前回、決算を読み解く上での前提についてお話をしました。
今回はいよいよ核心に迫って参りますが、ポイントは「用語」です。
業績報告における表現用語
ここで営業プロセスについて考えてみましょう。
「提案→内定→受注→売上」のような形で、段階を踏んでいくことに思い至るはずです。
その視点を持ちながら当社の決算短信・事業報告(以下、まとめて「業績報告」)を読んでいった際に、そこで表現されている「受注」と「売上」の関係 が気になるかと思います。
「受注」と書かれていた場合に、当該四半期においては売上計上がどの程度なされているのか、あるいはなされていないのか、といった辺りのことですね。
それも含めて、業績報告における表現用語について確認をしております。
「売上・導入・開始」
その四半期で全額もしくは一部を売上計上(大半が検収済み)
「受注」
その四半期で発注を受領(案件決定)
小型のものは全額売上計上を伴うケースあり(パッケージのみ、クラウドサービス契約のみ等)
他のものは未検収で一部のみ売上計上
「内定」
主に次の四半期や来年度以降に、顧客側での予算化・発注が確定
「提案」
注力分野・サービスで、実際に顧客に接触・提案をし、予算化への進捗あり
特筆すべきキーワード「大型案件の受注」
さらに特筆すべき強力なキーワードとして、「大型案件の受注」があります。
大型案件の場合は旧工事進行基準が適用され、開発進捗に応じた売上の部分計上がなされることになります。
「受注」した四半期の売上は、工程としては「要件定義」「外部設計等」などに対応する着手金的なものに留まるケースが多く、全体案件のボリュームからすれば小額の計上となります。
逆に言えばこのキーワードは、次四半期以降のまとまった売上につながる有力な先行指標になるということですね。
さらに言えば、大型案件の場合、多くは複数年度にまたがる案件になるというのもポイントです。
「課題解決そのものが、また新たな課題を生む」形で、追加ニーズがどんどん発生していきます。
カスタマイズや新部門への展開等で、アップセル・クロスセルが継続的に見込まれます。
そしてその追加分に対する2割相当についても、毎年ストックとしての「ライセンス&サポート」売上が入ってきます。
このように、「大型案件の受注」は重層的なマネタイズの起点を示すものでもあるということです。
「文学」を活用しましょう
ここまでのベースを自分のものにできれば、決算の読み解きの深さもだいぶ変わってくるのではないでしょうか。
当社の業績報告には独特の「文学」があるわけですが、読者の皆さまにおかれましては、これを保存版としてご活用いただければと思います。
次回は、以上に基づく3Q事業報告の読み解き及びまとめです。
(続く)
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