ダブルエーによる婦人服「ミッシュマッシュ」の取得について(2)

企業研究

前回は株式会社卑弥呼 買収時との共通点について述べました。
今回は相違点についてです。


《参考資料》

事業取得のための吸収合併に関する基本合意のお知らせ
(2022年9月28日付:MISCH MASCH)

株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
(2020年3月16日付:卑弥呼)

相違点
  1. 婦人靴と婦人服
  2. 店舗立地と顧客層
  3. グループとしての目指す姿

以下、補足です。


1⇒
靴とアパレルでは取扱商品が違うものの、「当社のこれまで培ってきた経営資源や生産仕入、海外子会社による品質管理、流通システム、EC 販売といった事業の強み」は活かすことは可能としています。

個別に確認した内容からは、特に仕入れから販売までの流通システムの活用に期待していることがうかがえました。

大きなくくりであるSPAとして外から見た時に、改善の余地が十分あると踏んだのでしょうね。


私は個々のアイテムのサイズ展開の幅広い靴の方が、アパレルよりも在庫管理は難しいのではないかと見ています。

ファーストリテイリングにしても、GUでの取り扱いが形になるまでは靴で相当苦戦していた印象です。

多様なジャンルにまたがる靴でシビアな管理をやっている分、今回アパレルに本格的に参入しても勝算があるという判断に至ったのではないでしょうか。

(なお、当社としても「acro」ブランドで靴とのコーディネイトを目的に、アパレルもECで限定的には手掛けてはおりますので、ノウハウが全くないというわけではありません。)


2⇒
卑弥呼の買収時は、店舗立地が百貨店中心、高価格帯で顧客層も重複しないということで、幅広い顧客ニーズに応えることが可能という判断がありました。

一方のミッシュマッシュは、共通の駅ビル及びショッピングモールへの出店が多く、顧客層に親和性があります。

アイテムが異なるので、出店場所が重なってもOKということですね。

相互送客、物流インフラの共有、人材交流(100名規模の人材確保も、隠れた狙いなのかもしれません)なども視野に入れていることでしょう。


3⇒
卑弥呼買収時には、「お客様に支持されるシューズブランドとなれるように」との文言がありました。

今回は、「これまで以上にお客様に支持されるファッション小売り企業となれるように」とあります。

「婦人」で「靴」以外にも着目した挑戦となりますね。

事業リスクについて

今回ミッシュマッシュの取得を決断した理由として、「店舗数が20店舗とそれほど多くなく、出店場所の立地が良いこと」もあるとのことでした。

これは成長余地が十分あるということと同時に、チャレンジするには手頃な規模感というのもあるのだと思います。

ブランド力があって、立地も良い。
財務もスッキリ、手頃な規模感で負担感がない、取得価格も安い。

ということで、万一失敗したとしてもグループ全体に与える影響は限定的とすべく、リスクを極小化した上での挑戦ということになろうかと思います。

所見

これまで当社を観察してきて感じられるのは、「挑戦する気持ちは常に忘れないが、物事は慎重に進める」という姿勢です。

既存ブランドの出店に関しても、全国で面を一気に取りに行くというよりは、一店一店の採算と効率性を重視しているものと見受けられます。

卑弥呼にしてもミッシュマッシュにしても、ブランド力と健全なB/Sがありながら赤字のために「見切り売り」されたM&A案件を、上手に拾っている印象です。

アパレルで他ブランドも取得していく方針はあるかどうかについて確認したのですが、現時点ではミッシュマッシュ事業を成功させることに注力するとのことでした。

この辺も堅実ですよね。

これからの新たな楽しみとして、「お客様に支持されるファッション小売り企業」への成長の過程を、安心して見守っていきたいと思います。

(終わり)

「『挑戦』はすれど『冒険』はしない会社」と言っていいかもしれません。
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