質疑応答の続きです。
前回までもなかなかでしたが、今回も凄いです。
引き続き脳内再生の上、お楽しみいただければと思います。
質疑応答(2)
【質問6】
1単元しか保有していない、短期の株主だ。
したがって、会長をはじめとした皆様と某週刊誌には頭が上がらない状態で、おかげさまでいっぱい儲けさせていただいている。
まだ買って数ヶ月だが、これを1,000株に買い増しするにあたって、車載事業の回収の時期がいつ頃になるのかが気になっているので、お答えいただければと思う。
⇒
(永守会長)
今期から黒字になりますから。
それだけです。
…これ以上説明すると、叱られますから(会場笑)
→ この辺りの緩急の付け方は、流石としか言いようがありません。
【質問7】
最終的には配当を上げて欲しいと思う。
配当も2%以上に上げてくれたら良くなると思うし、バフェットも買ってくれるし、10年でも20年でも2%あったらいいかなと思うので、上げられないかをお答えいただきたい。
それから社員の給料も6百万円と安いので、7百万円にして欲しい。
⇒
(小部社長)
当社は安定配当を継続する、中長期的には配当性向30%を視野に入れ、業績に応じた配当を行っていく考え。
ここ数年、5円単位で配当を上げてきた。
もっと利益を出して配当を上げていきたい、このように考えている。
社員の給料の話については、世の中全体で上げていく動きがあるが、今年は平均+7%給料上げた。
あくまでこれは平均であり、中にはもっと上がる人もいるし、逆に上がらない人もいる。
まさに個人の実績に応じてであり、昔のように皆が平等に給料を上げていく時代ではないということをご理解いただきたい。
(永守会長)
配当についてはね、我々バーッと伸びている会社なんですよ。
辛抱してくれとは言いませんけどね。
今70円、確かに株価は高いから利回りは低いですけどね。
ただそういう所にどんどんお金を使っていくとね、次の成長がうまくいかないんですよ。
アメリカなんかですとね、成長している会社は全部無配ですわ、無配。
だから配当利回り言われるんやったらね、もっと安い株を買って下さいよ。
そりゃいっぱいありますよ、関西電力とかね(会場笑)
銀行株でも利回り高いですよ、5%ですから。
ただこれ成長しません、株価上がりまへんで。
確かにもっと配当出したいです、僕は筆頭株主だからね。
だけどね、しばらく我慢してもうてね、そしてもっと会社が大きくなったら株価ももっと上がっていってね、そっちの方がリターンが大きいんじゃないかと思いますよ。
それと賃金もね、我々これ50年で2兆2千億の会社になったわけですよね。
例えばパナソニックとか100年の歴史ある会社もいっぱいありますよね、そういう会社と比較して言うたらね…
松下さんの息子さんに会うた時にね、「永守さんね、あんたのとこはこれから伸びてくんやから、そんな早よから給料上げてしもうたら、会社はだめになるぞ?それで松下は失敗した」と、「自分らが後から来たんだけどね、来た人が三菱電機がいい給料払ったと、その時自分らもガーッと上げてしまった、だから松下はダメになった」というお話を聞きました。
だからこれはですね、この会社は成長する会社なのか、新しいもの何も出て来へんと、だから売上もほとんど横ばいなのかという問題。
そうなったらね、配当上げるしかないんですよ。
だけどそうでない会社はね、配当に持っていくお金があったら、新しい事業をやって、株価上げた方がいいんですわ。
そういう考え方を理解していただかないと。
配当金もっと欲しいと仰るならば、うちの株は適当ではありません(キッパリ)
そりゃ銀行なんか、もの凄い利回りいいですよ、でも株は全然上がりません。
株も上げて欲しいわ、配当も増やして欲しいわ、という訳にはなかなかいかないのですよ。
それを理解していただかないとね、うちの会社の株で配当をもっと欲しいと仰ったら、そりゃ無理ですな(会場笑)
いや、そりゃ将来はあり得ますよ。
その時はもう何も新製品が出来ひんと、売上も横ばいやと、そうなったら配当上げなしゃあないですわ。
それ以外に株主に応えられる方法はありませんからね。
時価総額だって、今止まってますけど、日本では第8位まで上がってきたわけやし、これからもっと上がりますよ。
これを持ってたらね、また最高の株価つけるでしょ。
そんなん、(配当の)2円とか3円とかよりもっと大きいですよ。
だからそれをよく考えて下さい。
私の考え方が間違っとったら、他の株を買ってもらえばいいわけでね。
やっぱり長期に持ってやね、京都に10兆円企業を作ろうやないかと応援して下さる方は、もっと大きなリターンが得られるということです。
給料もね、今当社が+7%でしょ、2025年には+30%上げると思っとって下さい。
その辺の企業には負けませんよ?
