今回の記事はほとんど自分用のメモです。
【2820】やまみの2020/6期決算短信、業績概要、「中期経営計画の見直しに関するお知らせ」が昨日リリースされました。
ローリング計画の後ろ倒しについては、近所のスーパー何店舗かの豆腐棚の推移を見ていて、覚悟はできておりました。
ただその理由が、「2020 年 6 月期の業績並びに 2021 年 6 月期の業績予想及び直近の事業環境等を踏まえ精査しました結果」の一言で済ませてしまっているのは、ちょっといただけないですね。
真の理由は、今後出されるであろう決算説明会資料を見、あるいは質問をしながら確認していきたいところです。
減価償却費の今後の減少傾向(2020/6期 1,458百万円→2021/6期(予) 1,672百万円→→2023/6期(予)1,189百万円)からすると、今回の計画の実現可能性はこれまでにないくらい高そうですが、ここの場合はまた途中で設備投資の上積みをする可能性もあるので、油断は禁物です(笑)
さて各種資料を見ていきますと、富士山麓工場分を控除して計算した粗利益率は改善が著しく、既存工場出荷分は製品集約・単価改善の取り組みが期初の想定以上にうまくいったことが読み取れます。
そこは大いに評価したいのですが、いかんせん新工場の富士山麓工場がダメダメでした。
どれくらいの売上高が計上できれば工場が黒字化するのか気になりましたので、損益分岐点売上高をざっくりと計算してみることにしました。
富士山麓工場の損益分岐点を試算。
損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ {1―(変動費÷売上高)}
まず当社全体の数字から「変動費÷売上高」(変動費率)を計算してみます。
有価証券報告書の中の製造原価明細書を使うことにしますが、直近期のものはまだ出ていないので、2019/6期のものを使用します。
この黄色で囲ったものが、製造原価(≒製品売上原価)中の変動費とみなします。
2019/6期の売上高は 10,882百万円でしたので、
(3,895+1,068+137)÷10,882 =46.9%
これに販管費中の荷造運賃の売上高に占める割合 9.9%(2020/6期) を足して、計 56.8% を変動費率とみなします。
続いて、業績概要資料の中の数字を使って、固定費を出します。
富士山麓工場の2020/6期は、売上高 273百万円、営業利益 △745百万円でした。
この期の変動費は 273百万円×56.8%=155百万円 になります。
売上高273百万円-変動費155百万円-固定費=営業利益△745百万円
よって、
固定費は 273百万円ー155百万円ー(△745百万円)= 863百万円
ということになります。
ここで最初の式に戻りますと、
損益分岐点売上高=863百万円÷(1ー56.8%)= 1,998百万円
という結果が出てきました。
遠い損益分岐点。
ざっくり富士山麓工場出荷分で、20億円以上の売上高を作らないと利益が出てこないということです。
2020/6期は年間で273百万円、生産が本格化した4Qの3ヶ月間でも175百万円に留まりますので、まだまだ遠いなあという印象です。
関東のスーパーは、ディスカウント業態との競合は関西・中部に比べれば緩いです。
実際に商談を進めていく中で、安さそのものについては店側も期待していたほどには強い興味を示さなかったという点が、当社にとっては当初誤算であったと推察されます。
(豆腐メーカー各社を「生かさず殺さず」の状態にしておくのが、スーパーにとっては一番都合がいいのでしょうね)
他社にはない利便性を訴求する商材を使い、利幅を取りつつ棚を確保する現在の作戦は着々と進行中ですが、ロットとしてはまとまらないことから、今後は大口のPB獲得や業務用商材の拡販に、より焦点を当てて営業していくのではないでしょうか。
関西工場で50億円の売上高を作れるのですから、関東で20億円という売上高は決して高いハードルではないと思いますし、そこからは飛躍的な利益の伸びも期待できます。
ポテンシャルが大きいのは間違いありませんし、体力勝負に持ち込めば勝算アリです。
ただ時間はかかりそうですので、長い目で見守っていく必要がありそうですね。
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