ちょっと間が空いてしまいましたが、1Qの決算分析の続きです。
前回は、売上総利益率のポジティブサプライズについて書きました。
今回は「ブランディングのための広告宣伝費の集中投下」について考察します。
1Q CM放映等にかかる広告宣伝費の勝手予測
1Qから2Qにまたがる期間で、跳べるパンプスとORTR商品のCM放映がありました。
・TV CMについてはGW明けまでで、大部分が1Qの期間。
・Web CMはやや1Qに重み。
・「ジャニーズJr.チャンネル」とのコラボ動画は4月ということで1Q。
以上から、このプロモーションの比重は1Q主体ということが分かります。
では、この費用総額はいくらだったのでしょうか?
実は過去の資料の中に、大きなヒントがあります。
上表は直近の「事業計画及び成長可能性に関する事項」のP.56からです。
この赤で囲った5.5億円というのは、通常とは別枠の「中長期的な」ブランディングのための広告宣伝費ということを確認しました。
つまり、先行投資として一時的に広告宣伝費が通常より膨らむ部分ということです。
おそらくこの規模感については、大部分の投資家は認識していないのではないかと思います。
なお今期分については、ORTR商品と跳べるパンプスに充てるものであり、NICALなど他のプロモーションは含まないとのことでした。
新規上場当時からORTRの大々的なプロモーションについては組み込んでいて、そこに跳べるパンプスを追加したということですね。
そしてこの資金は、今期1Qと2Qまでで使い切る形になります。
確認できたのはここまでで、ここからは私の大胆な推定となります。
(思いっきり外しているかもしれませんが)
この「別枠部分」5.5億円の振り分けを、以下のようにざっくり見積もります。
・前期までに使用した分(※)として、累計2億円(←2020/1期とそれ以降2期の広告宣伝費の比較をもとに推定)。
・今期分として、プロモーションの内容・比重、前払費用の記述から1Q 2.9億円、2Q 0.6億円、計3.5億円。
※山手線ORTRラッピング広告、医療従事者支援としての靴提供がこれに該当すると見ています。
2022/1期の通期の広告宣伝費は4.6億円でしたから、今期のこの「別枠部分」(3.5億円)だけでもかなりの規模感ですよね。
そして1Qにそれが大部分反映されたというわけです。
決算短信にも「営業利益はテレビCMの放映にともなう広告宣伝費を計上したことにより前年同期を下回る結果となりました。」とあり、この「別枠部分」が1Qの直接的な前同比減益要因であることが見てとれます。
(円安・エネルギーコスト上昇等ではないことに注目です。余談ですが、2022/1期決算発表の際に戦略的な投資による減益予想であることをしっかり説明していただけていたら、株価位置もまた違ったものになっていたとは思うんですけどね…)
通期 広告宣伝費の勝手予測
今回のプロモーションと通常の広告宣伝費の部分とを合わせて、今期通期の広告宣伝費としてはトータル7億円(=通常3.5億円+別枠3.5億円)程度に膨らむのではないかと予測します。
2023/1期の減益予想は、一過性の費用を多分に織り込んだものであることは明白です。
中長期的なブランディングのために広告宣伝費が今期+2.4億円の大幅増加(=今期予測7億円-前期実績4.6億円)となるのだとしたら、営業利益ベースで▲1.4億円の減益(=今期会社予想901百万円-前期実績1,037百万円)と保守的に期初予想を出したのにも納得がいきますよね。
逆に来期(2024/1期)はこの「別枠部分」(勝手予測 3.5億円)が消滅しますから、通常ベースの広告宣伝費に戻るだけで大幅増益が見えてくるということにもなります。
2015/8期からのパターン再現に期待したいところですね!
なお、来期は今回のような大々的なキャンペーンを今のところ予定していないことは確認済です。
ただ一点、今回の1Qを最初見た時点で、販管費の増加が自分の想定より少なかった(つまり、赤字額が思っていたほどではなかった)ことについては、やや違和感がありました。
これについても要因を確認させていただいたのですが、そこから新たにポジティブな発見もありましたので、今期の見通しとその後の展望とともに次回で説明したいと思います。
(続く)
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