著者は「バフェットとのランチ権を65万ドルで買った男」としても知られる投資家です。
学歴エリートが意気揚々とウォール街にやってきたものの、入社したのは悪徳投資銀行。
進むべき方向を見誤っていたと気づき、そこから一流投資家たちとの交流や内省を通じて自身の生き方を変え、人間としても成熟していく過程を描いています。
投資技法を習熟するための本ではなく、良いネットワークを構築し、良き人間になるための学びの本ですね。
自己啓発本に近いと言えるかもしれません。
外なるスコアカードではなく、自分の内なるスコアカードに常に従って生きることが大事なのです。
ウォーレン・バフェット
それまでの学歴・キャリアを通して、常にみんなに好かれ、尊敬されたい(エリートあるあるですね)と思ってきた著者にとって、昼食会でのこの一言が転機となりました。
「外なるスコアカード」に従い、みんなの注目を求める性格であった著者は、投資銀行での業務において、利己的な行き過ぎを正当化し、良心の妥協には歯止めをかけることができませんでした。
あくまで基準は「外」にあったわけです。
一方のバフェットは常にリラックスしていて、自分の「内なるスコアカード」に従い、自分の性格に完全に適合する生き方をしていることに気付きます。
正しいことをしているだけでなく、彼自身にとって正しいことをしていると。
一流の投資家になるためには、自分に正直でいられる状況を作りつつ、人間としての資質を生涯にわたって磨き続けることが必要なのだろうと、大変考えさせられました。
そうすることによって、マーケットを取り巻く奪い合いの世界から距離を置きつつ、ほかの人を助けたいと思っている人々、ギバーばかりのメンバーで構成されたエコシステムに加わることができ、投資家としても計り知れない恩恵を得ることができるのでしょうから。
自分にとっては、なんとなくイメージしていた投資家としてのあるべき人物像、そしてそこに至る道筋を示唆してくれる好著でした。
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