先日、ある読者の方から「ビジネスモデルをどのように判断しているか」というご質問がありました。
すでにメールで回答させていただいてはいるのですが、後でふとポーター賞受賞企業の事業レポートも一貫性がありとても良い勉強材料になるなとも思いましたので、ここで紹介させていただきます。
ポーター賞とは
ポーター賞は、製品、プロセス、経営手腕においてイノベーションを起こし、これを土台として独自性がある戦略を実行し、その結果として業界において高い収益性を達成・維持している企業を表彰するため、2001年7月に創設しました。
ポーター賞ホームページより
名前は、ハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授に由来しています。
卓越した業績は、「最高の」製品をつくり「最高の」サービスを提供することから生まれるのではありません。
「最高を目指す競争」から離れ、他社と違うことをするのが戦略の本質です。
この賞は独自性のある戦略によって競争に打ち勝った日本企業や事業部に贈られるもので、事業レポートではその特徴あるビジネスモデルについて、ポーターの競争戦略論に沿って分析・詳述されております。
受賞企業・事業レポート
レポートは以下から読むことができます。
「へえ~」と頷かされることも多く、ビジネスモデル分析における視点が学べるのはもちろん、単純に読み物として面白いです。
ここまで事業に対する理解を進められたら、投資を行う上では心強いですよね。
私の場合、丸井グループ、前田工繊、ピジョン、ZOZO(旧スタートトゥデイ)あたりは、投資判断上でも直接的に大きな影響を受けております。
特に何を意識すべきか
このレポートで私が特に参考にしているのは、「トレードオフ」と「活動間のフィット(適合性)」です。
競争優位を得、またそれを持続させるためには、ライバルと異なる選択をしなければなりません。
あらゆる顧客のあらゆるニーズには対応しない。
日本企業が特に陥りがちな「多いことはよいことだ」的な思考様式から離れ、「何をやらないか」を意図的に選択する。
これがトレードオフです。
また「フィット(適合性)」とは、バリューチェーン内の活動をどのように連携させているかという話です。
一貫性に基づいた価値提案の中にある相互依存的なものごとのつながりが、ライバルによる模倣を困難にさせます。
こういったレポートを読み、競争優位を作り出す美しいストーリーの存在を知る経験を増やしていくことで、ビジネスモデルを理解するプロセスがより楽しくなり、握力にもつながっていくことと思います。
改めて思いますが、ポーターの競争戦略論と長期投資はとても相性がいいですね。
《参考書籍》↓ポーターを学ぶ上で、まさにエッセンシャル。私が一番お世話になっている本の一つです。
コメント
こんにちは!
自分が株を持っている会社だとマニーがポーター賞を受賞していて賞の事は知っていましたが、このレポート群は企業への理解が広まって良いですね。
自分も特にトレードオフの考えは方向性がブレない為に大切かなと感じています。
一流のアナリストレポートでもありますね。
「事業部」単位で、あくまでビジネスモデルにフォーカスしているのもいいです。
トレードオフは、会社の方向性を確かなものにし、従業員に浸透させる意味でも大事だと私も思います。