ダブルエー株主総会2024(3)(★★★★★)

株主総会・説明会

(株主総会後のひと時です。)

質疑応答の続きです。
今回がラストとなります。

質疑応答(3)

【質問12】
現状では、円高になる期待が外れた部分はあろうかと思う。
持続的な円安も視野に入れるべきだと考えるが、価格改定はできたとしてもネックになるのは消費者の購買力。
そこで海外に売っていく、あるいは海外からのお客様に売っていくことも考えなくてはならないと思うが、海外・インバウンドでの販売についてのお考えや施策について伺いたい。
(私からの質問です。ご指名いただいた際、「またこの人か」という感じで苦笑いされました 苦笑)



為替については、円安が続いたとしてもいずれは円高になるとは思っている。
今の円安ではやっていけない会社がたくさん出ていると聞いている。
本当に仕入ができない会社が増えている中、それが当社にとってプラスになるかどうかで言うと、私たちは先ほどもお話しした通り、(生産)現場との連携が強いので優位性はある

為替への対応として、海外展開は一つの方法。
靴は多少展開はできていて結果も悪くないが、香港は人口から見て(靴屋としての)出店の余地は少ないので、やはりこれからは「」ということになる。
MMは台湾の方で売れているので、香港でも売れるんじゃないかという仮説は立てている。
ただ香港が台湾と違うのは、香港は個店で家賃が高いということ。
真剣に検証しながら出店できるかどうかを話しているところだが、行けるとなれば服の方を海外で展開していきたい

(「インバウンドに関して以前はあまり力を入れていなかった印象だが、最近になって考え方は変わったのか?」という、私からの問いかけに対し)

インバウンドに関しては、正直、「靴は荷物になるので、買って持って帰るのはどうなのか?」とずっと思っていた。
ただ円安で香港・台湾のお客様が日本に来ている中、「香港の半値だから、買って持ち帰りたい」という声も増えてきており、「安いから買う」というちょっと悲しい理由ではあるが、店から要望があって、今年に入りメインのお店から徐々に免税の取り扱いを始めている
特に博多、梅田、表参道、新宿といった辺りは、日によっては免税売上の比率が高いということも確認できている。

もう一つ思うのは、服に関して。
春のコートは外国の方が好きなようで、私共としては一番高い商材ではあるものの、円安もあってか2万円くらいのコートが即決で買われたりしているので、海外で勝負できるのではないかという仮説も立てながら、来年に向けてそのイメージを持って取り組んでいきたいと考えている。

→ ご発言内容から、国内での婦人靴業界におけるシェアは、この環境下で高まっていきそうな予感が致します。MMの海外展開も楽しみですし、インバウンドも足元で意識してきていることは朗報でした。なお、総会後に足を運んだ、東急プラザ表参道「オモカド」の複合旗艦店でも、この裏付けとなるようなお話(意外とNICALが売れているそうです)を聞くことができました。

【質問13】(質問2と同じ方)
今日は色々と伺えて、来て良かった。
社長が流行をよく見ていらっしゃることと、スピーディに返答することを大事にされているということで、会社の風通しの良さを感じた。
卑弥呼やMMを通じて再生力も見えてきて、お話が面白かった。

お聞きしたいのは、女性のファッションがスポーティ・身軽に向かっている印象をキャッチされていると思うが、鞄に関しては、私たちは小さい鞄に色々と入れて身軽になりたいのに、オンラインでは寸法が書いておらず、マストアイテムが入らないといったことが起こっている件に関して。
情報提供が足りていないかなとも感じるので、せっかくの自分たちが持っている情報・集めた情報を(やっていただいているとは思うが)もっと発信いただければと思う。



仰っていただいたことは、本当にその通り。
もっと細かく、丁寧に、わかりやすくページを作らなければいけないと思っている。

アイテムが増え、人員も増えているが、バッグなどは素人なので、株主様のようなご提案を徐々に採り入れていくことは大事。
また、アイテムはたくさん作るものの、全部のアイテムに力を入れるわけにはいかないので、店で売れたものについて、より詳しく深掘りし丁寧にやっていかなければならない。
服・靴・バッグ、色々と提案していく中で、全部のことを全力でというよりは、売れたもの、芽の出たものについて、よりページ作りを充実させたり、次のアイテムに活かしていくということをやっている

これからネットの部署のスタッフを増やしていく中で、より見やすいページ、買いやすいページを作っていく。

【質問14】
在庫管理のフレキシビティについてのお話をいただいているが、委託製造先のコントロール、グリップの状況と、新規開拓の状況等、お考えを伺いたい。



私が前職で生産管理出身なので、メーカーさんが望んでいるのは「年間を通して仕事があること」だと理解している。
私たちは組んでいるメーカーさんに対しては、「こちらに仕事があるときに、早く、たくさん」ではなくて、「年間を通して平均的に発注できないか」ということを設立当初から意識してやってきた

MMもそうだが、「売れてから追加」だけではなく、メーカーさんがそこまで仕事の無い時期から仕事を発注するようにしている。
追加したいときには既に当社分のキャパは確保できているので、当社の他のものを多少遅らせてでも「これを先に作ってね」と頼めるようになる。
そのようなメーカーさんとの信頼関係を長年築いてきたので、これからも同じやり方をしていくし、メーカーさんに対しては納期、品質、開発能力、そしてもちろん価格と、総合的に点数を付け、続けていくか、拡大していくかを見ている
メーカーさんとはお互い、ここが良かった、ここが良くなかったということをハッキリと伝えている。

