期待は程々に。

投資スタンス

私が個別株投資を本格的に開始したのは、リーマンショック直前の時期(2008年3月)です。

いきなりマイナスリターンから始まったのですが、振り返ってこの時期に始めたことが自分でも良かったなと思うのは、株式投資に期待する収益率を抑えられたことです。

もう「10年で2倍」なら十分かなと。

その頃は「億り人」なんて言葉もありませんでした。
(「おくりびと」の映画公開は2008年9月ですが、一般的にこれをもじって使われるようになったのはアベノミクス以降です。)

私も「1億円」という金融資産の水準を意識することなんて無かったです。


期待収益率を年あたり+7.2%換算で設定し、かつ「だめな年があっても次に取り返せればいい」「年初来の数字もいちいち気にしない」と、鷹揚に構えることができたのが、長く続けられた秘訣だったと思います。

当初は「資本コスト」という概念を知らなかったのですが、後に「ROE8%」を目指す通称「伊藤レポート」がクローズアップされるようになり、個々の投資先に対してもROEという一つの目線ができて、それが自分の期待収益率のレベルとマッチしていたことも大きかったですね。


ここで強調したいのは、期待を程々に抑えることで得られるメリットの大きさです。


多くを求めないから無理をしなくて済みます。

私はその必要がないと思ったので、信用口座を開設したことがありません。

要求水準が高いと、それに打ち勝つためのハードルが高まります。

投資先にも「安定」よりもまず「成長」を求めるようになり、知らず知らずのうちに過剰なリスクを取り、資産運用のボラティリティを高めてしまうことになります。

それに気付くのは、致命傷を負ってからということになりかねません。


一方、期待が低いと、それを超えることがカンタンになり、精神衛生上も非常によろしいです。

そして投資先に求める特性も、「安定重視」になっていきます。

不思議なもので、「安定している」「この先からは程々のリターンが得られればいい」と認識されている企業ほど、得てして長期保有により高いリターンを獲得できたりします。


素晴らしい企業の複利での価値増大を、我々はいつも過小に見積もっているということだと思います。

「期待を超える」ことの累積効果は、時間が経てば経つほど大きくなっていくんですね。

これが長期投資の面白さです。


いまは周囲を見ていると、すごいパフォーマンスが目を引き、焦りも生まれる環境にあるかとは思います。

その中で「期待は程々に」をあえて意識してみてはいかがでしょうか。


例えば10年で2倍なら、20年で4倍、30年で8倍になります。

月々3万円の投資が、30年後には月々24万円で返ってくる。

老後の不安解消には、普通の人はこれで十分なはずです。


そんなスタンスによる心の余裕と投資先企業の頑張りは、意外と期待を遥かに超えるリターンを生んでくれたりするものです。

「自分より素晴らしい企業の方がよっぽど優れている」という謙虚さも、併せ持ちたいものです。
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