関西株主総会ツアー中の1社として、今回が初めての参加です。
直近で買い増しを進めていたこともあり、グローバル展開に関しての質問も用意しつつ、参加を楽しみにしておりました。
株主総会
会場は本社。
地下鉄東西線の西大路御池駅を降りてすぐ感じる、会社としての存在感は流石のものがあります。
大ホールは225席用意されていて、150席くらい埋まっていたでしょうか。
(ライブ配信&動画あり)
議長は山本社長。
議事に先立ち、島津メディカルシステムズでの不祥事案(いわゆる「島津タイマー」の件)に関するお詫びがありました。
(会場からは、これに対する反応は特段無し。)
監査結果報告については、招集通知の記載ページの案内のみ(いいですね!)。
報告事項の概略は、映像及びナレーションにて。
「対処すべき課題」及び議案については、特に中期経営計画の内容を中心に、山本社長よりスライド付きで説明がありました。
決議事項は以下の通りです。
- 剰余金の処分の件
- 取締役8名選任の件
- 監査役2名選任の件
(10:29)
質疑応答
(理解促進のため、構成・内容には若干手を加えています)
全て山本社長が答えておりました。
【質問1】
1.中期経営計画でも北米への注力を強調されている。北米の製薬市場向けでシェアを高めていける感触はどこから来ているのか?
2.足元の引き合いの状況、特にメガファーマとどんな話ができているのか、教えていただきたい。
(私からの質問です)
1⇒
中計では、ヘルスケア領域を重要な事業拡大の方向だと提示している。
特に今までの事業の流れからしても、製薬市場、臨床市場はとても重要。
製薬市場は北米が非常に重要で、世界のメガファーマ、あるいはどんどん新しくなっていく薬の創り方、私共はモダリティと呼んでいるが、それによって新しい薬を創っていくスタートアップに対する投資が非常に大きく動いている市場である。
私共はここに向けて大きな一歩を踏み出していかなければいけないということで、この中計では投資をさせていただくと決めている。
今までの流れで、大手製薬メーカーが作っているコンソーシアムに参加させていただき、そのコンソーシアムで必要な装置についてのコンペティションがあり、一部、私共が獲ることができ、その製品がいま米・欧の大手のお客様に使っていただけるようになってきている。
この経験を踏まえ、北米の製薬のお客様と一緒に、彼らが必要とする製品を創っていく形で市場に入っていけるという感触を持っており、これを強化していきたいというのが今回の考え。
2⇒
足元の引き合いの状況については、北米は金利の問題で投資が不活発になっている状態。
大手製薬はしばらくの間だけ投資を控えるということを仰っていて、4-6月は少し引き合いが減っている状況。
ただ大きな流れでいくと、薬は今までの低分子、化学合成で作るものから、新しい薬がどんどん開発されるように変わってきているので、投資はまたこれから伸びてくるものと考えている。
→ この中計期間中は当社として投資フェーズにあるものの、山本社長のご回答ぶりからは当社なりの手応えが感じられ、先々大いに期待できそうな印象を受けました。
【質問2】
海外売上比率が56%に上るが、現状では中国が一番多い。
中国は政治・経済・セキュリティ・地政学…色々な面でリスクが感じられるが、中計において中国事業をどう展開していくお考えか?
⇒
中国は売上高の20%を占める大きな市場。
米中の問題、台湾の問題等、難しい状況に入ってきているのは事実。
二つの方向で強化しながら、中国事業を展開していく。
一つ目は、日本から中国へ輸出する際の、安全保障の問題に関するもの。
私共が中国のお客様から引き合いをいただいた際、必ず米国のエンティティリスト (米国商務省 産業安全保障局 BISが発行している貿易上の取引制限リスト)との突合せをシステムとして行い、リストに入っている場合には現地のお客様に私共から本当の目的を確認させていただき、場合によっては経産省とも相談させていただいた上でお取引をさせていただくといったことを続けているが、これを強化していく。
二つ目は、中国が米国への対抗として自国生産品を優遇すると言っているが、私共は中国事業を維持・継続していくために、中国でものづくりや開発を確実にできるようにしていこうと、さまざまな取り組みを行っているということ。
昨年度は質量分析計など、高度な製品群も中国で作ることを始めた。
何かあった場合でも、中国事業をそれなりに維持していこうということで、両面で手を打ちながら事業を拡大していく予定。
【質問3】
トップが独裁的に支配している国は、どういう変化があるか分からない。
ロシアも予想に反して戦争を始めたし、中国だって戦争始めるかもしれない。
ロシアと同じような状態になった場合、中国にある資産は損切りされるのかどうか、そしていざという時の事を考慮して事業が行われているのかどうかを伺いたい。
⇒
中国だけでなく、どこかで地震が起こるとか、さまざまな地政学リスクがある。
世界中にリスクがある中、もし中国に関して何か起こるとなった場合、一つは相手側にいる、今でいうウクライナ側にいる社員がすぐに避難できるように、色々な手立てを打っている。
中国の中で言うと、私共の事業は健康であったり、食品が安全であるかどうかであったり、建物が壊れるのかどうかといったことを調べるのに貢献する装置群をやらせていただいているので、仮に何か起こったとしても、”中国の中で”事業を行うことについて、逆に依頼されるのではないかといったことを考えている。
その時に、日本と切り離した状態でも継続できることを視野に入れながら、色々な手を打っているのが現状。
→ やはりこのクラスの企業となると、中国リスクへの打ち手もしっかり考えている印象です。
質疑は以上で終了。
議案採決の後、新たに選任された取締役・監査役について山本社長から紹介があり、株主総会は閉会となりました。
(10:44)
この後、希望者向けに一時間以上かけて見学会が行われました。
参加したのは3グループ計60名程だったかと思います。
本社・三条工場内のショールームとなっている「メディカルセンター」「サイエンスプラザ」及び共創・協業の場である「ヘルスケアR&Dセンター(KYOLABS)」の3箇所の見学でした。
社員の皆様の丁寧な解説のもと、医療画像診断機器、分析計測機器、真空機器/産業機械他、多様な製品群に接することができ、それぞれに対する理解を深める大変貴重な機会となりました。
やはり日本の産業の発展とヘルスケアには欠かせない会社だということを、再認識致しました。
敷地内の「島津の森」もご案内いただきました。
社員の憩いの場ともなっています。
こちらで植栽されているフタバアオイは、上賀茂神社に奉納されているとのことです。
所感
技術志向のイメージが強く、個人投資家にはイマイチ人気がないのか、質問の数が少なかったのは正直物足りなかったです。
ただ山本社長のお答えぶりからは誠実さが感じられ、回答内容そのものは満足のいくものでした。
見学会に参加して製品に対する理解も深まりましたし、社員の皆様から自社愛が伝わってきたのも好印象です。
以上を総合的に踏まえ、評価は★★★☆☆とさせていただきます。
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コメント
島津製作所 創業記念資料館は行かれましたか。なかなか興味深い展示があります。GSユアサのGSの方は島津源蔵の頭文字をとってますから源流は同じですね。
島津、製薬関係というイメージはなかったです。中国への対応はなかなか興味深いコメントでした。
かつてIRセミナーの時に防衛分野の利益がずっと全然なのに継続しているのは??と聞いた記憶があります。
社内でも議論になるところといったコメントだったような。ちょっとは改善傾向でしょう。
創業記念資料館の方も興味はあったのですが、やや動線から外れてしまうので、今回はパスしました。