管理会計の中から「値決め」の部分をクローズアップし、マーケティングや行動経済学(ビジネス心理)と絡めながら解説した、会計士の方の本です。
「悪い値決め」は自らのコストが基準で、「良いものを、より安く」。
「良い値決め」は顧客の心地よさが基準で、「良いものを、より高く」。
スケールメリットが崩壊し消費が縮む環境下、どういった値決めがなされるべきか、「すべての日本人に向け」わかりやすく説明していただいています。
実例やエピソード(BMW東京の支店長時代の林文子さんから車を買った話など、唸らされます)が豊富で、会計・マーケティング関連の事前知識がなくともスッと頭に入ってくる内容です(この方面に詳しい方は物足りないかもしれませんが)。
特に「100円マック」を使った限界利益周りの解説、アンカリングや返報性に関する話は秀逸です。
投資家向けに書かれた本では全くないのですが、「粗利益率×回転率」に尽きると言ってもいい小売・サービス業に投資する方にとっては、得られるものの多い本だと感じました。
実際に投資していたりウォッチしていたりする先の価格戦略やサービスメニューを頭に入れながら読むことをオススメします。
なぜそのような手法を取っているのか、その意図が見えて事業戦略に対する理解が進むと思いますし(私もそうでした)、実際にモノを買ったりサービスを受ける際にも冷静な評価を下せるようになること請け合いです。
優待株に投資している方や店舗視察を趣味にされている方が、こうしたリクツを身に着けることができれば鬼に金棒。
普段の消費や投資も、より充実したものとなることでしょう。
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