私は投資先を調べる時、早い段階でホームページやリクルートページ、有価証券報告書などで企業の沿革を見るようにし、そこに流れる企業文化の底流を探るようにしています。
その企業がどういった目的で設立され、どんな社会的課題を解決しようとしてきたのかを知ることで、未来の事業の拡張可能性を推察することができるからです。
特に創業者の想いを知ることは、その企業の行動規範を理解する上で非常に重要です。
オーナー企業に投資するメリットの一つとして、その想いが明確で、現在まで連綿とつながっていることが外部からも分かりやすい点も挙げられるかと思います。
2つ例を挙げてみます。
リログループの場合
まずは、主力のリログループ。
リクルートページにある「創業者列伝」です。
創業者の佐々田会長が父親から引き継いだ工務店を建て直すべく、大手商社の「御用聞き」を行う中で、日本版リロケーションサービスの事業化に勝機を見出すストーリーが書かれています。
そして、企業の「困った」を事業アイデアにし、常に新規事業を創出していくという創業者精神は、今もグループに根付いていることが分かります。
この話を読んだことで、「日本の総務部」、究極の「御用聞き」としてこれからも成長し続けていくのだろうなというイメージを明確に持つことができました。
アバントの場合
次に、アバントです。
こちらは中核企業であるディーバのヒストリーページを見てみましょう。
(開いたら下の方にスクロールして下さい。ココらしい凝った作りです。)
創業者である森川社長には、「世界に通用する経営情報システムをつくりたい」というプログラマーとしての夢がありました。
完成した連結会計システムの名は、”DivaSystem”。
「経営情報の歌姫たれ」(この絶望的に洒落たセンス、どうよ!)と名付けた時点で、連結会計というよりは「経営情報」そのものを事業の中心に位置づけて考えていたことが分かります。
「連結会計においてグループ企業間で経営情報を広げられる道具建てさえあれば、大衆化できるのではないか」
“DivaSystem”はこの発想から生まれており、やがてBI(ビジネス・インテリジェンス)事業の拡大を目的としてジールを子会社化したこと、また経理部門が「経営情報」を使い積極的に経営に参加することを可能とすべく、アウトソーシング事業を手掛けるようになったことも、創業者の「経営情報」に対する想いを鑑みれば必然だったように思われます。
そして日本企業は今まさにグループ、グローバル、ガバナンスの課題に直面しており、「経営情報」を戦略的に取り扱うことが今後ますます求められていく中で、当社グループは益々の発展が期待できそうだと分かります。
未来の企業のあり方を占うために
過去の財務諸表をさかのぼって調べるのもいいのですが、このように沿革をじっくり吟味するのも楽しいですし、未来の企業のあり方を占う上で非常に有意義です。
事業に対する妄想を膨らませることができ、握力にもつながること請け合いですので、投資先の沿革はぜひチェックする習慣を付けておきましょう。
コメント
分かるのはせいぜい共感できるかどうかぐらいの事じゃない?
共感してからがスタートという感覚を持っています。
そこで留まる企業もあれば、その感覚を持った上で改めて分析すると、打ち手の一つ一つが自分の腹に落ちてくるような企業もありますので、なるべく後者のような企業に投資するようにしています。