前回は平凡な靴屋Aのオペレーションを確認致しました。
今回から、ダブルエーのよく練られたオペレーションを丁寧に見ていきます。
【ダブルエーの前提】
・店舗の在庫を極小化し、とにかく回転を速くすることを意識。商品供給は日々実施。
・中国の生産工場と直接情報を連携、年間でラインを押さえている。
・ECは店舗を補完する位置付けで、両者が上手に役割分担(オムニチャネル)。
毎日売れ行きに応じて商品を追加供給することを前提に、店舗の在庫を極小化していくと、店舗ごとの在庫のバラツキの抑制以外にも、色々ないいことが起こります。
まずスペースを取らなくて済むので、スッキリとした陳列を守りながら、店舗を小さくすることができます。
店舗が小さくなると、トータルの在庫量は同じでもたくさんの場所に出店することができます。
しかもコンパクトな店舗なので、往来の多い好立地でも賃料を抑えることができます。
余談ですが、「ORiental TRaffic」には、往来(TRaffic)の多い場所を志向(ORient)して出店とするという、隠れた意味があるんじゃないかと疑っています(考えすぎ?)
実際、東京で言えば五反田や高田馬場といった、ファッションのイメージがあまりない乗換駅の駅ビルであったり、地下鉄駅のある地下街に好んで出店する傾向があるのは、偶然ではないと思っています。
また、スペースにゆとりができると、アイテムあたりのサイズ展開(店舗だと22~26cm)も広げる余裕が生まれます。
特にサイズの端っこの方々にとっては駆け込み寺的存在となり、熱烈なリピーターの獲得、大きな競争優位性につながっているのは、皆さんご存知の通りです。
他のチェーンにこれができないのは、在庫を減らしながら回転させていく仕組みが整っていない(怖くてできない)からです。
店舗の在庫を極小化するためには、とにかく売り切って回転させていくことが必要です。
・往来の多い好立地に出店すること(高回転なので、家賃負けしない)。
・流行を迅速に取り入れ(一例:企画担当者が販売員として週末に店頭に立つ)、行くたびに変化に富んだ店舗を作ること。
・リピーターを獲得すること(幅広いサイズ展開、トップリフトの無料修理、下取りクーポンの発行)
・在庫を消化するための最終的な出口を確保しておくこと(アウトレット、EC)。
さまざまな施策やオペレーションが、「高回転」を軸に、まるで鎖のようにつながっていることに感心させられます。
また、ECが店舗で売れ残った分の出口としてだけではなく、店舗を補完する役割を果たしていることも大きいです。
ECに関すること、中国の生産工場からの高度な流通体制については、次回以降に詳しく説明します。
(続く)
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