの、伸びる要素については見出し難い。

2⇒
色々なステークホルダーがおられるが、先に効果があったものについて正直に申し上げると、内部の細かいところまで出してないにもかかわらず、M&Aの話がよく来るようになった
別に狙ったわけではなかったが、「こういったものをやりたい」と表明した際に、一番そこが効果があった。
本来であれば、我々はこういう形で進んでいくと市場に出すことによって、当然ながらお客様からの評価や株主様からの評価が上がってくるのが一番の目的だったが、最も効果が上がったのは先程お話しさせていただいた通り40件ほど舞い込んできた(M&Aの)お話であり、それは大変ありがたかった。
なかなか自分達の方も取り組み自体をしていなかったこともあって、それまでは一桁と、数が非常に少なかったが、そこは大きく変わった点。

この中期経営計画は、今後どうやって進んでいくかということについて株主の皆様に出していくものだが、常に公表することによってそういったメリットも得られることが今回分かったので、今後もこのような活動は続けていく

3⇒
大手と組むことは、考えているかいないかで言えば「考えている」。
ハード関係をやっている会社は製造ラインをお持ちなので、必ず規模は大きくなる。
ただ、そういった富士通さん・NECさん・東芝さんみたいな所は、自分のところでIT会社をお持ちである。
そういった企業さんは、正直、自分達で取り組みをやっていかれる。

飲み込まれないように我々が考えているのは、中期経営計画でも触れているが、特許を出すこと。
一時期止めていて数年前から再開しているが、新しい市場環境ができてきてクラウドを用いて色々なことができるようになり、パクられないようにするために一所懸命出している。
いくつか成立しているものもあり、そういったものを用いて、ハードを主とする会社さんとコラボをすることにより、世の中の課題解決に向けてやっていきたい。
ご質問に関して言えば、大手さんとのお話もさせていただいているというのが現実であり、今後も進めていきたいと考えている。

→ 今後の成長加速に向けて色々と想像するための材料を頂きました。近未来において「ハードを主とする会社さん」との取り組みによって、何かが生まれることを期待します。

【質問5】
1.あまりの日々の出来高が少なくて流動性が無く、会社としては共感できるが、いざ売却のことを考えると投資しづらい。
IRも、もっと力を入れていかないといけないと思う。
その割に2,3年前、外国の証券会社?が空売りをかけてきたこともあった。
自社株買いをしても、株価がすぐ戻ってしまう。

2.先ほど技術の話があったが、もっと営業もすればいいのにと思う。
色々な所にチャンスがあるはず。
アプリも特に高齢者に向けて分かりやすくして欲しい。


(宮崎社長)
IR担当と営業担当から後ほどそれぞれ説明させていただくが、冒頭に私の方から。

株価については、会社の方からああだこうだと言えない部分がある。
流動性が低いことに関しては、IRの強化を進めている。

営業については、言い訳にはなるが、官公庁が全体の8割を占めており、動きが遅いのは予算制の問題がある。
予算を立てて、議会を通して、翌年にする。
何か事業をするとなると、皆様にご利用いただけるまでにMAX2年弱くらいかかる。
間違いがあってはいけないということもあって非常に長丁場になる中、いかに認めていただくかという部分を乗り越えて営業している。
安心安全分野は必要とされているので大きな流れは変わらないし、時間はかかるにせよ着実に予算化し、我々もやらしていただいている。
どういったことを営業でやっているかという点については、品川(取締役)の方から説明させていただく。

1⇒
(岩田取締役)
流動性の低さは認識している。
どう増やしていくかということで、個人投資家の方々に注目していたくだために、例えばQUOカードを株主の皆様にお配りすることも検討した。
ただ私共の事業規模、人員体制からすると対応に非常にコストがかかることが分かり断念し、そのお金を配当に回させていただいたり、自己株の購入によって還元させていただく形で検討させていただいた。

流通数が少ないというのは、まとめて売ったり買ったりすると株価が動いてしまうということだと思う。
今後は個人投資家、機関投資家に向けてもそうだが、注目していただけるようにIRを充実させていきたい
最近は個人の株主の方でも、株関係のポータルサイトでビッグデータが処理されたものを見られるようになっていると思う。
連続増配ランキングであったり、利回りランキングであったり。
私共は8年連続増配を続けているが、これは東証スタンダード市場で言うと上位14位くらい。
3年以上増配している会社が1,300社のうち140社ほどあり、その中で14位くらい。
上の会社さんが増配を止めないと、ランキングは上には行かないが。
なんとか小手先のことではなく、きっちり成績を出して株主の方に還元し、ビッグデータで我々の名前が出てくるような施策を一つ一つ行っていき、流動性の確保に努めたいと考えているのでご支援賜りたい。

→ 事業におけるベースの安定性は近年高まったきたため、中長期的な株主還元方針に関して、さらに踏み込んだIRでの表現を期待したいものです。

2⇒
(品川取締役)
株主の皆様から「もっと営業せんかい!」と言われているが(会場笑)、結論から申し上げると日本全国、営業していない自治体は無い。
それだけ営業しているが、我々のサービスはものによっては10倍くらい、他社と比べて高付加価値のもの
予算化できる団体となると、お金のある団体に限定される
さらにその中から我々が人数を割ける案件の数も限られ、その中からチョイスしていくと、どうしても今のような営業の伸びになってしまう。
そこは中期経営計画でも謳っているように人を増やし、改善していきたいと思っている。

