2Q決算発表に関する記事の続きです。
補足説明資料「直近の取組について」に記載されている内容から、今後の戦略、特に販売チャネル戦略に関して自分の中でだいぶ解像度が高まったので、今回はその点に関して述べさせていただきます。
販路の拡大

直近で「Right-on」(コーナー化)と「ASBee」(ショップインショップ形式)の店舗にて、CM放映を実施した跳べるパンプスとORTRのスニーカーの取り扱いが開始されることとなりました。
他社での取り扱いが可能となったのは、CMによって商品そのものの認知度が高まった、そして商品そのもので勝負できるようになったからです。
これらの店舗では、足の早いトレンド品ではなく「新しい定番商品」を置く形となります。
よって仮に売れない店舗があっても、他に回す(ダブルエーの店舗を含む)時間的余裕があり、在庫リスクが小さい点も、こうした施策を打てる背景にあると考えられます。
これで出店をしてこなかった地域にある、中規模のイオンやショッピングモール等にも商品展開できることになり、全国的な認知度向上にもつながります。
特にスニーカーは老若男女と対象が幅広いので、新しい客層の獲得にも貢献しそうですね。
このタイミングでぶつけてきた HiHi Jetsを起用したWebCMも、その観点ではドンピシャで、「さすが!」という感じです。
店舗受け取りサービス開始
個人的にずっと待ち望んでいたのが、9月末からスタートとなるこちらです。

公式オンラインストアで事前に購入した商品を、店舗で受け取れるというもの。
いわゆるBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)です。
ずっと前から検討を重ね、準備を進めてきたと聞いております。
BOPISを導入する消費者・事業者それぞれのメリットについては、以下のサイトが参考になるかと思います。効果が多岐にわたるんですよね。

靴の場合は、特にフィッティングが重要です。
ネットでの購入に抵抗がなくなり、店舗でのコミュニケーションが満足度を向上させ「ついで買い」も促す可能性が高いという点で、靴小売がBOPISを導入する意義は大きく、同時に当社にとって戦略上の大きなターニングポイント(ある意味、これまで進めてきたことの集大成的な)であるとも考えております。
見えてきた販売チャネル戦略
以上2つの直近の取組から、今後の販売チャネルに関する戦略が見えてきました。
端的に言えば、3つのチャネルをその特徴を活かして上手に使い分け、客層を広げながら効率的に売っていくということです。
①自社店舗
・通勤通学に使うターミナル駅近接ビル、広域集客力のあるショッピングモール等、人流が多くトレンド訴求が可能で、高効率販売・密度の高いコミュニケーション(試し履きを含む)が可能な立地に集中。
②自社EC
・自社店舗での受け取りサービス導入により、消費者としてはネット購入の心理的障壁が大幅に低下。
・幅広い品揃え・サイズ拡充、ロングテール的な新たな挑戦がしやすくなるだけでなく、コンスタントに売れる商品のEC限定アイテム化のように、店頭からの一部商品の思い切ったシフト(→空きスペースでの提案力強化)も可能に。
〜 店舗のアイテム数約70に対し、ECのそれは400から500に上る。
・結果、店舗運営コストのかからないECの比率を上げることができ、会社全体として利益率向上につながる。
③他社販売
・(当社と消費者のニーズが被りにくい)ABCマートが出店できるような広域集客力のある場所には自社店舗を出店し、やや生活圏に近い場所の接点としては他社店舗を利用。
・在庫リスクの小さい「新しい定番商品」を活用し、全国で多様な客層を網の目のようにスピーディに獲得。
ROIC経営的に見て
私は全国で売っていく上での当社の大きなボトルネックは、自前の人材と考えておりました。
なかなか地方の店舗にまで行ける正社員については、数を確保できないのではないかと思いまして。
その点、ECと他社店舗は、これを回避しつつ販売網を広げられる大きな武器となります。
・その鍵となるのが、BOPISと「新しい定番商品」。
・店舗はメリハリを付けつつ、全国に網を張っていく。
色々な施策が有機的につながっており、全体として投下する経営資源(人、モノ=在庫・店舗)をできるだけ小さく保ちつつ、高回転・高効率で販売していく思想(→ROICが改善していく方向性)が感じられます。
準備は整った!
コロナ禍を通して諦めずに挑戦をし続け、中長期的な成長に向けた基盤(商品の付加価値向上、ブランド開発、EC、アプリ、物流 etc.)は当社の想定以上に進んだと思います。
(会社としての規模の割に)極めて合理的になされてきている経営が、外部環境の逆風に埋もれてしまっているというのが、私の現状認識です。
諸々の体制は整ってきました。
今回は触れませんでしたが、出店速度を上げているNICALも含めて、面白いのはまさにここからだと感じます。
本当に長いこと待たされておりますが、国内外の環境が普通にポテンシャルを発揮できる状況になりさえすれば、という感じですね。
その時には劇的な業績の変化が訪れることを期待しています。



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