そういう時期が来たから、それをやるわけです。
給料だけで来る社員は、来ていただかなくて結構、他に行けばいい。
一緒にこの会社を大きくしたいと思う人が来てくれればと。
時期が来たら会社も儲かっているわけだから、そりゃ上げなあかん。
順番があるんです、順番が。
日本には5百万の会社(事業所数)がありますけどね、99.99%が中小企業ですわ。
なぜそうなっているかと言うと、やっぱり志が…この中にも中小企業の方いっぱいおられると思うけどね、家族だけでお金を取るのか。
そういうことでは無しに、本当に身分相応っちゅうものがあって、会社が大きくなってきたら、それなりの層に高い給料を払っていくのか。
それまで我慢してくれよと言うてね。
まず京都で一番になると、2兆円やと、それまで我慢してくれやと言って来たから、今回+7%上げたわけですよ。
来年も上げますよ。
いろんな会社にはいろんな方針があるんですよ。
その方針、すなわち経営の理念とかね、そういうものに賛同していただく方に(会社に)入っていただきたいし、株もそういう方に買っていただきたい。
私は皆様方を選べません。
上場会社だからね、勝手に買えるわけですわ。
会社の基本的な理念があって、その理念に基づいて会社は経営されているんです。
気に食わなかったらいつでも売れますよ。
今日終わったらすぐ売ってもうたらええ(会場笑)
株主さんも会社の方も、同じ考えでベクトルを合わせて、この会社を応援したいんやと、ともに喜び合える人達に株買って欲しいと、私はね、必ずその期待にお応えするということなんです。
…これ、早く話終われと言われても、終われませんで?(会場爆笑)
長過ぎると言われるけどね、これくらい話してやっと分かるもんですよ?
もう、かなわんわ(会場笑)
今まで初めてですよ、こんな質問は。
僕の話が長いとかね、面白くないとかね。
もの凄く大事な話してますよ?これ。
…以上です(会場笑&拍手)
→ 株主への還元、社員への還元はどうあるべきか、考えさせられるやりとりでした。ここまで明け透けに本音を語ってくれる経営者は、なかなかいらっしゃらないですよね。
【質問8】
昨年は配当をゼロにした方がいいんじゃないかと意見を申し上げた者で、永守会長からも同じ考えだとのお話をいただいた。
それに関連した話にはなるが、分配可能額を超過した配当が行われてしまったということがあり、取締役会の構成の問題等で歪が出てきているのではないかという問題と、株価が長期間低迷している原因として、配当を出しているから成長投資に振り向けられていないという問題も見え隠れし、複雑な問題が絡み合っていると感じるので、意見を述べさせていただきたい。
外部の調査委員会の報告書を読ませていただいたところ、P.13に取締役の認識についての箇所があり、本件においてニデック社の取締役会の多くは、分配可能額規制について全く認識が無く、認識を有していた取締役についても剰余金の配当に一定の上限が存在するという程度の、抽象的な認識を有するのみであったと。
つまり、取締役会の方々のほとんどが会社法の分配可能額の規制をご存知無かったと書いてある。
この文章を読んだ時に愕然としたし、さすがに大企業で日経平均にも採用されている企業で、分配可能額を超過したという事例を最近聞いたことが無い。
異常な事態だと思っている。
上場企業でも中堅中小だとやってしまった事例は出ているが…
また、配当に関しては規制にかかると認識される方がいらっしゃったが、自社株については規制にかかると認識された方が一人もいなかった。
読んだ時に信じられなくて。
と言うのも、昨今色々な企業で株主提案がなされ、そこで配当や自社株買いが分配可能額規制を上回る場合は、分配可能額を限度にすると、株主の方から書いてきている。
個人投資家とか投資ファンドでも認識していることなのに、これはちょっとマズいのでは?
なんでこんなことが起こったのか…
⇒
(永守会長)
(遮るように)簡略にお願いしますよ。
なんだったら残っていただいてね、説明させていただきます。
そういうこと仰いますけどね、人間ってそんなパーフェクトじゃないですよ。
公認会計士何十人も来ているんですよ、誰も分からなかったんですよ?
