【3835】eBASE 今こそ再評価したいサステナブル経営(1)~ESGとの親和性

企業研究

10/29に2Q決算発表のあったeBASE。

業績好転が明確となった決算であるにも関わらず、その後の株価推移にはガッカリされた方も多いかと思います。

(この状況に関する私の感想については、次回以降にでも)


私は決算内容よりむしろ、同時に発表されたプレスリリース、「eBASEグループのサステナビリティ(ESG/SDGs)への取組について公開しました(/)」の方が気になりました。

eBASEグループは、創業来の企業理念である「①貢献→②利益→③継続(サステナビリティ)」を体現した事業活動を通じて社会課題の解決により、eBASEグループの社会価値および財務価値を向上させ、永続的企業経営を実現することで、社会の持続的な発展に貢献することを目指しています。

当グループのサステナビリティの実現に向けた、具体的なESG及びSDGsの取組について当社のホームページにて日本語と英語にて公開しました。


このプレスリリースには、次の二つの意味があると思っています。

  1. 従来からの事業活動と企業理念を「サステナビリティ」と同期させたこと
  2. それを英語でも同時に発信したこと


「ESG」との親和性

当社はその成り立ちからして「ESG」と非常に親和性があり、いま機関投資家から強く説明を求められている「サステナビリティ」の面でも優れた企業であると私は考えています。

その理由を事業活動・企業理念それぞれの視点で、順を追って説明していきます。

ペーパーレス化

そもそも、2001年に凸版印刷に在籍していた常包会長を中心とするメンバーが創業したのは、「印刷カタログのコンテンツを効率化するビジネスに需要があるのではないか」という問題意識からでした。

メーカー→卸→小売→消費者と渡っていくパンフレットやカタログ、取扱説明書。
メーカーから卸・小売の方向へと出される、見積書や商品提案書。

これらの「ペーパーレス化」が創業当時からの提供価値として存在していました。

現在では、小売から消費者に向けてのチラシの電子化にも貢献していますよね。

健康への貢献

もう一つの提供価値としては、「健康への貢献」というのもあります。

当社は食のサプライチェーンの中で、アレルギー情報・原産地情報など、食品情報を正しく伝達していくインフラ機能を有しています。

食の安心・安全を担保するとともに、最近では「e食なび」で消費者の健康管理に直接的に関わっていく取組も行っていますね。

また、GREEN eBASEという、人体や環境に対する商品の安全性を担保するデータベースシステムも有しています。

企業理念

ペーパーレス化。
健康への貢献。
サプライチェーン上のさまざまなステークホルダーに貢献しながら、全体最適を実現する事業活動

そしてこうした事業活動を包括するマクロ的なものとして、何より企業理念、企業のあり方そのものが「サステナブル」を体現したものとなっています

貢献なくして利益なし
利益なくして継続なし
継続なくして貢献なし

社会貢献できる事業でないと、利益を得る事はできない。
利益を得られる事業でないと、継続する事はできない。
継続できる事業でないと、社会貢献にはならない。


創業間もない頃から「利益」「貢献」「継続(サステナビリティ)」の循環をうたっている企業理念、そしてこれを打ち立てた常包会長の先見の明には驚かされるばかりです。

まさに、「時代が追いついてきた」と言っていいでしょう。

時代の要請によって後から仕方なく取って付けた類の、そこらの表面的な「サステナビリティ」とは一線を画しています。

同期のタイミング

そもそも、なぜ当社はこのタイミングで「サステナビリティ」を強く打ち出してきたのでしょうか。

これはまさに時を同じくして発表された、「プライム市場」選択の判断が大いに関連しています。


2022年4月の東京証券取引市場の市場再編に伴い、「プライム市場」の上場企業においては、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った開示が求められています。

気候変動対策は、いまや持続可能な企業にとって必須の条件となってきているということです。

これを含めた「サステナビリティ」全般の開示で求められる質と量の充実(→機関投資家との間の建設的な対話)に対応する形で、来春に先駆けて「ESG」への取組姿勢を公開することにしたということですね。


「ペーパーレス化→森林伐採抑制→CO2削減・地球温暖化防止」は、既存事業の延長線上で大いにアピールできるところです。

また確認したところ、企業理念・企業のあり方をマクロ的に「サステナビリティ」と同期させて説明することで、ミクロ的なeBASE事業モデルの難解さを軽減し、理解を深めてもらいやすくするという狙いもあるようです。

確かに、根本にある理念・思想を先に理解してもらった方が、ビジネスモデルに関する説明も早そうですね。

統合報告書の作成についても、検討・準備を進めているようです(これは楽しみです!)。


こうした一連の動きの背景として、さらに留意すべき事情があります。

次回はその辺りを詳しく述べてみたいと思います。

(つづく)

色々な面で環境が整いつつありますね。
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コメント

  1. なりさん より:

    “「サステナビリティ」全般の開示で求められる質と量の充実(→機関投資家との間の建設的な対話)”とありますが、これなぜ「機関投資家」となっていて個人投資家は含まれてないと思いますか?
    投資の世界はあからさまな個人投資家と機関投資家との待遇の差を感じ残念な感じがします。(決算説明会は機関投資家のみ対象とか)
    私はこの辺の事の解消の努力をされているところを探してますが、意識されたことはございますか?

    • 6_suke より:

      ご質問ありがとうございます。

      まず一つ目については、「プライム市場」のコンセプトとして「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち…」という記述があるように、同市場はそもそもがグローバルな機関投資家向けに開かれた市場であるということですね。「スタンダード市場」「グロース市場」が「一般投資者」を想定しているのとは違いがあります。

      二つ目については、仰る通り対応の差は否めないですよね。

      決算説明会については、メインは限られた時間の中での経営者と機関投資家・報道陣との間のコミュニケーション・質疑応答にありますから、向こう側(機関投資家等)の立場に立ってみれば、その場の一定の質を保つために(要領を得ない質問などをしがちな)個人投資家を入れたくないという考えは理解できなくはありません。
      企業側としても、一定の見識を持つであろう方々に参加を限定し、その場の運営をスムーズに進めたいのでしょう。

      しかしながら、オンラインで視聴だけはできるようにするとか、どういうやり取りがあったかのスクリプトを用意するとか、あるいは個人投資家向けに別途説明会を開くとか、企業側にもやりようはあると思っています。
      この質疑の部分を何らかの形でオープンにしてくれるところはありがたいですし、私も投資に前向きになれますね。

      この格差の部分については、個人的には丁寧なIR照会を心掛けることで解消を図っています。
      eBASE社もそうですが、回数を重ね、相応の理解度を持って中長期目線で応援していきたい旨が先方に伝われば、個別に色々と教えていただけることが増えていきます(質問させていただいたこと以上に)。
      さすがに機関投資家のone on one ミーティングのレベルまでとはいかないかもしれませんが、ありがたいことに十分に有益な情報はいただけていると感じます。

      そのような感触を得られる投資先を、一つでも多く見つけていきたいですね。

      • なりさん より:

        毎度回答ありがとうございます。
        「スタンダード市場」「グロース市場」が「一般投資者」を想定しているというのは知りませんでした。
        読み込みのレベルが違いますね。

        存外多くの企業が個人投資家を差別していることに気づいていない節を感じてます。確かに個人投資家は要領を得ない質問をする可能性はあるかと思いますが、ちゃんとそうでないしっかりされた個人投資家の方もお見えになるかと思います。そんな方たちが冷や飯食いになるのは残念な気がします。ある意味清濁併せ呑むみたいなのが「多様性を認める」という事に繋がってくるのではと思ってます。こういうことに前向きなところを応援していきたいものですね。

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