【7683】ダブルエー2023/1期3Q

企業研究

12/15に3Q決算発表がありましたが、一週間ちょっと経ったところでコメントをしておきます。

決算短信
補足説明資料

3Q単独では22%増収、営業利益2.3倍ということで、多くの方にとってポジティブサプライズの決算だったかと思います。

諸々のコスト高で外部環境が大変厳しかった、今期最大のヤマ場を上手に乗り切った感があります。


その要因として、補足説明資料からは以下が読み取れます。

・原材料等高騰の影響あるも、販促(値引き)を抑えてプロパー価格での販売に注力
→ 値付けを柔軟にできる、SPAならではの強みがここに来て効きました。
また商品価格を見る限り、秋冬物から本格化した価格帯引き上げも奏功していると思われます。
跳べるパンプスシリーズ、ORTRのスニーカー等、付加価値を訴求しながら定価で売りやすい商品が増えたのも大きいですね。


・EC販売が、実店舗稼働平常化後も大きく伸長
→ ユーザーのニーズに応じた臨機応変の販売スタイルが浸透しているようです。
店舗受け取りサービスも今後大きな武器になります。


・卑弥呼好調(ECも好評)

・香港好調
→ 利益率が高い香港の回復は朗報です。


では数字を細かく見ていきましょう。

決算分析

いつもの表を載せておきます。

3Q業績について

単体月次からある程度分かっていたことですが、前年同期比の売上の伸びが素晴らしいです。

売上総利益率も円安進行下の厳しい環境で、3Qも65.9%と良好な数字でした。
流石の価格コントロールです。

その他、この表から注目したい点が2つあります。


一つは、販管費の1Q・2Q対比での減少です。

上半期はTVCMによる一過性の販管費の増大がありました
一方、3QについてはHiHi JetsのWEBCMの費用負担はあったものの、前年同期比増収分なりの販管費増加(=変動費の増加)と言える金額で着地しています。

この結果、前年同期比で営業利益以下、大幅増益着地となりました。


もう一つは、仕入債務の大きさです。

書き入れ時の4Qに向けて、高単価の商品を(生産物流面のリスクも考慮し)前広に用意していることがうかがえますが、ポイントは大部分がドル建てということです。

10月末のドル円レート(三菱UFJ銀行TTM148.26円)と以降のそれとを比較すれば、4Qに入ってからの仕入債務の決済時に多額の為替差益が発生するであろうことが容易に想像できます。

1Qから3Qにかけては一方的な円安進行で為替差損に苦しみましたが(累計174百万円。ちなみに前期末TTMは115.44円で、よく耐えたと思います)、4Q期間に入り(11月以降)ドル円相場は全く逆方向に進んでいるため、為替差益でかなりの部分が打ち消されると予想します。

4Q業績及び通期着地について

さて、そろそろ気になってくるのは通期着地です。

まず前期4Qの状況を振り返っておきます。

【前期4Q】
・スタートはブーツが非常に好調だったため、大量の追加生産をかけた。
・12月に入り、オミクロン株の流行で客足が急ブレーキ
・追加生産が尾を引き、季節商材であるブーツに余剰感。売り切りのため、セールでの在庫処分を徹底
・売上高は伸びたものの売上総利益率の急低下を招き、2021/1期4Q比減益着地。

今期はここまで感染症の拡大はあっても、弱毒化が知れ渡ったことで客足が止まるほどではなく、前期の反省から同じ轍を踏むこともないでしょう。

また、商品の値上げを進めた後、足元では円高方向に転換してきており、利益を出しやすくなっているのも大きなポイントです。

前述の為替差益も効いてくるでしょう。

従って、今期4Qは前期4Q対比、増収増益となると考えて良さそうです。


実際、補足説明資料には「年間売上高の4割弱を占める4Qもこの傾向が継続する見込み」という力強い文言もあります。

4Q数字を自分なりに予想してみて、3Qまでの実績と足し合わせてみると、通期でも増収増益となる着地が視野に入ってくると思います。

ネガティブ要素込み込み(←ウクライナ戦争勃発間もない時期の策定)、保守的な販売予測に基づき、期初予想はまさかの増収減益でしたが、これまでの結果を踏まえるとポジティブ・インパクトのある着地を期待しても良さそうです。

来期に向けて

来期に向けての好材料としては、中国本土ー香港間の往来について、近々での全面開放の可能性が高まっていることもあります。

香港では日本より2割高く売れるので、香港におけるインバウンド需要の復活(&中国ECへの波及)が海外業績をかさ上げすることが期待されます。

またORiental TRaffic以外のブランドでの香港新規出店も、可能性としては出てくるでしょう。


逆に不透明な要素としては、MISCH MASCH事業の取り込みがあります。

ただ以前も書きましたが、

①長年のリストラで店舗・在庫を絞り込んだ状態での買収となること(多額の赤字はその過程で発生したこと)
②グループとしてむやみな拡大志向をとっておらず、機動的な出退店の状況から見ても採算管理がしっかりしていること(目利きに信頼感があること)
③そして何より赤字体質が定着していた卑弥呼でスピーディな再生を成し遂げ、ノウハウを積んでいること

から、個人的にはあまり心配はしておりません。


これまで長かったですが、来期に向けてようやく本来の実力が発揮できる環境に近づいてきた感がありますね。

やはり決算分析記事を書くのは、少し間を開けてからの方がいいですね。
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コメント

  1. なりさん より:

    「香港では日本より2割高く売れる」というのはなぜでしょう?
    香港の方が日本よりしっかり豊かになった証左でしょうかね?

    分析の話は色々参考になり助かってます。
    ありがとうございます。

    • 6_suke より:

      香港の方が購買力があるということでしょうね。

      向こうでも、プチプラのお店として認知されているということだったので。

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