それを知ってて当然だと仰いますけどね、そんなことまで会社の取締役が知っているなんて考えられませんよ、はっきり言って。
そんなこと言ってね、あたかもね…いや、これはミスしましたよ我々は、ミスしましたけどね、時には人間ミスしますよ!
なぜ起きたかと言うとね、やっぱり自社株買いで株を多数買ったんですよ。
過去はたくさんそんな買わなかった。
株主さんに対して、株(価)落としてはいかんと、そういう思いで買ってるわけや。
確かにそういう規則があったことは分かりました。
私も全然知らなかった、はっきり言って。
過去にもそういうことはあったが、全部公認会計士が見つけるわけですよ。
ところが(今回は)全然見つけないで、社内の人間が見つけたんですよ、最後に。
その時は決算締まっとったからね、言えなかったんだけどね。
全然知らなかったというわけじゃなくて、知ってる人間はおったんですよ。
だからと言ってね、調査委員会もやってもう終わっているものをね、それを信じられないなんて、我々をバカにした発言をしとるじゃないですか!(会場笑)
何を言いたいんですか、あなたは!
だから我々も完全に懲りてね、必死になって社内で勉強会やってますよ。
二度とそういう事が無いように。
(質問者「知らなかったと仰いますけど、調査報告書が出て取締役の責任を追及する必要がないとは書いてあり、それはいいのだが…でも、これだけ多くを工場に投資していると、減価償却費も多い、かつ自社株もし、配当も出しているということ。成長企業だから設備投資もM&Aもして、減価償却をして利益も押し下げられているのだから、分配可能額も押し下げられる。分配可能額大丈夫かと、当然気にするものだと思われるが…」)
いや、全然知らなかったです。
(質問者「それは仕方ないとは思うんですけども…」)
全然知らなかったと言って、謝っているでしょ?
知らなかったんですよ!
こういう事が起きた場合でもね、いつも公認会計士が見つけてくれるんですよ。
そのために莫大な金を払っているわけですから。
社内の取締役が全部知っとらないかんというのは、あり得ないですよ。
(質問者「もちろん、分配可能額の計算式は複雑ですから…」)
あなた専門家だから、後からゆっくり教えて下さい(会場笑)
そんな事ね、ここに来てガタガタ言う話じゃないでしょ!
(自然に拍手が沸き起こる)
よく分かりましたから、言いたいことは!
(小部社長)
議長権限として、ご発言はこの辺とさせていただきます。
ありがとうございました。
(拍手)
(永守会長)
そんなこと言うならね、こんな会社の株売りなさいな。
さっきからダメ、ダメ言うんやったらね、こんな会社の株売ったらいいじゃないですか?
(拍手)
(質問者が何か言いかけたところ)
(小部社長)
発言はお止めください。
→ このやり取りの一部は報道もされましたね。ご質問者の問題意識と投げかけた疑問は真っ当だったと思いますし、ちょっと気の毒でした。
【質問9】
永守節が復活して非常に嬉しい。
(永守会長)
今日は静か~に終わろうと思ったんですがな(会場笑)、今の質問とさっきの質問でカーッとなってしもうて。
あのね、この性格だけは治りませんので。
もっと紳士にならなあかんのですけどね。
僕が紳士になったら株下がりますわ(会場爆笑)
これからもそういうことでよろしくお願いします。
(小部社長)
あの会長、議長が指名してから発言して下さい(苦笑)
(再び質問者)
弱小株主で申し訳ないが、応援しようと思って買っている。
株価が下がった時に買うことで応援できるのだが、もっとポジティブな応援の仕方、期間限定で例えばこれから5年間、成長に思う存分使って下さいということで配当は少し減らすとか、株主として応援はできないか?
リターンが大きくなるという意味ではそういう応援の仕方もあるかと思うので、ひとこと言わせていただいた。
⇒
(小部社長)
世の中にはインサイダー問題というものがある。
我々がいい加減な事を言って、株主様に間違った判断をさせてはならない。
我々がこういった事をやりますよ、みたいなものは、機関投資家・アナリストに対して定期的に情報を提供している。
そういった情報を株主様にもご覧いただければ、参考になるのではないかと思う。
宜しいですか?
(質問者「高くても安くても売らない株主なので」)
ありがとうございます。
(続く)
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コメント
ありがとうございました。
永守さんが好きでニデックを応援しているので大変参考になりました。
メールアドレスはランダムな文字列ですので、無視してください。