もっともっと他の商材を作っていけばいいじゃないかと言えば、その通り。
Live119で「AED 位置情報伝送機能」を新機能として発表させていただいたが、これはかなりインパクトがあると思う。
それ以外の分野でも、我々が強みを持っている機能から開拓していける商材、他社が持っていない、我々ならではの商材を開発してこれからもやっていきたいと考えている。

→ 営業・開発の両面から、人員の増強が今後の鍵になる(現状、ここがボトルネックである)との印象を改めて強くしました。ポテンシャルはとても大きいですね。

【質問6】
国や地公体の予算にある程度制限がある中で安心安全分野で発展していくためには、企業向けであったり世界であったりといったことも考えられる。
企業に対して入っていけるところ、世界に対して出していけるものがあれば教えていただきたい。



民間企業もやってはいるが、昔で言う半官半民の会社、電力会社のような社会インフラの会社向けに昔からサービスをしている。
オンプレ時代からの、サーバーを入れてその中で閉じた世界でやっていたが、そういったものは限られたものしかない。

今官公庁でやっているクラウドの民間転用を、実はトライアルで進めている
Live119は人口カバー率が3割に達していて伸び盛りだが、この技術を利用して民間で点検業務に使えないかということで、実証実験をいくつか進めていただいている。
いくつか案件が決まってきており、「消防品質」という言葉を使わせていただいているが、消防の方で確実に使えるもの、それくらい堅固にやっていくことができ、しっかり現状把握ができる。
映像を使った色々なツールは出てはいるが、課題があるから我々にお問い合わせいただいている部分もある。
官公庁で使っていた堅固なものを民間転用ということで実証実験を進めているので、こちらをどんどん展開していこうと考えている。
成約すればIRとして出していきたい。

現時点で民間用に新たに何かを作ってというのは人数の関係から難しいが、官公庁向けに作ったものを民間に展開していくということをさせていただいている。
Live119からの展開で、LiveXの枠組みの中で実験をさせていただいている。
こういったものをクラウドサービスとして展開していく。
持っているものを展開することで、人数の不足をカバーし利益を上げていく。
そうすることによって、お客様からすれば、払ったものに対して効果があるものを展開していけると思っている。

世界の方は残念ながら活動はしていないが、当然安心安全分野というのは世界共通の悩み事だと思う。
スマートフォンの方が固定電話より進んでいるというのが東南アジアを含めた現況であり、商機はあると認識しているので、体制を整える必要はあるが、整った段階で展開を進めていきたい。

【質問7】
1.米中対立で中国製のドローンが完全に排除されつつあると聞いている。
事業に与える影響を教えて欲しい。

2.日経IR等のリアルなセミナーで、個人投資家の知名度を上げることを検討されては?


1⇒
ドローンの機器自体をやっているわけではない。
機器はどう変わっても影響は無い。
実証実験した時も、日本製のものでやっている。
海外製は安いが、官公庁さんにとっては情報漏洩の問題があり、国産のものが一番使われている。
機械そのものではなく、それに対するITを使った展開の方を考えている。

2⇒
ご意見として賜り、検討を進めていきたい。
過去1,2回やったことはあるが、現在体制が整ってきたこともあり検討させていただく。

(11:16)


この後議案採択を経て、終了となりました。
(11:19)

所感

まだまだ規模は小さいですが、独自技術と特定分野で蓄積されたノウハウをもとに、逆に小回りの利く点をフルに活かしている印象を強くしました。

自社が戦うのに適した領域と、そこでの戦い方を良くわきまえた企業ですね。

質疑の回答に関しては、企業として至らない点に言及することも含めて、とても丁寧だったと思います。

以前は一歩一歩、着実に進めていく姿勢に物足りなさを感じていた投資家も多かったのでしょうが、今回の質問内容からして、じっくり見守っていこうという株主が徐々に増えつつあるイメージを持ちました。

メリハリをつけた総会の運営も良かったです。
最後は出口で宮崎社長が株主を見送って下さいました。

評価は★★★★★とさせていただきます。


なお、今年も岩田取締役と終了後に少し立ち話ができました。
また帰宅後、IR照会を通じた直接のやりとりもさせていただきました。

やはり良い企業なのに「見過ごされている」「埋もれている」という思いは強くお持ちのようですので、今後のIR姿勢に変化が起こるかどうか、M&Aや大手とのコラボが実現するかどうかも含めて、注目して見ていきたいと思います。

(終わり)

長期で応援するのに相応しい企業だと思いますし、 広く認知が進み株主の入れ替えが進んでいくことを期待しています。
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コメント

  1. なりさん より:

    そういえばこのタイミングでお土産がなくなったというのも何か不思議な感じがしますが、結局参加株主さんの3割程度が質問をするいい感じの総会の気がしました。
    株式市場では諸々の物足りなさからか、あまり人気がない感じではありますが、一部の人たちには熱い感じがいいですね。
    次回の報告も楽しみにしています。

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