文系脳の強みとは何でしょうか。
「直感で判断して動くことができる」「人間本来の持つ感情に寄り添うことができる」という部分が大きいのではないかと私は思います。
それがコミュニケーション能力の高さにつながったりするわけです。
このような特徴を持つ人間が投資するにあたっては、「好きな企業を応援する気持ちで投資する」というスタンスで取り組むのが自然ですし、また得意分野を活かすことにもつながると考えています。
そうなると必然的に長期投資を志向することになりますので、多くのトレーダーが取り組んでいる「四半期決算当てゲーム」の場合とは情報収集の仕方が全く異なってくると思います。
同時に、日々の仕事や生活に忙しく情報収集に多くの時間をかけらない方は、下手にジタバタせずに長期の構えで取り組んで欲しいという私の想いもあります。
以下では、これらの前提に立った上で、なるべく数字の世界に入り込まずに、「好きな企業の中から」投資先を選定していけるような手順を説明していきます。
投資先選定のステップ
1.「好き」の理由を言語化する。
2.過去の業績の傾向をざっくりと把握する。
3.情報収集&3C分析をする。
4.成長ストーリーを自分の中に落とし込む。
ファンダメンタルズ分析をするにあたっては、たくさんの切り口やフレームワークがあり、本で解説もなされています。
ただ、あまり多くを盛り込んでも混乱をきたしてしまいますので、ここでは上記のような形でなるべくシンプルにした方が良いと思います。
最後は文系脳持ち前の「妄想力」を活かす形ですね。
では、順に説明していきます。
1.「好き」の理由を言語化する。
直感的に「この企業に投資してみたい!」という感情が沸いたとします。
そこで実際に投資行動に移す前にまずやっておくべきことは、そう思った理由をハッキリと言語化して文字に残しておくことです。
ここで凝った文章を作る必要はありません。
「他店では置いてない大きなサイズの靴が、いつも揃っている」
「社員のみなさんが自由に意見を言い合える雰囲気があり、活き活きとしている」
といった簡単なもので結構です。
この言語化が、後で説明しますが情報収集・分析やストーリー作りにつながっていきます。
2.過去の業績の傾向をざっくりと把握する。
今回、投資先企業を選定するにあたっては、主に「定性的」な特徴を深掘りしていくようなアプローチを採用します。
ここで気に留めておくべきは、「定性的」な特徴は、「定量的」な特徴に結果として表れるということです。
ということは、逆に「定量的」な特徴を先にチラ見しておくことで、投資先選定にあたっての「分析をするに値する否か」が分かり、絞り込みが可能ということでもあります。
そのために、過去の業績の推移をざっくりと把握しておきましょうということです。
具体的には、過去の連載 で書いたような作業を行います。
つまり、有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」(2ページ目)で5期分(可能であれば、2つつなげて10期分)を概観しながら、以下をチェックするということですね。
- 業績が「安定」して「成長」していることを確認する。
- 少ない投資でたくさん稼いでる様子を、キャッシュフローの状況から確認する。
- ROEの高位安定を確認する。
少し「安定」について補足しておきます。
業績の「安定」は、見通しのしやすさから価値と株価とが並走することが期待できるため、長期投資では大きな安心材料となります。
逆に業績の「ボラティリティ」(変化率の大きさ)は、中短期のトレードではメシの種になり得ますが、長期投資ではその不確実性ゆえに敵となりがちです。
基本的には、できれば「安定」を強く感じられる企業を多めに組み入れることをオススメします。
話を戻しますと、上記三つの項目をさらに端的に言えば、「現金が年々溜まっていくイメージが持てるかどうかをチェックする」ということになります。
いざ新しい事業領域を開拓しよう、勝負に出ようという時には、この溜まった現金が力になります。
その現金を企業自身が新たな投資に回すことで、複利でその価値を増やしていくイメージ(それこそ、雪だるまのように)もできるかと思います。
長期的に見てそのようなイメージができる企業は、有価証券報告書「主要な経営指標等の推移」の見映えも、とても美しいものです。
(余談ですが、それは有価証券報告書の文章の美しさとも、ある程度つながっている部分があると考えます。)
こうして定量面のチェックをざっくりと行った後、いよいよ定性面の分析へと入っていきます。
(続く)



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コメント
まさに私なんかは「文系脳」ですね。結局、書かれていることをザックリした形でなぞりながら銘柄選択しているように思います。ただ、全般に様々な点が甘いですし、実際の売買では思い切りがないです。その分、大きな怪我は少なく、逆にリターンもそこそこにとどまるという感じです。
ただ「好き」「面白い」とかいう自分の興味関心からスタートすると、銘柄選択の業種がどうもモノづくり系のところに偏っていってしまうんですね。というあたりから、以前はよくわかりもしないで武田薬品とかアステラスなんかを毎月少しずつ買っていました。またここのところは意識的に広い意味での医療とか福祉、介護とかそうした領域の銘柄をPFに組み入れるようにしています。
そうですね。
馴染みのある業種に投資していれば、大けがはしにくいかもしれませんが、
意識して関心の幅を広げていくようにしないと、PFに偏りが出てしまいますよね。