ニデック株主総会2023(4)~質疑応答その3・所感(★★★★☆)

株主総会・説明会

質疑応答の最後と、まとめです。
…疲れました(グッタリ)

質疑応答(3)

【質問10】
次期社長候補に関して、永守さんが求める次期社長の人物像と、どういう事を求められているのかを教えていただきたい。


(小部社長)
次期社長候補として、今年副社長5人を選定させていただいている。
これから来年に向けてどう選ぶのかについても、開示している。
業績をきちんと達成する、どんな事があっても逃げない、色々な社長に関しての考えがある中、指名委員会の方が副社長にインタビューをしたりしながら、選定するという流れ。
ニデックを成長させるだけの高いリーダーシップを持ち、全体を統制できる方ということになる。
これから選定するわけだが、この辺を見ていただければと思う。

(質問者「できましたら、永守会長からも…」)

(永守会長)
今の社長の説明、全然面白くなかったでしょ?(会場爆笑)
前のほうの方、居眠りしてたんじゃないかと。

私は創業者だからね、稲盛さんとかね、ロームの佐藤さんとかね、まあこういう人たちと一緒に飯食うたりしてたんですけどね…
まあ、創業者っちゅうのは、アホが多いっちゅうか、きっと頭おかしいんですわ。
そういう方がね、会社作ってるんですわ。
ホンダもそうですわ、まともな人おらんでしょ?
自分の作った会社の将来像は常に考えているわけですが、そういうことを一緒に考えてくれる人が欲しいと思ってやりましたけども、まあ数年前に入れたのが大失敗しました。
去年だったかな、その辺に座っている人がね、「来年この人おらへんで」とか言ってね、聞こえてくるんですわ(会場笑)
株主総会の議長もやっとってね、あんなに話もできんもんかとなってきたらね、そら株主も面白くないわと。

だからね、だいたい創業者が亡くなるとね、株主総会に来る人もいなくなっちゃうんですよ。
松下幸之助さんはね、九十いくつでほとんどモノが言えなくなってもね、株主総会でボーンと座ってはるわけや。
それを見に来はるんやね。
ところが実際にやる議長は全然面白くもおかしくもないわけで、ほとんど寝てはるわけや、株主は。
それでも創業者が出てくるとね、みんなシャンとしてね、そういうものなんですよ。

だからですね、私も大変失礼なことも言いましたけどね、本当だったら何も言う必要ないわけですよ。
「貴重なご意見を承りました」とかで、終わりでいいんですよ。
ところがそうじゃない自分の考えがあるから、説明する。
で、説明したら、長いと仰る(会場笑)

いろんな方に株を持っていただくのは大変嬉しいことなんですけども、何回も申し上げるように、この会社が好きだと、そういう創業者の理念が好きだという人に持っていただきたいんです。
…また話が長くなる(会場笑)

やっぱり自分が作った会社だから、自分のような経営をしてくれる方を探しまくったんですよ、10年間。

…居なかったですね。

だから5人の副社長を選んで、その次はプロパーで入ってきた人たちが何人かで集団指導体制をやるというようになってきます。
そうなってくるとね、株主総会も全然面白くないんですわ、今度は。

しかし、私は株主総会に出てきます。
完全にリタイアするわけじゃありませんから。
これ辞めた後はね、取締役グループ代表っていう、自分で勝手に地位を作ってね(会場笑)
ここではなくて後ろに座って、なんかあったらバッと出てくる(笑)

単純に言えばね、株価を上げてくれる人ですよ。
株を上げよう思ったらね、業績良くしにゃいかんでしょ、成長なきゃいかんでしょ、そういう事をやってくれる人じゃなきゃあかんということ。
株価を上げてくれるのが、一番いい社長じゃないですか?
私はそう思っているんですけど、もの凄い立派な人格だけど株は全然上がらないのと、ちょっと変人だけど株は上げてくれるのと、どっちがいいのか。
そりゃもう、株を上げてくれる方がいいに決まっているわけでしょ。
(拍手)

私らもそういう風に認識して、皆様方に新しいニュースが出たらちゃんと話をすると。
前から株主総会は、何時間でもやる、質問が切れるまで、そう言うてきたんですよ。
だけど今日は早よ終わろう思うて…長い長い仰るからね。
こっちも物凄いエネルギー使うわけや。
一人でもそんな株主がおるとね、物凄く私のやる気を削ぐんですわ(会場笑)
そういうことを理解していただく方に、1年に1回集まっていただいてね。
僕だってこんな馬鹿げた話をしたくないんですよ。
もっと格調のあるね(会場笑)、日本経済がどうなるかとか、そういう話もしたいですよ。
だけどそれじゃあね、1時間も2時間も座っておられんですよ。

だから1年に1回、創業者の余興や(会場笑)
そういう方々の株主総会に行くとね、やはり面白いですよ。
創業者の株主総会はね、何とも言えないエネルギーがあるんですよ。
だから皆集まってくるんです。

