ダブルエー株主総会2024(2)(★★★★★)

株主総会・説明会

質疑応答の続きです。

質疑応答(2)

【質問6】
MMは昨年の3/1に吸収合併、初年度に黒字化を達成したということだが、どのような推移で黒字化したのか?
売上は右肩上がりなのは確認できたが、四半期毎でも半年毎でもいいので、営業利益24百万円の期間毎の内訳を開示いただければありがたい。



前期の3~7月は、前の会社が仕入したものなので、正直、私達がそこまで口出しできなかった。
責任は私共にあるが、結果としては従前通りだった。
後半に入り、私達も企画・生産に入ったが、主に企画については今まで通りの企画をやっている。
工場についても、基本的には引き継いだ所でやっている。
主要メンバーも、MMの前の会社から来たメンバー。

ただ一つ変わったのは、私たちは挑戦したいこと、やりたいことを、できるだけOKしてあげているという、今までのダブルエーと同じことをしたということ。

前は、在庫はできるだけ抑えて、アイテムの種類をいっぱい作って、売れたら追加生産もせずにやっていくスタイルだった。
一方私たちは、売れるものは初めからある程度まとめて発注するようにした
それに伴い原価の交渉もできるため、そういった今までダブルエーが当たり前のようにやっていたことを、MMにも同様にやるようにした。
そうなると、(利益が出ることで)必然的に自分たちがやりたいこともやれるようになる。
仕入の予算とか、高い材料を使えないとか、以前はあった色々な悩みに対して、私たちが「やりたいことはやっていい」と伝えていくことで、現場もやる気が出てきている。

ただ気温はなかなか下がらず、重衣料が売れなくて本当に苦労した。
本来ならもうちょっといい成績を出せるのではないかと思っていたが、12月までは売れず、1月になってやっと寒くなり売れた。
利益の内訳としては、前半ずっと赤字で、後半は良い月と悪い月があり、1月に売上が取れて最終的に良くなった。

この春からは当社に加わってからの商材なので、前よりは見えている部分が大きい。
ただ私たちの方は服については素人なので、今までのMMのスタッフ、店頭の社員・アルバイトの意見を大事にしながらやっていきたい。

→ ダブルエー流の事業再生のノウハウが、ここに凝縮されていますね。新たに仲間に加わった相手方を尊重しつつ、事業が元々持っていた潜在的なパワーを上手に引き出すことができているように感じます。卑弥呼の時と重なりますね。

【質問7】
卑弥呼の新井社長(中井取締役)にお伺いしたい。
直近のQueen’s卑弥呼やHIMIKO Lite、卑弥呼arukuも含め、期を重ねるごとに魅力的なブランドに成長しているように感じられ、今後も楽しみにしている。
社長就任後の4年間についての振り返りや今後のことについて、何かお言葉をいただければ。



(中井取締役)
卑弥呼の社長に就任してから、まずはブランド力を高めようということで、3ブランドへの集約をしたという流れがある。
3ブランドで戦えるようになってから、市場の変化を受けて卑弥呼でももう少し戦える商品を増やしたいということがあって、直近ではHIMIKO Liteというスニーカーとスポサンをメインとしたシリーズをデビューさせた。

「卑弥呼はパンプスのブランド」という認識が強かったが、直近の3月の売上で言うとランキング1位はスニーカーになっていて、私たちの中でもかなりビックリするくらいの市場の変化が起こっている。
市場の変化に対応できる商品、お客様に魅力をお届けできる商品は常に必要になってくると考えており、50年の今までの歴史を大事にしつつ、これからも新しいことに挑戦することが今後の卑弥呼にとって必要だと思われるので、常に進化していくことを今も大事にしている

振り返ると就任からそろそろ4年が経つが、従業員もダブルエー体制になってからもしっかりと理解して動いてくれていて、非常に士気が高まっているのを感じている
自信を持って皆が取り組んでくれていて、発言や提案も出してくれており、会社の雰囲気もとても良くなってきていると感じている。
今後もこの勢いで頑張っていけると思う。

→ 中井取締役はその言葉のチョイスからしても、肖社長の「WAイズム」をしっかり受け継いでいらっしゃいますね。

【質問8】
卑弥呼が大変好調だが、NICALのように海外展開は考えているか?



