文系脳のための投資先選定法(3)~成長ストーリー

投資スタンス

投資先選定におけるステップの最後は、「成長ストーリーを自分の中に落とし込む」です。

4.成長ストーリーを自分の中に落とし込む。

3C分析に沿って、以下に関してしっかり情報収集&整理ができたとします。

市場:「どこまで」成長できるか

競合:「どうやって」競争優位性を築いているか

自社:「なにが」付加価値をもたらしている経営資源か


ここまで来れば、文系脳持ち前の「妄想力」により、独自の経営資源を活かし競争優位性を保ちながら成長した企業の未来の姿を、それなりの説得力を持って描くことができるでしょう。

そこまでの成長ストーリーを組み立てて自分の中に落とし込むのが、投資で一番面白いところではないでしょうか。

併せて、有価証券報告書からリスクについても整理しておけば万全です。


なぜ成長ストーリーを作るかと言えば、「好き」を強化し、いわゆる「握力」を強めることができるからです。

これは容易に想像がつきますね。


ただ同じくらい重要な理由として、「売り」の際の理由を明確にできるからというのもあります。

実際、業績の安定成長が期待できる企業を選んだつもりでも、以下のように見込み違いが生じることはしょっちゅうです。

  • 市場が思っていたほど大きくなかった。

  • 新分野への横展開が思うように進まなかった。

  • 既存の「堀」が通用しない競合が現れた(例:市場全体の急成長を見て、大資本が参入)。

  • 設備投資で期待した効果が得られなかった。

  • 事業拡大に必要な人材の獲得に苦労したり、逆に流出したりしている。


このような形で成長ストーリーの前提としていた各種条件が損なわれることになれば、「売り」判断の立派な理由となり得ます


惚れ込んで「好き」一辺倒になってしまっては、先々の見通しが立たない塩漬け株を作ってしまいかねません。

冷静な判断を下せるようになるためにも、情報収集&整理とストーリー作りは必要だと考えます。

売買をどうするか

さて、成長ストーリーを描くところまで到達し、投資するに値する素晴らしい企業を選定できたとします。

ここから実際の売買はどうしたら良いでしょうか。

私は文系脳の場合、以下のようなスタイルが合っているのではないかと思います。

  • 成長ストーリーが描ける素晴らしい企業を、市場全体の暴落や、(深刻なレベルではない)コンセンサス未達など、できるだけ安くなるタイミングを利用して買う。

  • そのストーリーが維持できている限り、保有を続ける。

  • 前提が崩れたら売る。


ただ、このスタイルにも難点があって、「成長ストーリーにはいささかの問題もないものの、株価が高くなりすぎている」場合の対処が難しいという問題が残ります。

価値を見積もる、目標株価を設定するといったことができるようになると、その問題はクリアできます。


ここまで分析の手順を踏んでいれば、各種前提をしっかり織り込んだ目標株価を算出することもできるでしょう。

ある程度数をこなして定性面の情報整理に慣れてきた後は、次の段階として目標株価の算出にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

(終わり)

経験上、成長ストーリーが脆弱だとなかなか長くは持てませんね。作り込みが大事だと感じます。
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コメント

  1. のぶさん より:

    今回のシリーズは参考になりました。確かに決算説明書は理解し易い反面、投資候補を絞り込むのに苦労してました。
    また投資のタイミングもそうですね。でも銘柄研究をしていると買いたくなる気持ちを抑えるのをどうしたら良いか迷ってましたが、今回のことは参考にさせて頂きます。

    • 6_suke より:

      コメントありがとうございます。
      買いたい気持ちを抑えるのは大変ですよね。
      そんな時、有価証券報告書を読むと、「うーん、そこまででもないかな?」と冷静になれる事も多い気がします。

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