さて、3要素の残り一つ、PERです。
実はこれが一番やっかいなシロモノです。
よく「PERは人気度を表す」みたいに言われることがあります。
短期目線であれば「需給」が大きなウェイトを占めると思われますし、それで十分なのでしょうが、長期目線で考えた場合にはそれでは粗すぎると考えております。
私はさらにPERの要素を分解し、PERは (a)安定性 (b)成長性、そして(c)視聴率 から成るととらえ、それぞれについて考えるようにしております。
安定性と成長性
企業価値算定のプロセスを援用することによって、
PER=1÷(r-g)
r:割引率(リスク認識)
g:永久成長率
という式が求められます(拙著でも紹介しましたね)。
rが下がるとPERが上がるわけですが、r=事業の安定性(事業リスクの裏返し)ととらえると、事業の安定性の向上や不安要素の払拭がPERを上げるということが言えます。
具体的には、補助金や公共予算頼みの事業を縮小した、アフターサービスの充実によりスイッチングコストが高まった、というような事象がこれに当たると思います。
その認識が広がることによってPERの上昇がもたらされる、こういった事象が発生していないかを探るということになります。
そして、gの上昇(事業の成長性の高まり)によってPERが上がるのは言わずもがなです。
視聴率
さて、③→②→①(a)(b)の順で見てきました。
ここまでがいわゆる「価値」の範疇であり、リクツで考えられる世界。
残る①(c)が「視聴率」=その時点での注目度合いで、「価値」に「視聴率」が掛け合わさって「株価」が決まるイメージとしてとらえています。
このあやふやな「視聴率」が我々を惑わせる元にもなっているのですが、長期目線での考え方として、まだ「視聴率」が低い段階でエントリーすること(←短期目線とは逆の考え方)を心掛けています。
(続く)
↑ ポチっとお願いします。
コメント