直営ではないが、台湾のパートナーがデパートに1店舗出している。
これからさらに海外展開していくかどうかだが、ある程度売れているとはいえ、メインの革の商材については日本国内で作っている。
台湾の方は日本製ということで、多少値段が高くても売れる部分はある。
一方、香港については日本国内で作ったコストで展開できるかどうか議論しているが、利幅としては難しくなり展開しにくい部分はある。

これから卑弥呼も日本国内でもっと売って、インバウンドで指名買いされるようなブランドになれれば、海外でも伸ばしていけると思っているので、引き続き卑弥呼の日本国内での売上とイメージの向上をしていきたい。

【質問9】
人手不足がさまざまな業界で言われているが、離職・賃上げに関しての考えや、どのように還元していくかという施策について教えていただきたい。



当社も世間同様、難しい部分がある。
今年新卒を23名採用したが、人が不足しているのと(業種的に)転職しやすいということはある。
従業員が辞めていくのは仕方がないと思っている。
私たちから見ると、「良かったね」と声を掛けられるくらいの所にいっぱい転職している。
やはり給料・地位向上・やりがいは大事だ。

私たちはどちらかというと現場の仕事が多いが、会社が成長して本社の仕事は増えている中で、できるだけダブルエーで育った向上心のある人材は、ダブルエーで頑張っていただきたいという気持ちがある。
そのためにはどんどん成長して、待遇を良くし、役職を作らなければいけない
待遇については、昨年も今年も、初任給もそうだし現場の店長の給料も、世間並みに5%以上はアップしている。
これからは店だけではなく、よりネットの方を売上を取っていかないと。
店は家賃・人件費がかかってくる分、利益は出にくいため、ネットの売上を向上させることによって余裕を持って賃上げできるよう、これからも頑張っていきたい

→ 店舗にいらっしゃる方々のキャリア形成につき、肖社長がどのように考えているかを知ることができた、貴重な質疑でした。労働生産性向上によって少数精鋭化を図り、一人一人に報いていくという考え方は、ファストリの柳井さんの考え方に通ずるものを感じました。

【質問10】
為替について。
1.円安に振れているということで、4月から一部価格対応しているとの記載が質疑応答集にあった。具体的には売上ベースでどのくらいの商品が対象になるのか?
2.先ほど為替を鑑み在庫を抑える旨のご発言があったが、円高に振れるという前提のお考えがあるのかどうか?



まず在庫に関しての話だが、今一番円安のときに在庫を持つと、これから円高になった場合には原価が高くなってしまうという意識がある。
ただ売れる時期に売れるものを作らないといけないので、「抑えた」というよりも「たっぷり準備する時期ではない」という趣旨でお話したつもり。

為替については私達だけで左右できるものではない。
専門家の意見としてこの1年間ずっと「これから円高になる」と言われていて、結果としては155円を超えても為替介入もしていない状況。
それは私達だけでなく各社・各ブランドにとっても同じであり、いい商品は値上げできるということを意識すべきで、だからこそ値上げしてもお客様に買っていただけるものを作ることに尽きると思っている。

ただそうは言っても、(消費者の)購買力が上がらないと値上げしても買っていただけない可能性はあるので、企業努力というか、生産の部分でメーカーさんとの連携をスムーズにして無駄を無くし、原価を抑えていくことも非常に大事だと思っている。
コロナ禍の時期と違い今は現地に行けるので、毎月色々な部署のスタッフが工場あるいはその先の下請けの材料屋まで行って、これからのビジョンや私達がやりたいことを話している。
工場だけでなくその仕入先にも説明して、今の円安にどう対応していくかについて連携をしているので、他社よりは為替に強いと思っている。

