以下の計算式におけるrに続き、今度はgのお話です。
【現在価値(PV)の計算式】
CF
PV=
r ー g
CF:初年度(フリー)キャッシュフロー
r:割引率
g:成長率
gというのは成長率ですが、これが成長型「永久」債の現在価値を導出する計算式であることに留意が必要です。
つまり、半「永久」的に続けられる成長率を想定する必要があるということです。
2年や3年といったレベルではなく、それこそ15年や20年といったレベルでの年率成長率を考えなければなりません。
そうなると、それを想定できる企業は限られてくるでしょう。
また、年率数十パーセントレベルの成長がそのくらいの期間にわたって維持できると考えるのも、ちょっとナイーブな気がします。
後々失速することを考えると、既に高い評価が付いている一方で先々の読みづらい企業は、敬遠した方が良いかもしれません。
結論としては、目先の成長率に派手さはないものの、長きにわたって数パーセントレベルの持続的成長が期待できる企業を探すということになります。
成長の瞬間風速に注目が集まりがちですが、成長の超長期での持続性は軽視されているケースがあり(だいたい長くても5年先くらいまでしか多くの投資家は予想しないので)、そこを狙うということです。
例を挙げると、こんなケースです。
・利用者の増加に伴う利便性の向上がさらなる利用者の増加を生む、いわゆるネットワーク効果があるのに、それが周知されていない企業(SaaSブームに取り残された企業など)。
・膨大な潜在的需要が確認できる中で拙速な「膨張」を避け、人材育成やノウハウ蓄積、スイッチングコストの引き上げなどで障壁を高めながら、着実な成長を「地味に」遂げている企業。
・これから成長していくストック性と収益性の高いセグメントがあり、現在のメインの低収益性のセグメントの陰に隠れてしまっている企業(gの維持向上が見込める企業)。
ということで、rとgの観点から「価値」と「価格」のギャップを取ろうというお話でした。
なお補足ですが、上記の計算式における1/(r-g)は、「価値」ベースのPERとして私は活用しています。
(フリーキャッシュフロー≒当期純利益と、かなり単純化して)
r=8%、g=6%と自分が設定した場合、1/(rーg)=50 ですので、「価値」ベースのPERは50ということになります。
それと現実に付いているPERとを比較してみると、意外とギャップを感じられるものです。
(終わり)



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