ご質問にお答えするとね、自分が思っているような人はいないということ。
長く勤めてきてくれた人たちが、5人とか10人とか集まって、私がやってきたことを6人、社長以外で5人、分担してやっていく形になります。
次くらいはね、おそらくプロパーになる。
学校出てすぐに入ってくる人ね。
それが続いていくと、売上高の九十何%かは海外ですから、場合によっては外国人が社長になってここに立つ、そういう時がやってきます。
だから日本人ばかりに任してはあかんということでね、現に優秀な役員もよぉけおるわけです。
そういう人たちを上げてくるというのも一つの方法ですね。

…早よ終われと(会場笑)

→ 漫談モードに戻ってきました。後継者問題に関しては色々ありましたけど、どこか吹っ切れた感もありますね。創業者の孤独。この話が聞けただけでも、来た甲斐がありました。

小部社長より、第二会場には参加者が今はおられず、引き続きこの会場での質疑を進める旨の連絡がありました。

【質問11】
航空機用のモーターに関してだが、最大の市場であるアメリカで既に政府から認可は取っている?
まず先にそれを確認したい。

(永守会長)
日本の三菱重工も結局最後は認定取れずにダメになった。
ところが今回は認定をバンバンバンバン取っていて、僕はそれを最重要視している。
そこが強い企業と組むということでやった。
どんな大きな会社でも認定取れないとダメですわ。
それから、1回も事故を起こしていない。
部品ごとに認可が必要なことは十分認識している。
合弁の相手はそれが得意だと。
我々は最もキー部品となるモーターのシステムをやるということです。

(質問者)
元々のコアであった精密モーターの方は、SSDとの競合で苦戦をこれからも強いられるであろうし、工作機械、産業用モーターは日本の設備投資の波に影響を受けると思う。
ビジネスポートフォリオ自体を全面的に変えようと思うと、年数も掛かるし、大変ご苦労があろうことを察する。
自己資本比率が14%しかない中で慎重に資本を使っていかなければいけないと中、車載を伸ばしていかないといけないと思うが、御社のマーケットシェアはどれくらいなのか、今後の目標は?

また「構造改革費用」とは具体的に何なのか、各部門でどれくらい使ったのか、ディスクローズしていただきたい。


(永守会長)
それだけお答えしようと思ったら、1時間くらいかかりますわ(会場笑)
簡単な質問じゃありませんよ。
まずね、大きな変化には時間かかると仰いましたが、関係無いんですよ。
150年くらい歴史のある会社を買収してるんですよ。
非常に高い技術を持っとるんですよ。
そういう会社を買ってきました。
今回の三菱関係もね、歯車では日本一、世界一の会社なんですよ。
三菱重工の技術は凄いんですよ。
機械そのものよりも、そこで作る機械が、電気自動車の非常に重要な部品を加工できるものを持っとるんです(そこが重要)。
他はできないんですよ。
だから私らはいっぺんに高いシェアを取っとると。

色々ご心配があるかもしれませんが、そういうことは我々もちゃんと考えてますから。
考えて考えて考えてやっているので、ぜひご心配なく。
心配だったら、株売ってください(会場笑)
そんな心配で寝られへんと、毎日ね、ニデックの事考えると寝られへんとか、大変ご迷惑がかかりますから。

だから信頼して下さい!
経営者が信頼できない会社の株を買ってはいけません。

(質問者「細かい話は後でIRに聞きますので。ありがとうございました。」)

小部社長より、「この質問が終わった後、あと2問程度とさせていただきます」との案内がありました。

【質問12】
空飛ぶ自動車で電動モーターを使うとなると、バッテリーが大事だと思うが、それに関してどのような考えを持たれているのか。
また他社に対してどのようなアプローチをされているのか。


(永守会長)
バッテリーとモーターは、非常に関係が深いんですよね。
モーターの効率が非常に高いと、バッテリーは小さくて済みます。
モーターの効率が悪いと、大きくなります。
バッテリーの方は、合弁相手の飛行機会社が担当しています。
我々は、バッテリーを大きく消費しない、非常に高効率のモーターを供給すると。
相手はバッテリーの事を一番気にしてますから、世界中のモーターメーカーを調査したんですね。
その結果、ニデックのモーターが一番優れているということで、お願いしたいという話が来てやったということですから、おそらく効率的には世界一のモーターを作っていると思うんですね。

それから車のモーターにしても、ステランティスというヨーロッパの会社と数年前に合弁会社を作ったんですが、その時もヨーロッパの会社ならボッシュとかコンチネンタルとか、そういう会社と普通組むはずなんですよ。
ところがなぜ日本のニデックを選んだかというと、やはり効率が一番高いから。
バッテリーの消費がキーだということですね。
バッテリーの効率を上げることはなかなかできへんのですわ。
モーターの効率を上げて、電力消費量をミニマイズすると。
これが最善。
今回相手に求められたのは、その点から来ているんです。

