株を買っても、企業に1円だって入りやしない。だけど…

投資スタンス

「株を買って、企業を応援する」

初心者向けに株式投資の意義を説く際、こうしたフレーズがよく使われます。

確かに、買いたい人が増えて株価が上がることによって、投資先の信用も上がります。
このことで資金調達がしやすくなったり、人材を集めやすくなったりするのは事実です。

こういった面を考えれば、「価格をつける」のも投資家の大事な役割ではあります。
でもそれだけでは、どこかスッキリしませんよね?

一つ疑問が残ります。

IPOなり増資の引き受けならまだしも、株式市場において既に流通している株を買ったところで 企業には1円も入らないのに、果たしてそれが企業を応援することになるのか?

こう思うのも不思議ではありません。

かつての自分も、セカンダリーで株式市場に参加する意義について消化しきれず、どこかモヤモヤしておりました。

ただ2年前にスパークスの水田さんのレポートを読んだことで、自分の中でしっかり腹落ちしたのを覚えています。

なぜ株式市場は存在するのか? | レポート | スパークス・アセット・マネジメント
なぜ株式市場は存在するのか?。スパークス・アセット・マネジメント株式会社は、1989年に創業した独立系の投信投資顧問会社です。

(じっくり読んでみることをおすすめします)

このレポートのおかげで、投資家は、企業を支えてきたリレーの中で、いまバトンを持つ走者であるというイメージを明確に持つことができるようになりました。

人間の命には限りがありますし、生きている中で何らかの事情で換金する必要も出てくることでしょう。
一方の企業は永続する前提で事業を営んでいます。
そこにギャップが存在し、株式を移転させる仕組みが不可欠なわけです。

出資されたお金で企業が成り立っている以上、すべての株式を企業が買い戻すまでこのリレーは続きます。

その中で走者としての役割を果たしているのだという自覚を持つこと。
「企業を応援する」とは、そういうことなんじゃないかと。

そこに至るまでの説明をまともにしようとすると、やはり長文にならざるを得ないでしょう。
ここを省略して話を進めてしまう事情も分からなくはありません。

でもこうした株式投資の意義をしっかり説明することこそが、金融教育に本来求められることではないでしょうか。

私はこの学びを得たことで、

  • 当初の出資者の意思を引き継ぐべく、彼らが賛同したであろう創業者の志を理解すること
    (事業を通して、何らかの形で社会に貢献したいという想いがあったはずです)

  • その志を受け継いで発展してきた企業のこれまでの歴史を知ること

の2つを強く意識するようになりました。

できれば、その企業の社会への貢献意欲に深く共感し、バトンを強く握れる走者でありたいものです。

このレポートは、流動性を供給する投機家を古本屋に例えるあたりも秀逸です。
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コメント

  1. deds より:

    そうなるとあれだな
    インデックス投資など言語道断だなw

  2. renny より:

    ろくすけさん、素晴らしい記事ですね。

    投資先のこれまで、沿革に関心を寄せる重要性にあらためて気づかされました。

    刺激を受けてnoteに記事をつくりました。

    その会社に関わる人たちがどんなリレーを走ってきたのかを知ること。
    この先どう走っていくのかを想像すること。
    株式を買うこと、オーナーになることは、そのリレーのバトンを担う、握ることなんですよね。

    https://note.com/renny/n/n0b2f5c3a8731

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