昨日に引き続き、補足説明資料に基づいて思うところをまとめていきます。
多様なニーズの掘り起こし
跳べるパンプス
昨年の秋、YouTube プロモーションの一環として田中理恵さんとの取組がありましたが、その後も良好な関係は続き、企画開発に関わる形で「跳べるパンプス」の発売に至りました。
自社ECサイトの売れ方で特徴的だったのは、WEB限定カラーが真ん中のサイズから数日間品切れを起こしていたということです。
(その後、すぐ補充できているのは流石です)
当社の商品は、他ブランドでは取り扱いが少なく、熱烈な固定客のいる小さいサイズ・大きいサイズから品切れが起きる傾向があるのですが、今回のパターンはレアだと思います。
それだけ「オリトラ史上最高の履き心地」(&靴擦れ・痛みのお悩み解決)が多くの方に刺さり、会社側の想定を上回る初動だったということでしょう。
今回は需要の高い2型(冠婚葬祭・就活を含めて多くのシーンで利用できそう)を提案ということですが、店頭でのカラーの充実に加え、シリーズ物として違う型が後に続くことも十分期待できそうですね。
何より、今までよりも機能面で付加価値を強く訴求できそうで、値下げせずとも売れる定番商品に育つ可能性が高そうです。
「履き心地」へのこだわりには、おそらく卑弥呼を傘下に収めたことによる好影響も出ているのではないでしょうか。
NICALへの注力
NICALブランドを独り立ちさせ、とうとう百貨店への正式出店に至りました。
面白いと思ったのは、あべのハルカスの同じフロアに卑弥呼が既に出店していることです。
このページにあるように、ORiental TRafficと卑弥呼の間の価格帯、トレンド重視のデザインということで、ブランド間の棲み分けはしっかりできるという判断ですね。
私はこちらのホルダーになってからというもの、商業施設の婦人靴のフロアをおそるおそる歩き回ることも多いのですが(苦笑)、特に百貨店はどこに行っても同じ顔ぶれで、活気のあるブランドが見当たりませんでした。
NICALには複数のオファーが来ているようですから、いずれ各地でちょっと新しい風を吹かせてくれるのではないかと期待しています。
卑弥呼 明治神宮前店オープン
元々ORiental TRafficの店舗だった場所に、卑弥呼のEC連動型旗艦店がオープンしました。
この場所は原宿の駅前にあり(家賃はめっちゃ高いはずです)、ブランドの広告塔的役割を果たしていた店舗です。
ORiental TRafficではその役割は十分果たしたということで、今度は若者の街(←表現古い)で「卑弥呼」の広告塔になるということですね。
卑弥呼の売上高のピークは2000年前後ですが、当時の20代・30代はもう40代・50代。
さすがに新しい顧客層も開拓したいところです。
本社からも歩いて近い場所で、顧客の声を活かした商品開発にもつなげていきながら、「輝きよ、もう一度」といったイメージでしょうか。
グループとして、卑弥呼に対して相当な期待をかけているのを感じます。
婦人靴業界を活性化
資料のP.19にはブランドのポジショニングマップが記載されているのですが、今期1Qの資料からは「様々な顧客層のニーズに応え婦人靴業界を活性化」のタイトルが付されています。
この「婦人靴業界を活性化」というフレーズには、成熟化する業界の中で、自分たちがリーダーとして牽引していくんだという矜持を感じます。
これはコロナ禍を経て、より強まった意識だと思います。
そしてナースシューズ等を含めた最近の個々の動きからは、(トレンド品を織り交ぜつつも)定番品を中心とした繁盛店での回転率重視のスタイルから、潜在的なニーズ・客層を掘り起こし、機能性・デザインで高付加価値の商品も併せて、実店舗・EC連携で売っていくスタイルへと進化している印象も受けます。
さまざまなトライがうまくはまれば、セールへの依存度を下げることができ、店舗経費のかからないECへの送客促進と相まって、収益率の更なる向上が期待できますね。
現場からの提案を重視しチャレンジを推奨する組織文化は、これからもぜひ大切にして欲しいと思っています。
気になること
今期3Q・4Qに関しても、これまで述べてきた足元の状況から、前年度対比での増収・利益率の改善が十分期待できそうです。
この時期の2足セットフェアも、前年の8,000円に対し今年は10,000円でスタートしており、抜かりないなと感じます。
今回の資料で気になったのは、海外の状況についての記載がなかったことです。
人流を考えれば、致し方ないところではありますが…
私が当社に投資した大きな理由の一つに、「海外展開の足掛かりを既に作っていること」がありました。
実際、香港でも日本流のサービス(丁寧な接客、トップリフト無償交換、下取り等)は広く受け容れられているようです。
上場時の「成長可能性に関する説明資料」では、「利益率の高い中国EC売上高の急加速に伴い 売上高を上回る利益成長を見込む」「日本ブランドとして海外での地位確立へ」といった、勇ましい文字が躍っていました。
卑弥呼の買収等により、当時は想定していなかった成長の方向性も出てきているのは頼もしいですが、やはりこちらの方向性でもいずれは「想像以上」の夢を見させていただくことを願っております。
(終わり)
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コメント
いつも良記事をありがとうございます。
ろくすけさんの記事を読むといつもダブルエーに買い増しをしたくなりますね。
一人で婦人靴フロア回ってるのは流石です。私はまだまだ情熱が足りないなと、刺激を受けました。
定期的に遊びに行っているラゾーナ川崎店では、前回の7,000円セールでは店に1、2組程度のお客さんでしたが、今回の10,000円セールでは2時間ほど観察してますが、常に5組以上おり、非常に力強く感じました。
恐れ入ります。
ダブルエーは本来の力をまだ出し切れていないというところが、伸びしろの大きさを感じるところですね。
分析にも力が入ってしまいますが、婦人靴フロアを回るのはやり過ぎかもしれません(苦笑)
ラゾーナ川崎のお店はまだ行ったことがないので、情報ありがたいです(2時間ほど観察とは、なかなかです!)。
草の根IR活動 参考にさせていただいております。
日経IR・個人投資家フェアのイベントで
「アマチュアだからこそ株で勝てる 会社員投資家の1億円突破術」
の講演を日経マネー副編集長の中野目さんがやってましたが
スライドもどこかで見た感じだし、また内容もどこかで聞いたことあると思ったら
半分くらいはなんとなくろくすけさんの話みたいでした。
連載内容は日経マネーに権利が属するからそうなるのかなぁなんて思って聞いてました。
日経IR・個人投資家フェアの貴重なお話、ありがとうございます。
所用があって参加できませんでしたが、興味深いですね。