昨日、3Q決算発表がありましたので、私の感想をまとめておきます。
私のこの決算の事前のイメージは、「8,9月は緊急事態宣言とデルタ株の感染爆発によるその延長があってやや厳しく、『10月でどれだけ挽回できるかが勝負』。3Q単独で利益が前期を上回ればOK」というものでした。
結果としては、3Q単独では減収となりましたが、利益面では期待していた数字がきちんと出て、通期予想を超過してくる目途が立つ形となりました。
さらに4Q及び来期以降に向けて、決算補足説明資料には楽しみな内容がいくつも書かれておりました。
総じて良い決算であったと思います。
以下で詳細について説明していきます。
四半期推移と3Qの結果について。
この3Qはやはり8,9月は厳しかったようで、減収でした。
ただ、売上総利益率は前期4Qからの良い流れが続いており、今回は何と前年同期比+5ポイントのアップ!
「高単価のブーツが好調」とありましたが、今期はキャリー在庫を抑制できていたことも大きいでしょう。
(直近では在庫が増えていますが、これは季節的なもので、書き入れ時の4Qに向けた仕込みと考えて良いと思います。)
販管費も、恐らくはシーズン切り替え時の広告宣伝費の抑制もあって削減でき、営業利益は逆に+1億円強の増益となりました。
3Qが例年弱くなる季節性(業績の強さは、4Q>2Q>3Q>1Qの順)からして、利益水準として十分な数字だと考えます。
これで4Q単独で前期4Q並みの数字が出せれば、通期の利益予想は無事達成となります。
「もう大丈夫!」という印象です。
ちなみに私の予想としては、来店客数の回復見込み(2021年1月は緊急事態宣言が発令されていました)、後述の卑弥呼の足元の状況、値下げしなくても売れる商品の存在(跳べるパンプス、ナースシューズ)、福袋の単価アップ等々を鑑みると、前期4Qを上回る可能性はかなり高いのではないかと見ています。
なお売上高については、緊急事態宣言をまさか9月末までズルズル引きずるとは、当社としても期初の段階では思っていなかったことでしょうから、未達となるのは仕方ないと思います。
(売上高▲10%の下方修正基準を免れるには、4Qで4,580百万円の計上が必要となります。厳しめの情勢ですね。)
ただ逆に、そんな厳しい売上高でも利益はしっかり合わせてくるのは、卓越したマネジメント・優れたオペレーションの成せる業です。
「想定外の事態」にはキャッチアップにやや時間がかかるものの、「想定し得る事態」となった頃には適切にミートしてくる、そんな凄みを改めて感じさせるものがありました。
決算補足説明資料から見える明るさ。
実は、2Q決算が好決算でありながら株価的には長続きしなかったことを受けて、3Qの決算補足説明資料の作成にあたって事前にいくつか要望を出しておりました。
明るい未来を予感させ、期待感が続くようにして欲しいという観点からです。
経営陣とも要望については共有いただけたようで、うち反映していただけたと(勝手に)思っているのが、以下の部分です。
- 卑弥呼の状況
- 海外の状況
- 実店舗とECの相互送客の取り組み
卑弥呼については、11月が+19.8%ということで、4Qは幸先の良いスタートが切れていることになります。
海外については、香港における地元消費の好転・今後のインバウンド需要の回復期待、中国本土でのインフルエンサー活用による認知度向上の記載がありました。
(このところ海外に関する当社からの発信が無かったので、気になっていたのです。)
そして凄いなと思ったのは、ECと実店舗の相互送客・役割分担についてです。
・EC限定アイテム・カラーの拡充。
・うち販売好調アイテムについては、店舗へ展開を拡大。
・販売実績のある定番アイテムやナースシューズについては、EC限定とする。
定番アイテムをEC限定にする、このメリハリの付け方には驚かされました。
少量から企業側がチャレンジできるという特徴と、定番アイテムならば顧客が安心して注文できるという特徴を併せ持つEC。
実際に手に取って履くことができる安心感を、広く提供できる店舗。
それぞれで商品を差別化しながら、高利益率となるECを極力活かす形で、上手に役割分担しながら進化してきていますね。
今後の安定成長及び加速への期待。
一方、私にとって全くのサプライズであったのが、配当開始です。
「コロナ禍においても、安定的に利益が確保できる見通しとなったため、初配当をすることにいたしました。」
この文言は、中長期的に大変心強いものがあります。
今後のコロナ禍はもはや「想定し得る事態」として消化できており、実店舗とECの両方をフル活用すればきちんと安定して利益を出していけるという、確かな自信の表れではないでしょうか。
余談ですが、配当+優待の「総合利回り」で多少見栄えが良くなったことで、優待族の方々にも着目していただけたらなとも思っています。
今回の決算は、安定成長への確実な足取りを印象付けるものでした。
とはいえ、まだやはり出店に関しては、かつてに比べれば慎重姿勢を感じます。
今期は14店舗出店に対し、11店舗の退店。
決算補足説明資料には「経営資源の選択と集中を図り」の文字。
決算短信にも「好立地かつ好条件の店舗展開」とあり、出店は厳選している様子が伺えます。
やはり主力のパンプスの需要減が意思決定に与える影響は大きかったのでしょうね。
ただ「跳べるパンプス」も、期中に新色の追加販売を実施するなど好調で、来春以降、商品型数を増やして展開を拡大する動きも見せています。
また四季報には、「23年1月期は地方や郊外の商業施設への出店が寄与」とありました。
同業に元気が無い(出店できる体力が無い)中、出店余地は極めて大きいと感じています。
(これに関する仮説は、またどこかで機会があれば)
香港でのインバウンド需要復活も含め、来期からは「回復」のフェーズを終えて「成長再加速」のフェーズへと入っていくのではないかという期待感があります。
まだまだ本来のポテンシャルは全然発揮しきれていないと感じているだけに、先々が楽しみです。
そんな当社には、将来への期待感を高めるIR(+できれば「想像以上」の結果!)を継続していただくことを切に願っております。
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コメント
ろくすけさんの決算コメントは、株に(今のところ)興味のない私でも、なんだか読みたくなってしまいます(^^)
たぶん、企業への愛が感じられるからなんでしょうね。
ただ稼げればいい、というブロガーさんたちと一線を画す文体だなぁ、と今回も楽しく読ませてもらいました!(ろくすけさんが心を躍らせながら書いているような気がしました。)
ありがとうございます。
基本的にホルダーあるいは保有を検討している方に向けて書いているのですが、
そうでない方にも読ませる文章になっているということであれば、大変嬉しいです。
稼ぎとかフォロワー数みたいなものにとらわれると、書けることも限られてきますからね。
はい、お察しの通り私も楽しんでいます(笑)
いつも詳細な分析ありがとうございます。
ZOZOのレディース靴売上ランキングで10位以内にORIENTALTRAFFICが3つも入ってますね。1位がナイキスニーカー、2位が我らのORブーツ、3位がナイキスニーカー、なのでブーツはかなり好調に売れているんだなと。
株主優待に関してなんですが、残念ながらホームページ上に記載が無いんですよね(過去のIRを遡って確認するまでは普通やりませんよね)。
現時点では優待族の皆さんに注目されてないようですが、千人単位で興味を持ってもらえれば、売りが蒸発するだろうな、とか夢想しております
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
そうですよね、売れてますよね!?
今年は特にそう思います。
株主優待は同業のアマガサが目立ち過ぎるせいか、こちらはあまり注目されていない印象です。
桐谷さんも使えない優待ですし(笑)
確かにホームページでもっとアピールしてもいいですよね。