【質問13】
私はMBAの修士論文でも書かせていただいたが、永守研究家であります(会場笑)
素晴らしい日本の歴史に残る偉大な経営者で、M&Aをたくさんして失敗しないという経営者は他にいない。
グローバルに活躍する偉大な経営者として大変に尊敬している。
少々週刊誌に何を書かれようと、総会でわけのわからない事を言う人がいようが、ノイズは一切気にせず、堂々としていただきたい。
私のモットーは生涯青春、一生チャレンジということで、永守重信会長を目標に頑張っていくので、ぜひ簡単に引退などせずに、生涯青春、一生チャレンジで頑張っていただきたい。

(会場拍手)


(小部社長)
貴重なご意見として承っておきます。

→ この総会は、登場人物が大変バラエティ豊かです(次の方も含めて)。

【質問14】
永守会長様、小部社長様、取締役の皆様、そして会場の皆様。
上のシャンデリアをご覧ください。
この煌くシャンデリアの光は、50周年を祝福するかのようです(注:意訳)。
皆様、50周年ということで拍手をお願い致します。
(拍手)
空飛ぶ車を今こそということで耐えながら研究開発をされてきたかと思いますが、なぜ今だというようにお考えになったのでしょうか?


(永守会長)
今日は僕、これ終わってから神様参りせにゃいかんのよ。
だいぶ言い過ぎたからね、おそらく出てくるおみくじは「驕るなかれ」(会場笑)
今日はあんまり変なことを言わないようにと抑えていたけどね、グァーッと出てきたから、今日出るおみくじは分かっとるんですよ。

会社というのは、どんな商品を伸ばしていってもピークがあって終わっていくんですわ。
ずーっと続くものは無いです。
どっかで物凄く売れたと思っても、ストーンと(落ちる)。
カメラのシャッター、パソコン、順番に来るんですわ。
ということは、絶えず将来の世の中はどうなっていくかを考えて考えて、新しいマーケットに出てかないかんですね。
それが最低10年とか20年かかるんですよ。
簡単に今からとか、絶対に無理です。

車は1995年に、今から電気自動車になると信じて出ていったんですね。
その次には、飛行機が物凄いガソリンを撒いて世界中を飛んでいると。
これはCO2で絶対に問題化するということで、その後15年前に出て行ったわけです。
おそらく今からは、簡単な仕事は全部ロボットに変わっていくと。
ということで、三本柱が今用意されている。
さらにまた、その先はどうなるかと。

だから、炭鉱のカナリアですな。
変なガスが出てきたら、人間には分からなくてもカナリアにはそれが分かる。
で、カナリアが鳴くと、すぐ逃げろーということですね。
我々の場合逃げるんじゃなくて、逆なんです、「今行こう!」と。
ということで、新しいマーケットに入っていって、それで成長してきたわけであります。

他の方はみんなバーッと世に出てから出て行かれるんですが、それはやはり早く出た方が勝つんですわ。
しかしその間はお金かかるし、物凄く費用がかかるんです。
それを我慢してやってかないかん。
株を売らんと持っていただく限り、(その間に)新しいもの、新しいものへと出ていきます。
前のものは無くなっていくと。
今までが50年、これから50年、100年ですね。
仰っていただいたように、輝く会社であり続けるためには、新製品を出していかないかん
これが経営者の重大なる仕事ですわ。

私はもう社長も会長も辞めますけど、取締役だけは辞めませんよ。
取締役でなきゃ、ここ出て来られへんもん(会場笑)
日頃の仕事は社長・会長がやってくれるけど、炭鉱のカナリアだけは僕がやらんとあかんと思うてます。

だから健康大事ですな。
私も来年80。
だけど本社の20階から歩いて上がってますから。
誰か勝負する方おられたら、私に勝ったら20万円差し上げますよ(会場笑)
今まで1回も負けてへん。
年齢じゃないですよ、これ。
私は酒も飲まない、タバコも吸わないでしょ、ゴルフはしないしね、禅宗の坊主みたいな生活してますわ(会場笑)
仕事だけですわ。
だからまあ、そういうことでやってますから、あなたもまだお若いしね、今持ってる株はずーっと持ってたら、

1,000倍くらいになりますわ(会場笑&拍手)


以上で質疑応答は(やっと)終了。

議案採択、新任取締役の紹介を経て、閉会となりました。

(11:56)

所感

約2時間の長丁場となりましたが、実際の時間以上に濃密な総会でした。
過去、未来、ポジティブ、ネガティブ、そして後継者問題。
トピックが満載でしたね。

内容的に物議を醸す箇所も多々ありましたし(私のブログの切り抜きをネット上でたくさん見ました)、会場全体の雰囲気が宗教じみている感も含めて、好き嫌いも分かれるのでしょう。

ただ間の取り方の巧さも含めて、”創業者の余興”のエンターテイメント性は抜群でした。
やはり来て良かったと思います。

一方、”永守信者”以外を排除するような運営の仕方は、見ていて気持ちの良いものではありませんでした。

以上を踏まえ、企業や経営者そのものの評価は別として、総会の評価としては★★★★☆とさせていただきます。

(終わり)

来年はどうしましょうかね。
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