納期が遅いけど品質がものすごく良いメーカーさんも必要だろうし、そこそこの品質で価格競争力のあるメーカーさんも必要だろうしということで、これからもバランスを取っていく。
新しいジャンルもあるので、新規の工場については実際に見に行って商品の品質とのバランスが良かったらテストしてみるといった形で、これまでと同じことをやっていきたい。

→ 生産背景がしっかりしていて、工場の質をチェックする仕組みも構築できているのは良いですね。このノウハウと信頼関係こそが、この企業における「経済の堀」なのだと私は考えています。

【質問15】(質問4と同じ方です)
ウェブを中心に大きくしていかれるのはいいことだと思うが、御社が他社と比較して優位性を作っているのは在庫管理・商品管理の部分が大きいと理解している。
上場時から仰っている「一気通貫」によって社員が開発にも関われる環境ができていると考えるが、ウェブにするとそれを体験できる社員、体験できるチャンスが減っていくように思う。
社員本人のスキルや優位性を維持するための施策、もしくは問題意識があれば教えていただきたい。



商材が増え、社内の知見が足りない部分はある。
服・バッグ・スニーカーについて、婦人靴より知見が無いのは事実。
それを解消するために、若い男性スタッフを中国の提携メーカーさんに派遣し、ゼロから勉強してもらっている。
検品の際は、工場だけでなく、その先の各資材屋、パーツ屋、加工屋に行かなければいけないが、それは既に行ってもらっている。
靴や服は、パーツ屋との信頼関係が非常に大事。
時間はかかるが、服も靴と同様にやっていきたい。

【質問16】
下取り・トップリフトの交換等、非常にリピーターの獲得を意識されている印象があるが、それは接客においても同様かと思う。
グループの中で、経営陣からどういったお話をされているのか、社内報でどういったメッセージを送っているのか、接客の部分で理念の浸透に関して心掛けていることがあれば、教えていただきたい。
(私からの3つ目の質問です。お疲れのところ、申し訳ありません…)



店長会・副店長会もコロナ禍が終わり、やっと普通にできるようになった。
今月は関西と関東の店長を全員集めてやっているし、新任店長の会議もあった。
新卒に対しても一週間ほどかけて研修を行っている。

できるだけ人を集めて、売場のこと、今までの会社の歴史、やってきたことを直接伝えていっている。
また、店長だけでなく副店長会も2か月に1回ほどやっている。
社員については、2月・8月の暇な時期に2回に分けて、全員に対して会社の方針・お店に対しての要望・お客様の苦情等を共有している
商品に対する理解、お客様への接客の仕方も含めて、対面式での会議を通じて、今まで通りの会社の理念を伝えていきたいと思っている。

(「具体的にメッセージとして伝えていること、徹底していることは?」との私からの問いに対し)

ずっと言っているのは、何のためにやっているのかということ。

本社は現場の意見を聞く、現場の補佐として情報をキャッチしていくためにある。
現場はお客様のためにある。

「自分たちがやりたいもの」ではなくて、お客様の欲しいものをずっと提供していかなければいけない。
現場の意見を、苦情も含めて吸い上げ、店長会の時などに経営陣や部長以上の人間が、時間をかけて全部の意見や質問を受け、それに答えていくということは、これからもやっていきたい

→ 売り場と生産現場とを直接つなぐという、創業以来の哲学について再確認することができました。


質疑は以上で終了。

予想以上に盛り上がったためか、最後は「もう大丈夫ですか?」と肖社長も半笑い状態でした。
もう一つ二つ、私も聞きたいこともあったのですが(笑)、他の方からの質疑応答から類推できる部分もあったため、時間を鑑みて自重致しました。
(11:53)

その後議案採択を経て、総会終了となりました。
(11:56)

所感

今回の3つの記事を読んでいただければ、当社の強みをよりクリアに感じられるのではないでしょうか。

個人的には、ファストリ・ニトリ同様、厳しい外部環境に鍛えられることによって、成熟した業界の中でますます強くなり、その存在感を高めていくタイプの企業であろうことを再確認致しました。
MMの海外展開、そして中期的には再生ノウハウを活かしたさらなるM&Aにも期待したいです。

私もあえて答えづらいであろう質問も複数させていただきましたが、肖社長は株主に対して言葉巧みに論点をずらしたり、ネガティブな要素を隠してその場を取り繕うようなこともなく、長時間にわたり正面からご自身の想いをまっすぐに述べられていたのが、とても印象的でした。
その裏表のないキャラクターが、従業員、そしてサプライチェーン上の取引先からの信頼獲得にもつながっているのでしょう。

IR資料や普段のIR照会では分からないことを直接経営者に確認できる、株主総会のありがたみを最も感じる企業の一つです。
評価は★5つとさせていただきます。

(終わり)

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コメント

  1. きん より:

    株主総会の紹介な説明ありがとうございます。
    ダブルエーの株主です。
    正直、月次後の下落で間もなく買値に近づくので…
    このまま、また株価対策なく長期低迷になるのではと不安になっています。
    コメントに書いても仕方ないのですが。
    もう一度、読め直させていただきます。

    • 6_suke より:

      こちらこそ、ご感想をありがとうございます。

      コロナ禍に突入した時に近い、PERの水準になってきました。
      その当時の当社を取り巻く環境、及び当社の稼ぐ力と比べてみて、現在の状況そして今後の見通しをどう考えるかですね。

      一般的なこととして言えるのは、狼狽売りはそれに従うものではなくて、利用すべきものだということです。

      • きん より:

        ご返信ありがとうございます。
        株式分割後、2800円をつけてからの2000円の下落。
        私の持ち株のなかでは、結構な株数になりますので…特に株価に対する対策が実行されないとなると…
        買値をした回る事は、受け入れられません。
        期待はしていますが、難しい判断となりそうです

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