コンテンツビジネスの狙いが見えたところで、業績への波及効果について具体的に考えていきたいと思います。
販売目標に対するレバレッジ。
例を挙げて説明します。
eBASE(有償版)の未導入企業がコンテンツビジネスに興味を持ち、「クラウドサービス」の売上(商材えびす+新機能)として年間100万円の契約(①)をしたとします。
利用にはeBASE(有償版)の契約が前提となりますので、ここで eBASEserver を契約したとすると、そのイニシャルで例えば導入サポート込みで2,000万円(②)、純粋な販売価格で1,000万円の売上が立つことになります。
契約次年度からは1,000万円×20%=200万円(③)のライセンス&サポート費の売上が立ちます。
仮に計画1年目の2022/3期に、eBASE&商材えびす&新機能を導入したとしますと、3年目までの売上高は以下のようになります。
1年目(①+②) | 2,100万円 |
2年目(①+③) | 300万円 |
3年目(①+③) | 300万円 |
計 | 2,700万円 |
計画期間中の「クラウドサービス」売上100万円×3=300万円(=コンテンツビジネス関連販売)に対し、トータルでは2,700万円と、コンテンツビジネス関連販売にカウントされる売上に対し、eBASE事業全体で9倍のレバレッジが効くことになります。
わかります?(丸山桂里奈顔)
eBASE、あるいはeBASE&商材えびすの既導入先への新機能提供もあるでしょうから、このケースに当てはまるのは一定割合に留まるでしょう。
ただ、億レベルの大型契約もあり得ますし、契約後は他のオプションソフト導入やライセンス追加に広がっていくことが十分期待できます。
そう考えれば、関連販売「3年累計1億円」の目標2つについては、eBASE事業全体で考えた場合、相応のレバレッジがかかって売上に反映されるとみなすべきです。
文字通り、販売のテコ入れ ですね。
これらのリリースが出る前とは、見通しの明るさが段違いです。
昨年の10月末より株価が下なのが正直信じられないのですが、まあこれが株というものなんでしょうね…
特許権取得の内容から推測すると、コンテンツビジネス関連でまだまだリリースもあるかと思います。
2024/3期を終えた段階で、現在年間20億円そこそこのeBASE事業の売上高、そして10億円そこそこのセグメント利益は、いったいどれだけの規模になっていることでしょうか。
限界利益率の極めて高い(7割程度でしょうか)事業だけに、非常に楽しみです。
(あえて数字は出しません。そこは考える楽しみを残しておかないと、ですね。)
長期的な成長見通し。
種類別販売実績の推移から。
パッケージソフトを売ると、規模の大きいところを中心にカスタマイズも伴うことになります。
パッケージソフトのライセンス追加やオプションソフトウェア追加も合わせて、「フロービジネス」としています。
実質的には「ストックビジネス」に近いものも含まれていますね。
そしてパッケージソフト、オプションソフトウェアに対する「ライセンス&保守費」。
今注力中の「クラウドサービス」と合わせた「ストックビジネス」が、全体業績をしっかり下支えします。
こうして見ますと、右肩上がりの業績推移を想像しやすく、新型コロナの影響を受けての今期の減収減益予想に関しては、イレギュラーでグリッチ的であると感じます。
(このようなビジネスモデルでの減収減益見通しは非常に意外感があったので、昨年10月30日は暴落したのでしょう。)
今期3Q時点のものも一応確認しておきます。
3Q時点でだいぶ売上高は前年度に接近してきています。
4Q単独では、前年度4Q単独の「ライセンス&保守費」(306百万円)「クラウドサービス」(99百万円)実績に加えて、前年度4Q単独のパッケージ販売分に対する「ライセンス&保守費」の上積み(推定+26百万円)、「クラウドサービス」の上積み(不明。+20百万円前後?)の合計が、「ストックビジネス」の売上として見込めます。
⇒ 「ストックビジネス」は通期970百万円前後、前期比+80百万円弱くらいになるものと推定。
全体としては、4Qに売上が集中し、商談の遅れを予測している「パッケージソフト」次第ではありますが、「締めてみたらやっぱり増収増益だった」ということも無くはないです。
少なくとも現状の業績予想はちょっと保守的なのではないかと思っています。
長期でみたら、今期に「パッケージソフト」が間に合おうが来期にずれようが、どうでもいい話ではあるのですが。
成長の方向性。
ここで「件数×単価」の観点で、成長の方向性を考えてみます。
成長手段としては、
- ユーザー数を増やす
- その中で有償ユーザーの割合を高める
- 有償ユーザーに対しアップセル・クロスセルを行う
が考えられます。
1は利便性の高まりを受けたネットワーク効果による増加と、(食品業界に端を発する)業界の横展開によってもたらされています。
現状は年間+1万ユーザーの増加ペースですね。
その中で2を実現させるために、DX推進プランのような、「ちょっとお金を払ってもいいかな?」と思える新サービスの開発・提供に余念がないわけです。
特に今後手掛けるコンテンツビジネスは、これまで見てきた通り、このうち2に強く働きかけ、3へとつなげる強力な武器となります。
これまでの前提が変わり、業績が飛躍を遂げる可能性が高まったと個人的に感じております。
10年後の妄想。
ここでちょっと10年後を見据えた妄想シミュレーションをしてみたいと思います。
2021.3.1現在の総ユーザー数は168,832です。
今期着地見込みの「クラウドサービス」売上高が 292百万円、仮に月額2万円として割ってみると、「クラウドサービス」を利用している有償ユーザー数は、このうち 1,216 に過ぎない計算になります。
ユーザー数全体のわずか0.72%です。
10年後までに、年率+6%(現状では+1万人相当)でユーザーが増えたとします。
すると10年後のユーザー数は1.79倍(①)になります。
仮にコンテンツビジネスの訴求が奏功し、有償ユーザー数は(「クラウドサービス」のユーザー単価アップでもいいですね)、0.72%→5%へと6.94倍(②)に増えたとします。
ユーザー数を増やしていき、さらにそのうちの有償ユーザーの割合を増やすことで、有償ユーザーからの売上は①×②=12.42倍。
今期「クラウドサービス」売上高見込み 292百万円×12.42=10年後の「クラウドサービス」売上高予想 3,626百万円。
「クラウドサービス」だけで、こんな数字になってしまいます。
「クラウドサービス」のユーザー数が12.42倍になるまでの間に、「パッケージソフト」「カスタマイズ」の累積売上もそれに応じて上がっているでしょうし、「ライセンス&保守費」に計上される単年のストック売上もそれに比例して上昇していることでしょう。
eBASE事業全体の売上高は、いったいどうなってしまうのか…
この場合、売上高の桁が変わってくるのは間違いありません。
そして売上高の増加分に対し、7割の利益がプラスオンされてしまったら…
わかります?
これはベストシナリオかもしれません。
ですが、少なくともそう考えられるだけの潜在的な力はあると思っています。
まとめ。
こうして見ていきますと、ストック売上が別のストック売上を生み、複利での価値増大が期待できる企業であるということが、よく分かるかと思います。
今期の(グリッチ気味かつ保守的な)業績予想に対するPER50倍台は、果たして高いと言えるのでしょうか?
2024/3期の見通し、あるいは10年後の見通しと比較して。
こういった企業に対し、株価のトレンドがー、含み益がーみたいな話をすることについては、どう思われますか?
今まさに、各人の投資スタイルと「千里眼」の有無が問われているような気がします。
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