資産運用における期待リターンとして、私は長年「10年で2倍」にあたる、「年率+7.2%」を設定しております。
自分のトレーディングの能力には期待していないというのが、その理由の一つです。
この水準は、海外の機関投資家が日本株に対して期待する収益率(株主資本コスト)とほぼ同等ではないかと思います。
良質な投資先を選別できる力があって、後はその稼ぎに任せておけるなら、十分達成可能だと考えています。
期待が変化することにベットしていないので、他の市場参加者が考えていることを気にしなくて済み、企業の状態そのものを「診る」ことに集中できます。
そして何より、この水準であれば常時入れ替えることを前提にする必要がなくなるので、投資先と「同じ船に乗る」意識を持つことができるというのも大きな理由です。
これが例えば「年率+数十%」といった水準をコンスタントに出そうとなると、なかなかそうはいきません。
投資先を、「売買の対象としての『銘柄』」として扱わざるを得ない部分が出てきます。
また中短期の結果を意識し過ぎるあまり、投資先の長期的な取り組みの成果を待つことができなくなるのも、大きなデメリットですね。
投資の楽しみ方は人それぞれだと思いますが、私の場合、これでは投資の醍醐味に欠け、ちょっと寂しいと感じてしまいます。
個人投資家界隈を見渡してみますと、年率+数十%以上のパフォーマンスを誇らしげに報告している方が多いですし、その域を目指している方も多いという印象です。
でも、それを実現できるだけの能力が自分に備わっているでしょうか?
また、それに向けて日々の努力はしているでしょうか?
客観的に自分自身を見た時、私はとても自分の中に高い目標を設定できるだけの蓋然性を見出すことはできませんし、上記の価値観もあって、そこに向けてリソースを大きく振りたいとも思いません。
諸々バランスを考えて、「年率+7.2%」という目標を堅持しています。
結果的には、これを大きく上回る成果が出ています。
私自身の拙い分析結果よりも、投資先が出してくる長期業績の方がよほど優秀で、実際には期待を上回ってくれることの方が多いのです。
そしてそのズレは、複利で時間とともに効いてきます。
何事においても言えることかもしれませんが、「期待を下げておく」というのも、投資を楽しむ一つの知恵ではないでしょうか。
そうして心の余裕を持つことが、投資先の価値創造の力に長く乗っかる秘訣ではないかとも思っています。



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