【7683】ダブルエー 中期経営計画達成への道筋(6)~まとめ

企業研究

それではまとめに入ります。

まずは計画数値を振り返ってみましょう。

売上高は現状のペースでいけば普通に超過しそうな勢いですが、問題は非連続的な営業利益率ですよね。

ざっくり営業利益率15%ということは、例えば売上総利益率65%・販管費率50%のような組み合わせということになりますが(おそらく当社側も、この辺を目途にしている気がします)、果たしてこれは実現可能なのでしょうか?

カギは「販管費率」


ここで利益率・販管費率の過去業績を見てみます。

売上総利益率の65%は、①定番商品のボリューム増・部材共通化等による原価低減 ②中高価格帯ブランドの成長 も期待できますし、一気通貫のサプライチェーンを通して価格コントロールも可能であることから、ある程度実現可能な数字に見えます。
(一方で、これ以上の大幅な引き上げは難しい気もします。)

問題は販管費率の50%の方です。

直近で57%台、コロナ前の低い時でも52%弱でしたから、50%以内に収めるには相当な努力が必要に思えます。


では、他のSPA(靴業界以外も含めて)の費用構造はどうなっているのでしょうか?

当社の売上総利益率は、他のSPAと比較してもとても優秀で、生産から販売に至る一気通貫の強さが際立っています。

逆に販管費率については、当社を除くSPAの有名どころは40%前後といったところで、当社は突出して高く見えます。

ここは改善の余地が大きそうです。

他社との違いは、何と言ってもチェーンとしての規模(→各種コスト面でのスケールメリットに劣る)、そして労働生産性(→1人当たり営業利益額の違いは如実)から来ていると考えられます。

婦人靴販売の場合、やはり「接客」に人手がかかってしまうのは宿命であり、その点でハンデがあると言えますが、その中でも販管費率を大幅に下げるには、「いかに人手をかけずに、たくさん売るか」という視点での販売プロセスの見直しが必要になると考えられます。

やはりオンライン強化

販管費で大きなウェイトを占めるのは、人件費(数字は明らかではないものの、販売代行に係る手数料も大きいと見られます)・地代家賃・減価償却費、(卑弥呼やNICALで発生する)百貨店に係る掛率手数料といった、実店舗運営にかかるコストです。

この部分の増加をできるだけ抑制しつつ売上高を伸ばしていくためには、やはり実店舗での販売にレバレッジを掛ける手段としての「オンライン強化(→店舗とオンラインの連携によるシナジー創出)が、重点施策の一丁目一番地でしょう。

その意味で、この中期経営計画に通底する考え方は一貫していて、個人的にはとても納得感があります。

計画実現に向けての個人的な印象

販管費は直近期で57%台と膨らんでおります。

これを50%に収める方法を探るべく、数字を仮置きしながら軽くシミュレーションをしてみたのですが、

①上記実店舗運営コスト(掛率手数料以外)の増加抑制
⇒オンライン比率向上、既存店のラインナップ拡充・付加価値向上による売上拡大
②広告宣伝費の正常化(直近期は20周年ということもあり、大々的にTVCMを打った影響が大きいです)

によって、ECモールの掛率手数料・倉庫保管料・荷造運賃といった費目の売上高比が一定という前提でも、達成目標として成立し得る感触がつかめました。

物流コスト抑制についてはこちら(三菱商事ロジスティクス「ロボデポ」)で当社が導入事例として挙げられていたり、販促の効率化についてはこちら(フィードフォース「dfplus.io」)で同様に採り上げられていたりと、各方面でEC強化・生産性向上に向けた取り組みも行われています。

先方から伝わってくる「無理なく達成できる」とのニュアンスも、あながち的外れではない気もしております。


中期経営計画達成に向けたステップとしての来期予想をどう出してくるかが注目ですが、現在のところ為替動向は一時期に比べて落ち着きつつあり、予算を立てる環境としては悪くなさそうです。

この計画通りに事が進めば、2026/1期の予想EPSは今期のそれの倍近くに達する計算ですが、どうなりますか…

ここからの答え合わせが面白くなりそうですね。

(終わり)

この投資はボラティリティとの戦いになりますね。自分の立てた投資ストーリーを信じられるかどうかです。
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