経営者と投資家の関係って、考えてみると不思議なものです。
短期的には、分配をめぐって競合関係になり得る。
長期的には、ともに価値向上を志向するパートナー関係になり得る。
私はそれぞれの役割について、こう考えます。
経営者は「価値」をつくり、
投資家は「価格」をつける。
全ての経営者は企業を取り巻くステークホルダー各位を満足させるべく、継続的に「価値」を創造する必要があります。
そうしないとどこかに無理が生じて、長期的には企業活動を維持することが困難になってしまうからです。
一方で「価格」のつけ方は、それぞれの投資家によって全く異なるものとなります。
資産価値、事業価値、ビジネスモデル、経営者、成長性、安定性、配当、優待、
好材料、好需給(自分より後に買ってくれる投資家の存在) 等々…
それぞれに対するウェイト付けの濃淡や評価の仕方によって、その投資家にとって妥当だと思われる「価格」に違いが出てきます。
私自身は、経営者、そして企業が紡ぎだす「価値」を、定性面・定量面の両面で自分なりに評価し、それに基づいて「価格」を決めていきたいというスタンスです。
そのためにその企業のことを深く知り、投資に関する技術よりも経営についてより多くを学び、経営者と長期的な目線を合わせ、まさに「同じ船に乗る」感覚で投資をしたいという考えを持っています。
そしてその結果として、「価値」に見合う「価格」形成に貢献できればと思います。
ウォーレン・バフェットの有名な言葉に、
「私は投資家だから良い経営ができる。私は経営者だから良い投資ができる」
というものがあります。
並外れた成功の背景に、企業価値評価と企業価値創造が一体化した、究極の「一人エンゲージメント」があったということですね。
遠回りのようですが、やはり企業価値創造のメカニズムへの理解が長期的な投資の成功につながるのだと信じて、これからも投資に取り組んでいこうと思います。
コメント
いつも投資家の立場のみならず、経営者と共存共栄する思考法を示していただき
非常に参考にさせていただいています。
評判も良さそうなので、早速、紹介された本をポチってしまいました。
NVICの京都大学の経営学講義シリーズ、
あずさ監査法人のROIC経営など、
ろくすけさんから教えていただいた本は、繰り返し拝読しています。
上記の本で知ることができた、ピジョンの山下茂氏の経営方針と投資家との対話方法や
資本生産性を重視する姿勢、PVAツリーの丁寧な情報公開などに惚れて、
4000円切った辺りで割高ながらも買ってしまいました^^;
ピジョンとは対照的なのが、クスリのアオキの株主総会でした。
結局毎年参加していますが、毎年恒例の決算資料を漫然と流す動画、
議案のみの質疑を受けた後は、今年は逃げるように質問タイムすら無く閉会を宣言されまして、
若干会場がざわついていました(笑)
株主との対話をしない姿勢を残念に思いながら、
用意していた質問をIRにメールしてしまいました。
…正直、参加を見送られて正解だったかもしれません。
お逢いできるかと期待しており、密かに残念でしたが^^;;
ろくすけさんのPFは、比較的PERが高い銘柄が多い印象ですが、
重ねて調べ上げ、成長を確信し、自信があるからこそなのでしょうね。
身に余るお言葉をいただき、これからも良質な本を紹介させていただかなくてはと、
大変身の引き締まる思いです。
クスリのアオキの総会は、そんな感じだったのですか。
ある意味、ブログのネタにもなりそうですが(苦笑)
やはり経営者の姿勢に共感できる企業に投資したいものですね。
PFの件、確かにPERは高めかと思います。
ただピジョンもそうなのですが、高PERには高PERなりの理由があると理解できるようになり、
そのこと自体に不安を感じることは無くなっていきました。
どこかの総会でお会いできると良いですね。
今後とも応援の程、よろしくお願い致します。