前回、「価値」と「価格」のギャップの源泉は、以下の計算式のrとgにあるというお話をしました。
【現在価値(PV)の計算式】
CF
PV=
r ー g
CF:初年度(フリー)キャッシュフロー
r:割引率
g:成長率
まずrの割引率についてですが、これは相手に要求する期待収益率の裏返しになります。
ここではハイリスク・ハイリターンの原則が当てはまります。
高いリスクがあるとみられる投資先に対しては、当然ながら高いリターンを求める。
つまり、割引率とはリスク認識の表れということです。
価値が高く評価されるためには、rに関しては低くなれば良い、すなわちリスクが低いと認識されれば良いということになります。
そこに一つの投資アイデアが生まれます。
「リスクが高い」と市場参加者には思われている企業が、本当は「リスクが低い」としたら?
そういうケースを探すということです。
「リスクの高低」を「安定感の度合い」と言い換えて考えてみてもいいかもしれません。
例を挙げると、こんなケースです。
・超小型株ならではの値動きの荒さはあるものの、あまり着目されていない強力なコア・コンピタンスを有し、ビジネスそのものは安定感が強い企業。
・コロナ禍を受けてなんらかのボトルネックが生じたことで増収増益のパターンが崩れてしまい、投資家の期待を裏切る形となったものの、競争優位性は何ら失われておらず、停滞が一過性のものであると判断できる企業(rが高まってしまったものの、いずれ低下することが期待できる企業)。
こういうイメージとのギャップから、認知度の向上によりいずれrの低下が見込まれる企業、すなわち、自分の中の「勝手割引率」を他の投資家に先んじて引き下げられるような企業を探していくというアプローチが考えられます。
私は特に中小型株については、rを引き下げ得るような独自情報の積み重ね(及びそこからの考察)を意識するようにしています。
(続く)
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