ただ155円(苦笑)を超えた今は、秋冬物の値段を徐々に付けていかなければいけない時期に差し掛かってきているので、値上げをどの程度するかについて議論に入っているところだ。

(質問者「4月から値上げした部分の開示はできないか?」という確認に対し)

4月、期中に値上げしたのは、今までで初めて
値段設定は、2月から春の商材、8月後半で秋冬に変わる。
私達は為替を150円で見ていたが、3月の時点で150円を超えていて円高にすぐ転じるのも難しそうではあったので、急遽4/1での値上げをした。
値上げは150円を超えたから即対応したものであって、150円や155円といったレベルであれば予算通り行けると思っているが、これから為替がどうなるかは読めるものではない。
できるだけ自社で努力できるところは、そうすべきだと考えている。

→ ちょっとご質問1の意図は伝わっていなかったようですが、貴重な情報は得られました。値上げの前にまず自分達にできることに注力する意識を持ちつつ、工場や仕入先と一体となったチームプレイを綿密なコミュニケーションにより徹底できる点が、当社の競争優位の大きな源泉となっていることを感じます。

【質問11】
オンライン比率向上について、詳しく伺いたい。
・Amazonでレビューがたまると売上が上がるということだが、それを増やすための施策は?
・オンラインでの広告が購買活動に結びついているのか?
・リピーターの客単価を上げてオンラインの比率を上げていくのか?
こういった面での具体的な活動について、教えていただきたい。



オンラインのサイトは色々あって、それぞれに特徴がある。

自社サイトについては、店と連動させている。
やはり自社サイトに来るお客様はファンなので、ブランドが好きだし、店のこともよく知っているので、メールも発信できるし、できるだけ新商品や新機能を伝えるようにしている。

ZOZOは週末に売れる割合が高いので、土日にクーポンを配ったり、土日にZOZO内のバナーを上げたり、ZOZO内のインフルエンサー数名との協業もやっていてそこから宣伝いただいたりしている。

Amazonは「履き物」(注:必要品としての靴、という意かと)が強いので、いきなり売れるというよりはじわじわ売れていく面が強い。
一番強くなるのは、ランキングに入ること。
信頼してくれて、お金のかからない宣伝のしかたになるが、簡単には入らない。
値段なのか、宣伝なのか、履き心地なのか、運なのか。
梅雨などに他社が在庫を切らしているときに提供できると、露出が高くなり、それによってランキングに入るといったケースもよく見かける。
このように、ラッキーの部分と努力できる部分とがある。

社内に関しては待ってばかりではいけないので、今年の春はYouTube・Facebook等で6秒・15秒・30秒の「跳べるパンプス」のシリーズの宣伝を流したところ、効果大であった。

私も毎日、ネットの各部署・各サイトのスタッフと話しているが、今お話ししたことの何十倍もの細かい挑戦と施策をやっているので、その中の一部でも結果につながればと思っている。
そして各サイトの担当者と連携する中で、「一番お金を払う会社」ではなく「一番返事の早い会社」にしていきたいと思っている。
担当者から相談された時に、当然やりたい部分とお金がかかってしまう部分もあるが、とにかく一番早く返事する、「早くやりたい」あるいは「このままでは高いから安くなる方法を教えて」といったレスポンスをすぐ行うことで、各サイトとの良好な関係を保っていきたい。

→ 肖社長はスピード感を大事にされている故に、何でも即決できるよう、全てに目配りしているような印象を受けます。だからこそ、株主総会でもあらゆる方面からの質問に対応できるのでしょうね。

(まだまだ続く)

改めて見直してみると、一つ一つの質疑の内容が濃いですね。疲れますが、当社の魅力を再確認できています。
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