【7683】ダブルエー2023/1期2Qについて(1)~決算概要

企業研究

9/14に2Q決算発表があり、9/21に補足説明資料のリリースがありました。

私が個別に確認した内容を含めて、いつものように考察を記事として残しておきたいと思います。


ポイントとしては、以下の2点です。

①厳しい環境下でも健闘した決算という印象ながら、多くの投資家の期待には届かなかった模様

②一方で(補足説明資料から)今後に向けての解像度は一段と高まり、より中長期的にポジティブに考えられるようになった

本日はまず①について書きます。


なお、今後個別株の決算に関して記事にする時は、少し日を置いて出来高が落ち着いてから書くようにするつもりです。

主に、IRに疑問点をしっかり確認してクリアにした上で書きたいのと、出た数字に対する投資家の素直な反応を観察したいという観点からです。

決算概要

まず、いつもの四半期推移です。

2Q累計では当然減益ですが、2Q単独でも減益となりました。
この点が多くの投資家にとって期待外れだったということなのでしょう。

私個人としても2Q単独での前年同期比プラスは「あわよくば…」とは思っていましたが、海外でのロックダウンの影響が大きかったこと、5月にいったん落ち着いたかに見えた円安進行も再加速していったこと値上げもガマンしたことを考えれば、十分合格点だと評価しています。

ただ決算発表前の上げを見る限り、もっと上を期待していた投資家が多かったのでしょう。

売上総利益率について

2Qはセール期ですので、売上総利益率は元々1Qに比べれば落ち込む傾向にあります。
また、1Qは(広告宣伝効果により)プロパー価格での販売が例年以上にうまくいったのもあります。
1Qの売上総利益率からの▲3.0ポイントの低下には、特に違和感はありません。

2Q単独の前年同期比では▲0.4ポイントの低下となりました。
これに対しては上記の繰り返しになりますが、状況を踏まえればむしろ良く踏みとどまったという印象です。

広告宣伝費について

今回の補足説明資料において、「別枠」広告宣伝費の金額が明らかになりました。

「別枠」とは以前説明させていただいた通り、通常の広告宣伝費とは分けた「中長期的な」ブランディングのためのもので、上場資金使途として2023/1期までで550百万円使うこととしていたものです。

2Qまでの「ORTR」「跳べるパンプス」のTVCM等で使い切る形と説明していましたね。


私の勝手予測ではこの「別枠」は残り3.5億円としていましたが、結果は3.6億円とニアピンでした。
ただ1Qと2Qの配分では、思っていたよりは2Qのウェイトが高かったことが明らかになりました。

2Q単独の営業減益も1Q同様、結局「別枠」広告費1.2億円の存在が大きかったためということになります。


ここで気になるのは、「引き続き広告宣伝を実施します」の文言。

これについて確認したところ、「別枠」はこれにて終了となるものの、導線づくり・イメージづくりは引き続き必要と考えるため、通常の広告宣伝費の中では各店舗でのモニター・タペストリー設置等による販促を従来通り続けていく(そこそこの費用ではあるようですが)という意味合いでした。

せっかくのブランディングの効果を持続させなければいけないですからね。
納得です。


3Q以降はこの「別枠」が無くなり、来期はこれが直接的な大きな増益要因となると考えています。

またいずれブランディングのための投資を行うかもしれませんが、あるとすればNICALかなと思っています。

ただNICALに関してはまだまだ手探りの状態ですし、ここまでの大規模な広告投下は少なくとも来期は考えにくいです。


ブランディングのための多額の投資の効果として、予想外で嬉しかったのは、認知度向上による「販路の拡大」ですね。

これに関しては、次回の記事で詳しく触れたいと思います。

為替差損について

為替差損が累計115百万円(1Q 68百万円、2Q 47百万円)に達しております。
この調子だと3Qも出るのはほぼ確実でしょう。

ただ、為替差損は仕入時の為替と決済時の為替(おそらくタイムラグは1か月程度)の差異により生じているもので、一方的に毎月円安が進む局面においては避けられないものです。

逆に円高にトレンドが変わってくれば、今度は差益が発生してきます。
米金利上昇による円安にも限度がありますので、4Qあたりでは差益が発生してくる可能性は十分あります。

いずれにせよ、為替差損益は本質的なものではありません


このような円安進行で最も懸念されるのは、消費者の購買意欲が減退することです。
そこを悲観して株を売却するのも、投資の時間軸の取り方によっては理解できます。

ただ、国内で商売している限り、円安で苦しいのはどこも一緒です。

こうした状況下、競争優位性の有無によって業界内での優勝劣敗がハッキリしてきたのが、過去のさまざまな業界における勝ち組SPAの躍進の背景です。


もちろん婦人靴業界においては、当社はその最右翼である(と言うか、他は考えられない)と確信しているからこそ、私は長期で持ち続けようと思っているわけです。

・幅広いサイズに対応でき、トレンドに敏感に追従できるオペレーションの優秀さ。
・「跳べるパンプス」「ORTR」「NICAL」のように、付加価値をつけながら価格帯を引き上げることのできる、商品開発力・プライシング力。

全体としては元気のない婦人靴業界において、こうした当社の強みが活かせる環境が整い(マルイのPBのような同業他社の縮小、あるいは廃業・倒産も今後増えるかもしれません)、業界内でのシェア向上がより期待できる状況になった、その時期が早まったと、むしろ中長期目線ではポジティブにとらえております

私の投資仮説の一つは、(婦人靴に留まらず)国内の靴業界においてABCマートに次ぐ利益2番手の地位を固めるというもので、それが現実的になりつつあると感じているところです。

今期の着地見通し

下半期に関しては、主に以下の点から前年同期比プラスで推移し、通期着地としては計画数字は無理なく達成できると見ています(大幅超過については、1Q時点に比べ期待しにくくなりましたが)。

  • 行動制限の可能性が、昨対比大きく低下(前期は緊急事態宣言、まん延防止等重点措置あり)。
  • 仕入原価上昇を受け、秋冬商品からは全般的な価格帯引き上げが顕著に(今期2QまではORTR商品を除いて上代の価格帯変更は無く、ライバルを観察しながらガマンしていた印象)。
  • セール時の値引き抑制傾向が強まる(2足セット販売が1万円台へ)。
  • 前期4Qのやらかし(ブーツ追加生産でアクセル→感染症急拡大による急ブレーキ・在庫処分)の教訓が活かされ、4Qでは売上総利益率の大幅上昇が期待可能。


そろそろ焦点は、来期以降のことになっていくかと思います。

(続く)

次回の記事では、「今後の戦略への解像度の高まり」を中心に書いていきます。お楽しみに。
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