ヤマハ発動機株主総会2024(3)(★★★★☆)

株主総会・説明会

(会場のコミュニケーションプラザからの眺め。磐田のこの一帯は「ヤマハ村」といった感があります。)

質疑応答の続きです。

質疑応答(3)

【質問7】
事業報告を見ていると、中国ビジネスが停滞しているとの記載がある。
現在の御社のビジネスにおける中国依存度と、中国に関して今後どのようにお考えか、シェアは増えていくのかどうか、御社の方針について伺いたい。



(日髙社長)
中国については、基本的にあれだけの人口、あれだけのGDPのあるマーケットを決して無視できるものではないという考え。
GDP per capita(国民1人あたりのGDP)は年々増えており、当然人々が豊かになれば、当社のようなレジャー商品を扱う企業にとって非常にいいマーケットになるのではないかと期待している。
一方で、地政学的リスク、米中対立といったものも含め、タッチーな領域もあることは認識しつつも、それでも中国市場での成長を目指していきたいと考えている。

本日現在では売上高2.4兆円の中で、中国市場の占める割合は二桁%には全然届かない状況ではあるが、市場のポテンシャルは非常に大きいと考えている。

(太田上席執行役員)
私が担当しているロボティクス事業は、中国比率が比較的高い。
世界の工場と呼ばれた中国であるので、ものづくりが中国に集中していた、そのものづくりをサポートする我々の中国の比率も大きくなっていたというのが、今までの経緯。
その中国で現在は景気の停滞があり、我々もその影響を被っている。

一方、米中摩擦のようなタッチーな部分、コロナ禍におけるサプライチェーンの混乱もあり、ものづくりの中心は中国から世界各地へと動き始めている。
具体的には、東南アジア、メキシコ、東欧など。

ということで、中国という大きな市場を引き続き重要視しながらも、ものづくりの拠点の移動にしっかりとついていけるように、例えば昨年はシンガポールに販売・サービスを支援する拠点を設けたように、お客様の生産をサポートできる体制を整えていく。

【質問8】
ロボティクス事業について。
現行中計では当初、2024年度に利益寄与率25%にするという大きな目標を掲げていたが、現状では事実上困難となっている。
そうなった要因として、「中国」以外で目算が狂ったようなことがあったのかどうかと、次期あるいはそれ以降の中計において、同様に大きな利益寄与率を実現していくビジョンは持っているのかどうかについて教えて欲しい。
(私からの質問です。)



(太田上席執行役員)
中国以外では、半導体に絡むところ、いわゆるシリコンサイクルと言われる数年単位での景気の上がり下がりが現在も継続している。
最近の新聞紙上でも、半導体周りが一昨年あたりから落ち始めたのが継続していることが言われており、やはりグローバルの動きとしてコロナ禍での需要の大きな変動が背景にある。
一挙に盛り上がった需要が、結果として過剰在庫を生んだというところが、一番大きな要因。

ただ現在、在庫については減り始めていて、新聞紙上でも、海外のお客様との話でもそう聞いているし、市場の伸長はこれからも見込める
それは、バックグラウンドとしてのデジタル化・AI・IoT、そして自動車の電動化・自動化、さらには人手不足といったところで需要は伸びる。
そこに向かって、価値を提供できるような体制を強化していく。

→ ロボティクス事業の需要が多岐にわたり、長期的に伸びる見通しもうかがえるものの、当社としても相応にシクリカルに捉えていることが分かりました。次期中計発表の段階では、現行計画ほどまでの大きな目標は作ってこないかもしれませんね。

【質問9】
EV事業において、充電インフラを整備する計画はあるか。



四輪車・二輪車とも、日本国内の充電ファシリティは中国・米国・欧州に比べて遅れているのは事実。
官民一体で議論は進んでいると思うので、その状況を見ながらということになる。

当社は残念ながら、現時点ではEVスクーターは家庭充電を前提とした脱着式で、ガチャコの標準バッテリーに対応した車種は無い。
ただ日本のメーカーで決めた規格なので、ガチャコ仕様に対応したBEVを準備していく計画はあるが、現時点で具体的な内容については差し控える。
そういったものが発売された暁には、当社の販売店の店頭等で設置するということは十分検討に値するテーマであると考える。

【質問10】
以前からネット等で話題になっていた「ヤマハのコピペ」に、5年後・10年後に何か書き加えられるとしたら、どのようなものになるか?

(面白い質問です 笑)


(日髙社長)
「ヤマハのコピペ」というものについては、私は存じ上げないんですけども…
(これはやや意外でした。これだけの大企業のトップともなると、全てを把握することは困難なのでしょうか?)
(少し間があって)
財務担当の設楽の方が回答できるようなので(会場笑)、任せたいと思う。

(設楽取締役)
ヤマハの歴史を非常に詳しくSNSでご紹介いただき、ユーザー様・株主様等から大変ご好評をいただいている。
歴史の中で当社の魅力である事業の多角化にご注目いただき、将来への期待に関してのご質問として承る。

我々は、常にチャレンジをしながら、新しい事業の可能性を模索している。
そして将来に対する投資をしっかりと行った上で、その芽を育てていく。
事業ポートフォリオの中で成長投資をする芽である、モビリティサービス、農業、医療関係を大きく育てていけるようにしたい。
ミュージックの分割を含めて、将来に向けた方向性について我々も検証課題として捉えている。
どうかご期待を。

(ここで議長より、質問はあと1名とさせていただく旨のご発言がありました。見た感じ、質問もいったん出尽くした感はありました。)

【質問11】
成長事業であるロボティクス事業について、今期の予想において減ったところから回復する形になっている理由は何か。
また、これからもっと伸ばしていく意向があると思うが、ヤマハにしかない差別化できる技術がどこにあるのかについても教えて欲しい。



(太田上席執行役員)
今期の目指しているところは、数年前のレベルに戻った。
我々のお客様の景況感の悪化が現時点では続いているところもあり、今期の前半は保守的に見ている。
ただ今期の後半は上昇してくるのではないかという予想の下、まずは戻すと想定している。
そして景気のサイクルで上がってきたところに追随し、それ以上に価値を提供していくために、生産能力の増強・営業網の充実・開発等を行っていく

差別化要因としては、私共は「ワンストップスマートソリューション」と銘打ち、電子回路基板を作るところ、半導体を作るところ、産業用ロボットを使うところをヤマハに頼むと、一通りの課題解決ができるということを掲げている。
お客様の使う設備を揃えるだけでなく、それらをつなぐことによって、さらなる付加価値をお客様に提供する、ものづくりに対しての価値をしっかりと提供することを目指している。
これが私共の特徴的なところであり、売りにしているところ。
こちらをしっかりと推し進めながら、景気回復局面での成長を実現していく。


質問は以上になります。

この後議案採択に移り、閉会。
新任取締役の挨拶を経て、解散となりました。

(11:36)

所感

総会運営そのものはオーソドックスでしたが、日髙社長の、穏やかな口調の中に情熱を込めたご発言の数々が好印象でした。
(ちょっとファンになりました。)

成長事業の一つとして位置付けているロボティクス事業は、当社としてもシクリカルと認識しているものの、その需要は多岐にわたり、ここからの回復局面でドライブをかけていく意気込みを感じられたことは収穫でした。

年明けに開示される予定とうかがった次期中計を、楽しみに待ちたいと思います。

評価は★★★★☆とさせていただきます。

(終わり)

3回にわたりお付き合い下さり、ありがとうございました。
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