だいぶ間が空いてしまいましたが、3/27に書いた記事の続きです。
前回、「将来を見通すにあたっては未だ説明不足の感は否めません」と書きました。
おそらく多くの方が今後の業績に関して懸念している大きな要因は、4Qで見せた売上総利益率の急低下(3Q:66.6%→4Q:61.7%)にあると考えています。
ただしその一方で、「当社からの説明不足もあって、ひょっとしたらみんなが見落としているのでは?」と思うポイントもあります。
それは、
「商品は入れ替わっていく」
ということです。
もう少し詳しく言えば、
「新商品を投入する際に、値付けを原価上昇に応じて変えられる」、
つまり、
「販売価格への転嫁は、時間差で可能」
ということです。
長年ORiental TRafficで商品を買われているファンの方なら、いわゆる定番商品であっても定価が変わってきていることを実感されているかと思います。
そして、セール時における適切な値引率の設定と商品ミックスの妙により、大胆な値引きでも利益を確保できるオペレーションの巧みさは、皆さんご存知の通り。
以上を踏まえ、「低い売上総利益率がこれからもずっと続くと想定するのは、ちょっとナイーブ過ぎるのでは?」と考えました。
実際、このような仮説をもとに当社に確認したところ、以下のような回答を得られました。
・販売価格への転嫁は、すぐに実施すると客離れを起こす可能性がある
・よって、シーズン内で段階的に反映させていく予定
つまり、売上総利益率は、時間の経過とともに回復していくイメージを持っておけばいい という話ですね。
あまりに円安進行・エネルギー価格上昇が急だったので、それを即座には販売価格に転嫁することができなかったというのが、足元の状況でしょう。
諸々の上昇ペースも一時よりは落ち着きつつありますので、今後は同業他社の動向や値上げに対する消費者マインドの変化(抵抗→受容)を見ながら、徐々に価格転嫁を進めていく、あるいはセールの値引率を上手に抑制しながら調整していく(⇒ 売上総利益率も回復していく)と思われます。
では、通期の売上総利益率として、当社としてはどの程度を想定しているのでしょうか。
これについても確認ができているのですが、
・年間での売上総利益率は、2022/1期(実績64.4%)と同等か、若干下回る計画
とのことでした。
「え?イメージよりだいぶ高い…」と思った方も多いのではないでしょうか?
コロナ禍においてもいかんなく発揮された、当社の危機管理能力や機動性、そして十分な利幅を確保できる商品開発力・企画力を侮ってはいけません。
この前提に立てば、2023/1期に対する見方、そして投資判断も大きく変わってくるはずです。
少しヒントを出しておくと、安易に今期予想EPSそのものを判断基準としない方がいいということですね。
次回、さらに解説を進めていきたいと思います。
(続く)
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コメント
記事をお待ちしておりました!
>年間での売上総利益率は、2022/1期(実績64.4%)と同等か、若干下回る計画
これ程の円安と資源・原材料費の高騰をすべて、徐々に値上げによって相殺できるということですね。凄まじい底力で驚愕しております!
中国ゼロコロナの政策での工場停止リスクへの対応についてIRにお聞きしたことありますか?
ろくすけさんのダブルエーの記事&ツイートが詳しすぎて、IRへの負担軽減と思って、私からはほとんど問い合わせしておりません。。
いつもお読みいただきありがとうございます。
半年前の中国計画停電時に聞いたのですが、以下を確認しており、その点に関しては大きな心配はしていません。
・中国協力工場が全土に複数(さらに昔聞いた時では7ヶ所)、分散されている
・(計画停電が)長期化した場合に備えて中国以外の生産(東南アジア)も実施し、リスクを分散させている
教えていただきありがとうございます。
7ヶ所はすごいですね!しかも東南アジアにもあるとは。
常軌を逸したゼロコロナ政策が全土ロックダウンにならないことを祈るばかりです。。