今回で1Q決算分析をまとめます。
前々回、前回でこの1Qのポイントとして、以下2点について述べてきました。
①売上総利益率のポジティブサプライズ
②ブランディングのための広告宣伝費の集中投下
通期見通しに明るさ
上記から私が伝えたかったことは、以下の通りです。
①→ 2Q以降も原価上昇に対応する形での巧みなプライシングにより、売上総利益率を相応の水準に維持できるであろうこと。
… 日本人が円で商品を買う以上、輸入品を扱う靴屋さんはどこも円安の影響を受けます。他国企業との競争の中で通貨高が業績に直接的にダメージを与える輸出企業にとっての円高とは違い、ライバルとの競争において為替の悪影響を重く見る必要はありません。
②→ 季節性で元々業績が振るわない1Qに多額の広告宣伝費を寄せたにも関わらず、赤字がこの程度で済んだこと。
1Qを(私目線で)いい形で乗り切ったことから、通期見通しに不安はなくなったと考えています。
ここで改めて四半期推移を見てみましょう。

通期では営業利益で▲136百万円、経常利益で▲144百万円の減益の予想。
1Q実績は営業利益で▲68百万円、経常利益で▲151百万円の減益の実績。
私は今期の減益額は1Qに集中する(2~4Qで挽回する)と見ていたので、赤字がこの程度で収まったことに胸をなでおろしています。
なお、前期2Q~4Qの実績は営業利益1,187百万円、経常利益1,167百万円です。
単純に今期1Q+前期2Q~4Q実績を計算すると、営業利益1,037百万円、経常利益880百万円となります。
これはほぼ通期予想に到達する水準です。
一方、今期2~4Qについては、以下4点から前期を上回る可能性が高いと見ています。
①5月に月次対前期比143%を出すなど、購買意欲の高まりが見られること(2Qは幸先の良いスタートを切れていること)
②4Qは前期4Qのようなアクセル&感染症急拡大による急ブレーキは恐らく起こらず、売上総利益率の改善が期待できること
③会社側で当初想定していた、「新型コロナウィルスの第7波、8波が再来すると仮定」については、仮にあったとしてももはや行動制限の方向性にはつながらないであろうこと
そして、
④物流コスト抑制の効果が表れていること(後述)
です。
私は最も懸念していた1Qをいい形で乗り切ったことで、今期は通期予想に対しても上振れて着地するのではないかと見ています。
元々会社側は諸々悲観的な想定の下で通期予想を出しておりましたが、実際にはそこまでではないという結果になりそうだということです。
高度な流通体制の構築
ここで「物量コスト抑制の効果」について説明しておきます。
私がこの1Qでやや違和感を持ったのは、「販管費が+222百万円しか増加していない」ということです。
多額の広告宣伝費をかけ売上高も増え、またエネルギーコストの上昇により物流コストも増えているだろうに、この程度で収まっている…
「何らかの販管費削減の取り組みが行われているのでは?」と考えたわけです。
その疑問について確認させていただいた結果、理由が判明致しました。答えは補足説明資料にあったコレ↓です。

物流単価は上昇しているものの、倉庫移転及び作業ロボット導入等による効率化がなされており、年間コストは削減できているとのことでした。
1Qで早速効果が表れたということで、これには正直驚きました。
どこのシステムを導入しているのか調べてみたところ、ドンピシャで見つけることができました。

この映える赤い箱、見覚えありますよね!?
三菱商事グループと一緒に、物流の効率化に取り組んでいるということです。
さらに以下のロボットの動画。
見ていただくと分かるのですが、補足説明資料の画像そのまんまの場面が出てきます。
1:42あたりではロゴも見えますよ。
作業員が動かずに棚の方が移動することによって、移動距離が減り作業効率がUPするであろうこと、人手不足にも対応可能であろうことが一目瞭然です。
ダブルエー(社名は紹介されておりませんが)が導入事例にふさわしい相手として選ばれ、早くも物流コスト削減の成果が表れているのは大変喜ばしいことです。
私は業容の上でも「婦人靴のユニクロ」になるためには、もともと規模の割には十分高度な流通体制を、さらに一段階レベルを上げて欲しいと思っていました。
この取り組みは「まだまだ国内でも成長するぞ!」という経営の意思の表れだと捉えています。
今後にますます期待できそうな材料が増えた1Qでした。
(終わり)



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